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書評#6)人事こそ最強の経営戦略~日本型・グローバル人事の教科書~

本日のご紹介する本はこちら。

特にこれといったきっかけがあって、というわけではありませんが、近ごろ「人事って会社にとってどういう役割なのだろう」と、ぼんやり考えることが多かったので、頭を整理するうえでとてもいい本でした。

■グローバル時代の人事パーソンに求められる必要な三つの力

「人の価値を客観的に見定める力」「本音を引き出す力」「組織の課題を見抜く力」

今後、「個」の価値の最大化が求められる時代になるにあたり、人事の仕事は、制度やプログラムを作成し、会社に”展開”するだけではなく、「育成を担う管理職やリーダーを支援する仕事」「組織全体を広く見渡して、問題解決を行うような仕事」が中心になる。その中で、必要な力が、上記の三つ。

特に旧来型の日本企業の人事にありがちなのは、日本の労働慣行の3種の神器”年功序列””終身雇用””企業内組合”に基づく、全員足並み揃えて、的な、考え方。これから、グローバル化はもちろん、Z世代と呼ばれる世代が社会に出来てきていることを考えると、取り残される制度になるかと感じる。

そんな中で、個人のスキルや経験、モチベーションを最大化させ、成長を支援する必要が出てくる。本書でも書かれている通り、現場はどうしても、仕事の成果に重きを置きがちになるところを、中長期的な目線で、客観的に人を見る力が必要になるというのは、非常に納得できる。「中央集権的な人事」ではなく、「現場に寄り添った人事」と言えるでしょうか。


■多様性VS効率性の議論(ダイバーシティ)

昨今、日本でもダイバーシティに関する議論は多くみられますが、はたして、本質を突いた議論が本当にできているのか、はなはだ疑問が残ります。

男女雇用機会の均等、などは、とてもよくわかりますが、それに加え、企業にとって、社会にとって、今後どのような変化が起こってくるのか、そしてそれらに対するメリデメの議論が欠けているように感じます。

誤解のないようにお伝えしておきますが、僕j自身もダイバーシティが今後の日本企業にとっても、世界で勝ち残っていくためには必要不可欠だと感じています。なぜなら、超高齢社会に突入する日本にとって、労働力人口は減っていくことはすでに分かっていて、その確保のためには多様な方の力を借りる必要があるということと、変化のスピードが非常に激しく、モノではなく、サービスに対する価値が重要視される時代を迎えるにあたり、よりよいサービスに柔軟に対応するためには、40代以上の新卒男性のみでは考えられるはずがないと考えるからです。

一方で、これまで日本は均質的な雇用環境の中で成果を出してきたのも事実ですし、そのような組織では、”暗黙知”に代表されるように、コミュニケーションコストが下がるというメリットもあります。多様性は、議論を複雑化し、意思決定プロセスにより多くの労力が必要になりますので。ただし、上記の通り、労働力人口の減少を止められず、社会の変化が続いていくという事実などを踏まえると、多様な方に活躍してもらわなければ、企業として生き残っていけない、ということになるのです。

いづれにせよ、ダイバーシティは、今後避けては通れない道であり、一つ前のところでも書いている通り、「現場(個)に寄り添う人事」が必要になってくることは間違いないように感じます。

■まとめ

ごくごく一部を取り上げて、書きましたが、本書には上記のような課題を解決していくためのより具体的は人事施策を含め、非常に分かりやすく、まとまっています。本によっては、ダイバーシティやグローバルに偏りすぎているものもあるような気がしますが、本書は、日本企業のこれまでの強みや課題を踏まえて、flatにまとめられている印象でした。専門用語が多いわけではないので、様々な方読んでいただけるような書籍だと思いますので、ぜひお手に取って読んでみてください。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。




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