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ハンガリー旅・世界史現場探訪

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ハンガリー旅での世界史の現場探訪の記事をまとめています。
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記事一覧

ハンガリー旅)ブダペスト)ユダヤ人迫害と東欧移住②

中東情勢の激化で、ユダヤ教徒とイスラム教徒の対立があらわになっています。 ハンガリーのブダペストには世界で三番目に大きなユダヤ教の教会「シナゴーグ」があります。なぜハンガリーなのでしょうか。 その1では13世紀から激しさを増す西欧での迫害からユダヤ人が「アシュケナージ」として東欧に逃れて、ハンガリーなどに住んだ経緯を書きました。 その2では、ロンドンのロンバート街の成立、シオニズム運動の源流、ナチスドイツのユダヤ人虐殺とのつながりを読み解きます。 英国のユダヤ人排斥で

ハンガリー旅)ブダペスト)ユダヤ人迫害と東欧移住①

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が激化しています。ガザ地区への地上侵攻も目前に迫っているようです。 ユダヤ人は2000年近くにわたりディアスポラ(離散)を経験し、やっとの思いで「約束の地」でイスラエルを建国しました。こうした歴史的経緯が対立の背景にあります。 ハンガリーのブダペストには世界で三番目に大きなユダヤ教の教会「シナゴーグ」があります。なぜハンガリーなのでしょうか。 13世紀から激しさを増すユダヤ人迫害、ロンドンのロンバート街の成立、ナチスドイツのユダヤ人虐

ハンガリー旅)ブダペスト)二重帝国の悲しみと千年王国の誇り③

中欧のハンガリーの首都、ブダペストを訪れました。その1では建国から1000年以上の長い歴史を持つ千年王国の誇り、その2では大幅に領土を失った悲しみについて明らかにしました。 その3では、現地のハンガリーで出会ったタクシーの運転手との会話から、ハンガリーの人の自国の歴史への感情について書きたいと思います。 「ハプスブルグ家は好きではないけど、シシィは好きだ。ハンガリーを愛してくれた」 オーストリア皇帝にしてハンガリー王、ハプスブルグ家のフランツ=ヨーゼフ1世の妻がシシィで

ハンガリー旅)ブダペスト)二重帝国の悲しみと千年王国の誇り②

中欧のハンガリーの首都、ブダペストを訪れました。その1では建国から1000年以上の長い歴史と文化を持つ千年王国の「誇り」を書きました。 その2では、オスマントルコとの戦争や「オーストリア=ハンガリー二重帝国」として参加した第一次世界大戦で敗北し、大幅に領土を失った「悲しみ」について書きます。 その1はこちら↓ オスマン帝国とオーストリア・ハプスブルク帝国によるハンガリーの支配 ハンガリーはオスマン帝国とオーストリア・ハプスブルク帝国の支配下に相次いで置かれることになり

ハンガリー旅)ブダペスト)二重帝国の悲しみと千年王国の誇り①

中欧のハンガリーの首都、ブダペストを訪れました。 建国から1000年以上の長い歴史と文化を持つ「千年王国」の誇りと、第一次世界大戦で「オーストリア=ハンガリー二重帝国」として敗北して大幅に領土を失った悲しみがありました。 タクシー運転手の悲痛な叫び 「ハンガリーは1000年の歴史を持ち、広大な領土があった。それなのに『オーストリア=ハンガリー帝国』として第一次世界大戦に負けたために、 領土が3分の1まで減らされてしまった。取り戻す機会さえない」 ブダペストの空港へ向か