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"歴史" 系 note まとめ

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2023年10月の記事一覧

MARVEL映画を観たら歴史が好きになる

こんばんわ。花金の夜に書きます。 僕はマーベル映画が好きです。 中でも、Marvel Cinematic Universe(通称MCUと呼ばれる)のシリーズが大好きです。 MCUが好きな人は歴史好き、もしくは歴史好きの素養がある、という仮説を説明したい。 だからMCU好きは歴史好きになれる可能性がある! ちょっと前提を長く書きすぎたので、目次から適当にとんでほしい。 ■アメコミ?マーベル?DC?って人向けの説明マーベルはアメコミの1ジャンルなんだけど、 マーベルってな

展覧会「宗達―物語の風景 源氏・伊勢・西行―」和泉市久保惣記念美術館 / 美術館ルポ・東晋平

ヘッダー画像:〈源氏物語松風図〉 (和泉市久保惣記念美術館蔵)  和泉市久保惣記念美術館では、2018年秋に特別展「土佐派と住吉派―やまと絵の荘重と軽妙―」を、2021年秋には特別展「土佐派と住吉派 其の二―やまと絵の展開と流派の個性―」を開催してきた。  今回の展示は、近世やまと絵を考える上で土佐派・住吉派と並んで重要な位置を占める俵屋宗達にフォーカスしている。  室町時代に朝廷の絵所として京で隆盛を誇った土佐派であったが、織豊時代には狩野派の躍進もあって勢いを失い、

【宮島】神住まう、島の祈り|歴史が生んだ佳景(前編)

神の島の祈りの歴史 「安芸の宮島」とも呼ばれる厳島は、古名を「いつきしま」という。「神を斎き祀る島」ということだ。  島そのものがご神体である。常緑の深い森に覆われた山々が峻厳にそそり立つこの島の姿を、古代、船で行き交う海の民は畏れ崇めた。神域を侵すなど思いもよらず、瀬戸を隔てた対岸から遥拝、あるいはわずかに岸辺に上がって祈りを捧げた。  島には地元のひとびとにそのように祀られた、たくさんの神がいた。なかでもよく知られる嚴島神社は、縁起によれば593(推古天皇元)年に創

【本004】大学で学ぶ沖縄の歴史

今年の春先、沖縄国際大学の秋山道宏先生より、『大学で学ぶ沖縄の歴史』(吉川弘文館、2023)をご恵贈賜った。 本書は書名にある通り、琉球沖縄の通史を「先史・古代から現在の沖縄社会までたどりながら学べるテキスト」(プロローグより)であるが、中身は単なる通史にとどまることなく、執筆者の先生方それぞれの強い問題意識とメッセージ性を有するものである。琉球沖縄のこれまで、そしてこれからを考えるのに不可欠な内容をわかりやすく、かつコンパクトに、それでいて単純化することなく叙述されている

歴史の言葉No.24 リン・ハント『人権を創造する』 「彼らはわたしたちなのだ」

18世紀に書簡体小説が欧米で流行した。ルソーの『ジュリ(あるいは新エロイーズ)』やサミュエル・リチャードソンの『パミラ』など、作者の視点のみによって書かれた小説ではなく、小説の登場人物の手紙をとおして、あたかも登場人物みずからが語っているかのように感じられる仕掛けをもった小説だ。 おなじ18世紀後半には、アメリカとフランスで革命が起きた。革命では、人間は平等であるということがうたわれた。それ以前にはなかった感性があらわれた。 なぜ革命の直前に、書簡体小説が流行したのか?

デザイン史マニアがヨーロッパ近代デザインの史跡を巡ってきた旅行記

先日、大学生の頃からずっと行きたかったヨーロッパに旅行してきました。ヨーロッパには、私の大好きなデザイン史において重要な史跡や、デザインミュージアムがあります。 最高の旅だったのでぜひご紹介したいのですが、私の1万字超えの興奮をよりお楽しみいただけるようデザイン史の語り、もとい布教から始めさせてください。 はじめに:デザイン史は人類の欲求の歴史デザインの歴史の起源とはなんでしょう?例えば縄文時代の衣服や石器はプロダクトデザインと言えるでしょうか。デザイン史の始まりは産業革

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諏訪大社をめぐる神話と歴史の物語|オトナのための学び旅(5)

今回取り上げるのは信濃国一之宮「諏訪大社」です。 「一之宮」とは、有力な説によると、律令体制下の日本において「国司が着任したとき、最初に訪れる神社」であり、一般的には、その国においてもっとも格式が高いとされる神社であることが多いようです。 有名どころでは、常陸国一之宮といえば鹿島神宮、安芸国一之宮といえば厳島神社があげられます。 諸説ありますが、「諏訪大明神」「お諏訪様」を祀る諏訪神社は、全国に1万を越えるといわれており、その総本社が今回訪れた「諏訪大社」です。 4つ

歴史小説家や歴史愛好家から学ぶアイドルの推し方

はじめに2023年8月にEテレの番組「100分de名著」で「覇王の家」が紹介されました。「覇王の家」は、司馬遼太郎が徳川家康を主人公に書いた小説です。司馬作品を読んだことがないわたしですが、ちょうどそのころ大河ドラマの展開がよくわかんなくなってきたところだったので、見てみることにしました。その結果、指南役の安部龍太郎さんのお話が聞きやすくて楽しかったですし、わたしなりの気づきもいくつか持てました。それらの気づきの中には、ことしの大河ドラマがわたしが思ってたのと違うと感じた理

ガンプラが「マス」だった2年間

 『機動戦士ガンダム』は、『宇宙戦艦ヤマト』が切り拓いた本格SF路線を継承しつつ、80年代リアルロボットアニメ路線の流れをつくり、キャラクターモデルをホビーシーンのメインストリームに押しあげた。その初期段階で起きたのが「空前のガンプラブーム」。もう40年以上前の話だ。ビートルズ来日時の熱狂と同じぐらいに、「よく知らないけど、なんかすごかった」という“歴史上の出来事”化しているように思う。  筆者自身、ブーム経験者だが当時は年少者。あの頃、知らなかったこともふまえてブームを振

江戸時代は旅行ブーム?江戸時代の旅人が訪れたお伊勢参りスポット5選

長い戦乱の世が明けた江戸時代。世の中が落ち着き、街道が整備されることにより、庶民が旅をすることができるようになりました。 彼らは一体どこへ向かったのでしょうか?なんと、江戸時代の旅行先といったら、伊勢神宮だったのです! 最盛期にはその当時の日本人の6人に1人が伊勢にやってきたという事実。今のような便利な乗り物はなく、基本的には徒歩での長旅でした。 江戸時代の旅行ブームを巻き起こしたお伊勢参り。江戸時代の旅人は、伊勢で一体何をしていたのでしょうか? 江戸時代のお伊勢参り

【全文公開】"今"と"過去"をつなぐ世界史のまとめ 総集編

2019年からだらだらと書いているものの総集編です。現時点(2023年10月)では紀元前後までカバーしています。ぼちぼち読まれているようではあるので、このまま最後まで書き進めていきたいと思います。 はじめに 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか 世界とのつながりを考える世界史 このシリーズは、今の世界と過去の世界のつながりを考えるために編まれたものだ。 世界は、過去の世界とのつながりに満ちている。しかし、そのことに、なかなか気づきにくい。たとえ世

ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第1回)

はじめに最近、ラテン語にハマっているとるてぃでございます。 そんな中で、世界史上で有名な文書のラテン語版を読みたいなあという気分になりました。そして見つけたのが、ネルチンスク条約でした。 そんなネルチンスク条約ラテン語版の条文を紹介していこうと思います。 なお翻訳は、 吉田金一 著『ロシアの東方進出とネルチンスク条約』,近代中国研究センター,1984.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11925576 を参考に、と

運命に愛された女院【建春門院の話・4】

鎌倉時代初期に、元女房の健御前によって書かれた古典作品『たまきはる』より、高倉天皇の行幸(=外出)部分を漫画化しました。 *原作『たまきはる』(健御前 著/使用テキスト:岩波書店 刊 新日本古典文学大系 50『とはずがたり・たまきはる』 ) *同じ『たまきはる』から、鳥羽天皇皇女・八条院の登場部分を漫画化した記事はこちら↓ 『たまきはる』建春門院篇、最初のお話はこちら↓ 『たまきはる』には、天皇の行幸についての記事が何回か出てきます。 今回はそのうち、朝覲(ちょうきん)

「文化アイデンティ」と「歴史の再解釈」が、ビジネスの大切な要素になっている。

日経新聞電子版をいろいろと読んでいたら、かなり興味深い記事に出会いました。およそ半年前のFTの翻訳記事です。スコットランドで酒を巡る広告を禁止するかどうかが議論されている、というのです。 健康を害し、社会的なトラブルを招きやすいとのアルコールのネガティブな面が禁止論を導くわけですが、禁止反対論者はアルコール消費減による経済的打撃だけでなく、スコットランドの文化振興にまで影響を及ぼすといって禁止論にNOと言っています。 まず、仮に禁止になると次のような事態になります。 他