イギリス旅)バース③寺院の扇形天井とローマ帝国の温泉インフラ
イングランド西部の街、バースを訪れました。ため息が出るほど美しいバース寺院と、ローマ帝国の「温泉インフラ」力を実感しました。
抜けるような白さと光が美しいバース寺院
冒頭の写真はバース寺院です。これまでいくつもの寺院や大聖堂をヨーロッパで訪れましたが、その中でも一、二を争うほど美しいと感じました。内観の美しさに心が表れる気持ちとなりました。
秘密はやはりまず「バースストーン」でしょう。下記の記事でも紹介したバースストーンをふんだんに使い、建物がぬけるような白さと軽やかさを生み出しています。ステンドグラスが多く、中に光がふんだんに入り、天使が降りてくるような気持ちになります。
「扇形ヴォールト」天井と黒死病
天井には何本ものアーチが水平方向に重なり、扇のように広がっています。これは「扇形ヴォールト」天井といいます。イギリスで生み出された様式で、イギリスのゴシック様式の代表的な特徴です。
実はこの扇形ヴォールトを生み出したのは、14世紀の黒死病(ペスト)の流行がきっかけとの見方があります。黒死病の流行で人口が半分になる大惨事となりましたが、生き残った貴族らは死んだ貴族の所領を受けとり、より裕福となります。
その裕福となった貴族が教会への感謝の気持ちを示すための寄進も大規模になりました。それが新たな壮大な建築様式を生み出すことになりました。この扇形ヴォールトは1351年のグロスター大聖堂が初めてとなります。
温泉を使った床暖房システム
バース寺院のスタッフから、最近の工事でこの寺院の床にはバースの温泉が引かれており、それが空気を温めて無料の暖房になっているという話を聞きました。実はこの発想、すぐ隣のローマ帝国の温泉施設の遺跡「ローマン。バス」で、ローマ帝国の当時から導入されていました。
下記の写真はローマンバスの遺跡です。右上のモニターにあるように、床の下に石が積まれており、そこの空気を温めることで、上の脱衣場を温める仕組みになっています。
約2000年も前にこうした暖房の発想があるのが驚きです。下の写真はより石が積み重なっている様子がわかります。これを大規模にすることで、サウナさえ作られていました。
インフラがローマ帝国を作った
道路や水道橋などローマ帝国のインフラ能力の高さには驚かされるばかりですし、これが広大な領土を治める力となり、帝国が作られたのは間違いないでしょう。
それは温泉施設でも同じ。浴槽へ温泉を流れ込ませる水路や排水溝のクオリティーの高さを感じます。
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