yoshiko Yamanouchi

オーストリア文化史。神戸の大学で教えています。

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オーストリア文化史。神戸の大学で教えています。

最近の記事

コロナウィルスに翻弄されたウィーンの4週間

2月15日深夜に羽田空港を発ち、オーストリア、ウィーンに向かった。 私の勤務校では毎年、2月半ばから4・5週間、英語とドイツ語の集中学習を目的に短期留学プログラムを実施している。受け入れ先の学校の対応がほぼパーフェクトなので、引率は特に必要ないのだが、行けば行ったでいろいろサポートすることもあり、たいてい毎年この期間に自分の研究調査を合わせて出かけ、調査の合間に現地の友人とコラボして美術館や宮殿ガイドツアーなどの文化アクティヴィティをセッティングしている。2月のウィーンはま

    • 紙に刷られた言葉、声に出して読まれた言葉が放つ、強烈な魅力-ジャン=ポール・ディディエローラン『6時27分の電車に乗って、僕は本を読む』

      売れ残った本は、どこへ行くのだろう。本が好きな読書人の中で、こんなことを思ったことがある人はどのくらいいるだろう。そして、書物を手がける著者の多くは、その「本の墓場」のありようを生々しく想像させられるような体験を抱えているのではないだろうか。売れなかった本、いや、そこそこ売れた本ですら、著者はたいてい、出版から数年後に、出版元から絶版処分と在庫の裁断処理のお知らせを受け取ることになるからだ。 『6時27分の電車に乗って、僕は本を読む』の主人公、ギレン・ヴィニョールはまさしく

      • SNSの時代に本を書くということ・・・新書「ヒトラーの時代」に思う

        中央公論新社から新書『物語オーストリアの歴史』を上梓してからほぼ一ヶ月半が経過した。私にとって四冊目の単著であるが、今回の本は、オーストリアの歴史を、各州の地方史の視野に降り立ちながら、通史としてもある程度フォローできるようにという大変高いハードルを課されたという意味で、これまでのように、自分の専門領域のストライクゾーンの範囲内で構想し、執筆するパターンとは全く違った作業だった。そして、ウィーン文化史を専門とする私にとって、地方史の細部を掘り起こすのは、気が遠くなるような根気

      コロナウィルスに翻弄されたウィーンの4週間

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