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"歴史" 系 note まとめ

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#歴史学

【現地リポート】日本史講師が”歴史フェス”に潜入!!

皆さん、こんにちは。 日本史講師のSatoです。 今回、私は2024年3月17日に名古屋大学東山キャンパスで開催された”歴史フェス”に潜入してきました。 その模様をお届けしたいと思います。 ”歴史フェス”とは・・・ 歴史フェスは、歴史に関心のある人が一つの場に集まって、ともに歴史を楽しむお祭りです。 (歴史フェス公式HPより) 歴史研究者や社会科(日本史・世界史)教員のみならず、歴史を楽しみたいすべての人が一緒に歴史(学)について考えたり、情報共有したりするという新しい

歴史学の本をガチで精読してみる

はじめに:不惑のチャレンジ!  今年は、私にとって、40歳という節目の年になります。40歳と言えば、「不惑」です。『論語』の中で、孔子が、人生を振り返り、もう「心に迷うことがなくなった」と語った年齢です。しかし、そもそも、その孔子はすでに15歳の時に「学を志した」と述べています。私にとって、40歳は、「不惑」というよりは、遅ればせながら「学を志す」年にしていきたいです。  そんな不惑の私の今年のチャレンジは、英語で書かれた歴史学の学術書を精読することです。  大学時代に

楽しく学ぼう! 戦後日本と「WGIP」についてのQ&A

3月16・17日の東京新聞/中日新聞に、風元正さんの『江藤淳はいかに「戦後」と闘ったのか』の書評を寄せました。Webにも転載されたので、こちらのリンクから読めます。 平山周吉さんの『江藤淳は甦える』が「実証史学」的な江藤論だとすれば、風元さんの本は「文芸批評」的な江藤論。ちなみにどちらも、編集者として生前の江藤と面識のあった方ですね。 さて江藤淳の戦後との闘いというと、いま多くの人が連想するのがWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)ですよね。風元さんの

【歴史的視点】歴史を日常にどう活かすか?

こんにちは、けいごです。 仕事やプライベートを充実させる中で、「視点のストック」をためることは非常に有効です。「視点のストック」というのは、「その経験独自の視点を身につけること」としています。 例えば、警察官を数年続けていれば、警察官的な物事の見方が出来るようになります。その他の仕事や趣味で得た「視点」もストックとしてためていくことで、様々な日常の出来事に応用し、人生をより面白いものにしていきます。 「視点のストック」とは「視点のストック」の考え方については、以下の記事

保苅実とつながる会ニュースレター:Dec 2023

皆さん、こんにちは。年末年始のご挨拶にはちょっと早いですが、今週から子供たちが帰省しますので、その前に。 さて。ミノルが亡くなって1年後にうまれた娘の仁香瑠(ミドルネームは「みのり」)を、無事オハイオ州の大学に入寮させたのが8月半ばのことですが、私は10月半ばから三週間、日本に一時帰国しました。こんなに楽しく充実した一人旅はうまれて初めて。世話が必要な相手はいないし通訳の必要もなし。好きなときに好きなものを食べて、変貌した9年ぶりの東京、4年ぶりの日本で、アメリカ人化した私

【趣味活】30代になり初めてわかった「歴史」の楽しみ方をまとめる

こんにちは、けいごです。 お恥ずかしながら、30代に突入して初めて歴史の面白さを知りました。それまでは、「戦国時代? 歴史っていつも戦ってませんか?」みたいな感じでした。しかし今では、徳川がどうのとか、信長がどうのとか、割と話せるくらいになってきました。 歴史の楽しみ方には人によって様々あると思いますが、私なりの「面白いと思ってること」と「楽しみ方」をまとめていきたいと思います。 本記事では「歴史がつまらなすぎて勉強が進まない」と感じている学生さん、「歴史を知りたいんだ

『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」③

(①はこちら、②はこちら) 生活史の読み方について四竈 この話、私の個人的な引っかかりかもしれないんですが、ちょっとお伺いしたいことがあって。『家(チベ)の歴史を書く』について、さっき、何度も感動したし、笑えるし、っていうふうに申し上げたんですけどね。たとえば文庫版の98ページで延奎(よんぎゅ)伯父さんに、「最後にもう一度人生をやり直せるなら何になりたいか」と聞く。すると伯父さんのほうが「やっぱりね、教育者になりたい。今度は、もう、そんな偉くなくていいから」って、なんとなく

新書『帝国図書館』執筆余録~年表のはなし

拙著『帝国図書館―近代日本の「知」の物語』(中公新書)をお買い上げくださった方、すでにお読みいただいた方、どうもありがとうございます。本当に感謝しております。 本書刊行後、何人かの友人から、どうやって書いたのか、どのくらい時間をかけたのか聞かれました。その回答かたがた、執筆余録として書き残しておこうかと思います。 執筆期間ですが、準備期間含めて入稿まで3年半、本腰入れて書き始めてからはだいたい1年弱です。 準備期間として、まず年表作成にかなり時間がかかりました。 本書の

新科目「歴史総合」入門(5)参考になるもの

さて、ここからは「近代化」「国際秩序の転換と大衆化」「グローバル化」のそれぞれについて順を追ってみていく前に、参考となる書籍をちょっとだけ紹介しておきたいと思います。 よみやすいもの 個別のテーマや歴史学、歴史教育について、どのような問題意識があるのかをつかむには、これがおすすめ。1冊120ページ程度で、読みやすいです。山川出版社のリブレットは高校生向けのつくりではないので、この清水書院のシリーズのレベル感で間口をひろげたシリーズがあればいいなあと思います。 観やすいも

『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』の読み方!!

世界史講師のいとうびんです。 ……さて、のっけから私事で恐縮ですが、 この度! 2023年3月23日! 自身初となる単著、 『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』 が発売となりました!! 自身初の単著・単行本ではありますが、今までの歴史入門書にはあまり見られない内容となっています。 というのも、いくつか野心的な試みも盛り込まれていまして…… というわけで、 今回はこの『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』を、 さらにもっと楽しむための「読み方」をご紹介しま

第37回歴史学入門講座「境界史の構想」

今日、オンライン開講となった歴史学入門講座を受講しました。 講師は日本中世史が専門で、「境界」に注目した研究をされている村井章介先生です。個人的には『世界史のなかの戦国日本』などを読んだことがあり、研究内容に興味を持っていました。 村井先生の著書『境界史の構想』で取り上げられた史料をピックアップしてお話をしていただきましたが、非常に興味深かったので備忘録代わりにメモしておきます。 A.坂上田村麻呂の蝦夷討伐史料:「清水寺縁起絵巻」 ◎蝦夷討伐は平安時代初期だが、この史料の

なぜ歴史を学ぶのか

いやあ夜もすっかり更けてきましたが、歴史学、アツいですね。歴史を学ぶ意義についての議論はまだまだ続くようなので、以前の記事で登場したリン・ハント『なぜ歴史を学ぶのか』をテキストに、および歴史学の意義と潮流について考察したいと思います。 リン・ハントについてところで、リン・ハントって誰?以前の別の記事(記事末参照)で書きましたが、19世紀にドイツのランケから始まった西洋の近代史学は、20世紀半ばにはフランス・アナール史学に主導権を譲りましたが、アナール史学の相対的地位が低下す

【分野別音楽史】#01-4「クラシック史」 (捉えなおし・後編)

『分野別音楽史』のシリーズです。第一回は一般常識的な『クラシック正史』を追い、その後「捉えなおし編」として 前編(第二回)、中編(第三回) を書いてきました。今回は後編になります。 ◉ロマン派、次段階へ(1848~1870) ◆オペレッタの発生 19世紀半ばのパリではオペラをより庶民的に楽しめるようにした喜劇中心の小さいオペラという意味の「オペレッタ」が確立。ウィーンにも飛び火し、19世紀後半を通じて半世紀にわたりヨーロッパで流行します。オッフェンバック、ヨハン・シュトラ

『日本流通史』『日本近代社会史』を書き終えて

こんにちは、有斐閣書籍編集第二部です。  昨年12月に『日本流通史』が,今年4月には『日本近代社会史』が刊行となりました。そこで、両書の刊行にあたって、それぞれの書籍の著者である満薗勇先生と松沢裕作先生に,対談を行っていただきました。  この対談の本編は『書斎の窓』2022年7月号に掲載される予定です。ここでは、その本編に先立ち、紙幅の関係で、『書斎の窓』に収めることができなかった部分を掲載します。 ◆テキストづくりについて――今回、松沢先生、満薗先生それぞれに通史