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紙に刷られた言葉、声に出して読まれた言葉が放つ、強烈な魅力-ジャン=ポール・ディディエローラン『6時27分の電車に乗って、僕は本を読む』
売れ残った本は、どこへ行くのだろう。本が好きな読書人の中で、こんなことを思ったことがある人はどのくらいいるだろう。そして、書物を手がける著者の多くは、その「本の墓場」のありようを生々しく想像させられるような体験を抱えているのではないだろうか。売れなかった本、いや、そこそこ売れた本ですら、著者はたいてい、出版から数年後に、出版元から絶版処分と在庫の裁断処理のお知らせを受け取ることになるからだ。 『6時27分の電車に乗って、僕は本を読む』の主人公、ギレン・ヴィニョールはまさしく