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生き残るために俺たちが選んだ道。「7分48秒」。ソフトバンクの投打の連係が「日本のエース」を崩す。首位攻防戦で先勝し63日ぶり奪首

生き残りをかけた戦い。闇雲に戦っていては勝てない。「7分48秒」。ソフトバンクが投打の連係で「日本のエース」を攻略した。「粘り」と「あっさり」が融合した戦術がピタリ。首位攻防戦でオリックスに先勝し、ソフトバンクが63日ぶりに首位に返り咲いた。

交流戦を終え、各リーグ内の戦いが再開した。パリーグはいきなりの首位攻防戦。23日にホームの福岡で2位ソフトバンクは首位のオリックスと対戦した。

オリックスは「日本のエース」山本由伸投手が先発マウンドに。ソフトバンクは山本投手に昨年5月3日以降勝てていない。侍ジャパンで世界一に貢献した山本投手をどう攻略するか。この試合の見どころだった。

一方、ソフトバンクの先発は有原航平投手。メジャーリーグを経験し今季日本球界に復帰した。6月6日が日本復帰後1軍初マウンド。2試合で好投し防御率は0.71。首位攻防の初戦に最適の投手だ。

初回にソロを浴びたが、最少失点で切り抜けた有原投手。いきなりリードされる展開となったがソフトバンクは慌てない。

直後の攻撃で、ホークス打線は粘りに粘った。「日本のエース」山本投手に真っ向勝負ではなかなか勝てない。ファールで粘り、好球必打。これを実践したのが、4番柳田悠岐選手だった。

2死二塁の好機。柳田選手は打ち急がない。5球をファール。フルカウントに持ち込んだ。そして10球目。124キロのカーブをとらえると、センター前へ弾き返し同点に追いついた。

このイニングで打者6人が山本投手に35球を投げさせた。「ボディーブロー」で相手右腕の体力を奪っていった。

そこから「7分48秒」。ホークスの投打の連係が始まった。有原投手が2イニング目のマウンドに。同点にしてもらい、気負いがなくなった。6番打者から3つのゴロのアウトで三者凡退に。有原投手が「あっさりピッチング」を見せた。

山本投手にとっては、しんどいはずだ。初回に3つ目のアウトを取ってから、再び二回のマウンドに上がるまでに「7分48秒」しか時間がなかった。初回、ホークス打線に35球も投げているだけに、すぐさまマウンドに戻るのは心身ともにつらいだろう。

そこにホークス打線が襲いかかる。この回先頭の今宮健太選手が初球をレフト前ヒット。いきなり山本投手に走者を抱えさせた。1死後、甲斐拓也選手がレフトオーバーの二塁打を放ち、チャンスを拡大。中村晃選手がライト前にタイムリーヒットで勝ち越した。

さらに牧原大成選手がタイムリー二塁打。近藤健介選手もセンターへ犠牲フライを打つ。この回、ホークスは3点をもぎとった。初回の「ボディーブロー」で山本投手の体力を奪い、一気にパンチを浴びせていった。

そして、守備では有原投手が二回以降立ち乗った。五回を除き、ほかのイニングでは三者凡退の山を築いていった。8回1失点。ソフトバンクが7-1で首位攻防の初戦を快勝した。4月21日以来63日ぶりに首位に返り咲いた。

ホークス打線の「粘り」と有原投手の「あっさりピッチング」が生んだ「7分48秒」の連係。これが「日本のエース」攻略につながった。

生き残りをかけるために選んだ道。これがピタリとはまったゲームだった。パリーグ戦線がさらに面白みを増してきた。

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