プロ野球「巌流島の戦い」が幕を開けた。勝ったのは、いずれも待つ側の「小次郎」。阪神は「二刀流」、オリックスは「助太刀」で先勝

プロ野球「巌流島の戦い」が幕を開けた。歴史上では遅れて島に訪れた宮本武蔵が佐々木小次郎に勝っている。しかしプロ野球では待つ側が万全の準備で先勝した。クライマックスシリーズ(CS)最終ステージ。リーグを制した阪神は「二刀流」、オリックスは「助太刀」で先勝した。

セパ両リーグともに18日、最終ステージ第1戦が行われた。セリーグは甲子園の陣。18年ぶりにリーグⅤを制したホームの阪神が、リーグ2位の広島を4-1で下した。

レギュラーシーズンでは阪神が広島に11.5ゲーム差をつけている。9月14日にリーグ優勝を決めた。そこから1カ月以上経っての「真剣勝負」。10月14、15日にCSファーストステージで2連勝して勝ち上がった広島には勢いがある。

阪神は最終ステージ第1戦では、四回表に先取点を奪われた。しかし、そのままズルズルいかないのが阪神の強さだ。直後の四回裏に森下翔太選手が変化球を一閃。レフトスタンドへ同点となるソロアーチを放った。

この日、阪神の先発マウンドに立った村上頌樹投手。6回1失点。101球で安定したピッチングを披露した。そして村上投手は投げるだけでなかった。

五回裏には1死一、三塁からライトへ勝ち越しとなるタイムリーヒットを放った。大谷翔平選手ばりの「二刀流」の活躍を見せつけた。

さらに近本光司選手の2点タイムリーで続いて勝負あり。阪神が4-1で初戦をものにした。

パリーグでは、よりいっそう派手なゲーム展開となった。大阪の京セラドームで行われた第1戦。リーグ優勝したオリックスが初回にいきなり3失点。同点に追いついた後に、再び勝ち越される苦しい戦いを強いられたが、打線が奮起し8-5で先勝した。

オリックスの先発マウンドに立ったのは「日本のエース」山本由伸投手。勝率、勝利、奪三振、防御率で4冠を達成した。しかも相手のロッテには先月、ノーヒットノーランを達成した。

その山本投手がピリッとしない。初回に5本のヒットを集められて3点を失った。いきなり劣勢に立たされたオリックス。四回に紅林弘太郎選手の2点適時二塁打などで同点に追いつくが、六回に再び勝ち越される。

山本投手がロースコアに抑え込むのを期待していたオリックスにとっては大きな誤算だ。しかしリーグ最高の打率を誇るバッター陣が「助太刀」した。

六回裏に、5番杉本裕太郎選手の適時二塁打で同点に追いつくと、紅林選手のライト前へ勝ち越しタイムリーを放った。この試合初めてオリックスがリードを奪った。この回計4点を奪うビッグイニングにして、優勢に立った。

オリックスが八回にも若月健矢選手のタイムリーツーベースで1点を加点して勝負あり。8-4でオリックスが先勝した。

プロ野球「巌流島の戦い」は、待つ側の阪神小次郎、オリックス小次郎が先取点を奪われながらも逆転勝ちした。

ファーストステージを勝ち上がった広島武蔵、ロッテ武蔵には勢いがあったが、自力の差を見せつけられた形だ。

いずれの「小次郎」もリーグ優勝したことに伴うアドバンテージの1勝を含めて、計2勝とした。セパ共に第2戦を勝つのは、「武蔵」か「小次郎」か。プロ野球「巌流島の戦い」は続く。

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