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"歴史" 系 note まとめ

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2019年7月の記事一覧

インドのカースト制のことを知らなすぎるので調べたまとめ

人とインドの経済発展の話をしているとき、「IT系はカーストの影響を受けないみたいだから」と受け売りの知識を披露した。その時、ふと思った。 え、インドって今でもカースト制があるの? うっすらと学校か何かで勉強したような気もするが、社会科は苦手というか、ほぼ興味がなかったので全く覚えていない。 強いて言うなら手塚治虫の「ブッダ」に出てきた、すごく出てきたという記憶はある。あれでしょ、クシャトリヤとかスードラとかのやつ。確か、王族なんだけど母親の身分を「スードラ」と言われてすご

拙著『中世の国土高権と天皇・武家』)の公開。まずは目次、序論 。なおそれでも本の形で読みたい方へ。若干の残部が手元にありましたがなくなりましたので、下記、おわけすルすことができません。―

本書『中世の国土高権と天皇・武家』(校倉書房2015、540頁、定価12000円)は、出版元の校倉書房の倒産により、相当のエネルギーを注いだものですので、残念ですが、少なくとも当面は、本の形で読むことはできません。  ただ、逆に版権の問題がなくなったので、全文テキストオープンすることができました。これでよかったのかもしれません。学術書は全文オープンしてあると、非常に便利です。それが学術書の出版形態の理想だと思います。そうした上でやはり本で読みたいという人はDTP出版を元出版社

北国の中心地で明治近代化へ思いを馳せる

北海道・札幌に移住して早3ヶ月強になる。この街で生きていると、今からたった100数十年前に日本に組み込まれたという特別な歴史を持っていることをまざまざと体感することができる。 例えばそれは、街の構造が東京とは大きく異なり碁盤状にできていることであったり、サッポロビール工場の跡地であったり、何気ない公園の雰囲気だったり、官公庁に今も残る西洋建築であったりする。 今更ながら近代史に興味を持った高校時代に理系を選択した僕にとっては歴史は苦手そのものであった。なぜなら、僕が単純暗

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歴史を動かした「シード投資家」

白石正一郎 という人がいる。 幕末の長州藩は下関にいた豪商、だ。国内貿易商らしい。つまり商社経営者という事になる。 この人が歴史に名前が残るのは、歴史を回転させたある大事業に出資したからだ。しかも家を傾けるほどに出資し、遂には本当に倒産してしまったという。 「この出資がなければその事業は世に出なかった」という出資は、我々シード投資家には一つのロマンである。 ロマンス、とさえ言ってよい。 グロース投資にも意義があるが、すでに事業がグロース段階なのだから他にも投資家は探せばいるは

SNSの時代に本を書くということ・・・新書「ヒトラーの時代」に思う

中央公論新社から新書『物語オーストリアの歴史』を上梓してからほぼ一ヶ月半が経過した。私にとって四冊目の単著であるが、今回の本は、オーストリアの歴史を、各州の地方史の視野に降り立ちながら、通史としてもある程度フォローできるようにという大変高いハードルを課されたという意味で、これまでのように、自分の専門領域のストライクゾーンの範囲内で構想し、執筆するパターンとは全く違った作業だった。そして、ウィーン文化史を専門とする私にとって、地方史の細部を掘り起こすのは、気が遠くなるような根気

第1章 人類はいつから 戦ってきたのか?

人類とチンパンジーは仲間同士で殺し合う  戦争と殺人・傷害はどう違うのでしょう?  暴力で他者を殺傷し、屈服させることでは同じです。  個人または集団が他者を殺傷し、社会的に罪とされるのが殺人・傷害であるのに対し、戦争は個人ではできません。また社会的に罪とされないどころか、英雄的行為として賞賛されることが多いのが戦争です。合法化された暴力行為ということもできます。ここでは仮に、こう定義しておきましょう。 「ある社会集団が、別の社会集団と武力で闘争すること」 「国家」

世界史B イスラム史Ⅰ ムハンマド誕生~正統カリフ時代

文系世界史選択者にとっての一つの山であるイスラーム史をまとめます。このnoteではセンターだけの人、二次試験を世界史で受ける人どちらにも対応しています。二次試験論述を受ける人はこのnoteを全暗記がmustです。 1イスラム教の成立 時代は6世紀。オリエント(今のイラン~トルコ東部)ではビザンツ帝国のユスティニアヌス帝とササン朝ペルシャのホスロー1世が争っていました。そのせいでオリエントを通る貿易は衰退し、代わりにアラビア半島のヒジャーズ地方をとおるセム系アラブ人による隊

原始スイスの反乱同盟軍による、戦術革命

それまでのヨーロッパの戦争と言えば、騎士、つまり貴族階級が率いる重装騎兵の軍団同士の戦いだった。そんな事知るか、とばかりに森の高い所から丸太を転がして騎兵を混乱に陥れ、大した装甲もない歩兵を密集させ常識はずれの長い槍を持たせて突撃させた。この新しい戦術により訓練されたハプスブルグの騎兵軍団は散々に敗北、戦争の歴史とスイスという同盟勢力が神聖ローマ帝国内において台頭してくる、歴史的な転換点となるのが、1315年のモルガルテンの戦い、である。 [ひとつの]重要で永続的な発見はス

ハンガリー映画史⑬-A 二度目の黄金時代へ 芸術的な大衆映画(1980~1989)

ハンガリー映画といえばネメシュ・ラースロー『サンセット』が公開され、エニェディ・イルディコ『私の20世紀』やタル・ベーラ『サタンタンゴ』がリバイバル上映される今年は正にハンガリー映画イヤーと言えるかもしれない。 新たな道を模索したハンガリー映画界はドキュメンタリーという分野から多くの手法を吸収することで、新たな黄金時代を築き始めた。今回は共産主義政権が崩壊する前夜にもう一度花開いたハンガリー映画二度目の黄金時代についてご紹介!例の如く長くなってしまうので分割してお届け!

地方主義に世界性を見出す〜『世界史の実験』

◆柄谷行人著『世界史の実験』 出版社:岩波書店 発売時期:2019年2月 柄谷行人は、世界の歴史と社会構造を交換様式の観点から考察した一連の仕事が一段落した後、柳田国男に関する著作を複数刊行しました。一見したところ両者は関連性をもたないように思われますが、『遊動論』と同様に本書もまた有機的な関連性を示しています。 柳田は1935年に「実験の史学」を書きました。柄谷が本書で着目するのはその論文です。 柳田を再考するに際しては、ジャレド・ダイアモンドらが編んだ『歴史は実験で

【古代中世言語好きがオススメする歴史漫画(2)】『アレクサンドロス』のコンプレックスをちくちく突く「残酷描写」は古代世界の描写として正しいと思う話

古代ギリシア語などに埋没している私は、当然、古代ギリシア世界が好きなわけです。かといって古代ギリシアに生まれ変わりたいとは絶対に思いません。 だって、いかに古代世界が現代の私たちを魅惑する哲学や文学芸術に満ちていたとしても、彼らの実生活のほうは、現代人の我々の価値観からすると、とうていついていけない「陰湿さ」「残酷さ」に満ちていたことでしょうから。 戦争は当たり前。奴隷も当たり前。旅に出ることは強盗や誘拐に会うリスクと隣り合わせ。経済的な理由による赤ちゃん殺しや老親殺しも

アートをどうやって勉強していくか

前回の「アートの教養を身につけたい3つの理由」の続きです。 今回は、じゃぁいったいどうやってアートを知り、教養にしていくのか、というのをボクなりに考えてみました。 ボクは「さとなおオープンラボ」というのを主宰していて、そこで自分が得てきた「広告/コミュニケーションの知見」を10期に渡って共有してきたんですね。 そのラボは各4〜5時間くらいを10回、スライドにすると4000枚くらいを共有していくのですが、10期に渡る試行錯誤の末、やることは大きく言えば3つに絞られてきてい