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Chim↑Pom個展「ハッピースプリング」に行くと現代アートを楽しむ気づきをゲットできると子連れアート鑑賞歴15年の私が全力で主張する理由。


私が美術館に家族で行きたい時に一番欲しかったのは「子連れの私も他の鑑賞者さんと同等に展示を緊張しないで鑑賞する権利」でした。


2月18日からChim↑Pomの大規模な展覧会が森美術館で始まりますね!


そして展覧会と同時に進行してるChim↑Pomの新アートプロジェクトも興味津々です😀。


私も早速、noteを書いてそして参加させて頂きました。


そして私は声を大にして言いたいことがあります。「美術館に託児所を」はとても大切で素晴らしいこと。でもね、でもね、子連れ鑑賞歴15年の私は「美術館に託児所ができたらいいね!」だけの方向に行ってほしくないんですよ。私は言い続けたいんですよ。

「子連れで美術館に行きたい人は「託児所も欲しい人もいる」けど「家族で一緒に見る権利がほしい人もいる」んだよ!!!


私は子供と美術館に通い続けて15年になります。こちらに記録がまとまっています。(最近は子供の受験で忙しくて全然更新されてない、、いかん)


noteだとこちらにも書いてあります。


私は家族の都合で東南アジアに住んで9年目になります。ここ2年はコロナ禍なので移動、鑑賞はとても難しい状況でしたがその前は本当に多くの国の美術館、博物館を訪れました。東南アジア、オセアニアの美術館で強く感じたのは託児環境ももちろんですが「子供を連れて鑑賞することを美術館を訪れる全員が「普通のこと」と捉えている」ことでした。


以前寄稿した文章があるのでご紹介。


何を言ってるのか?と思う方もいらっしゃるかも。この気持ち、伝わり辛いかもしれません。私は15年近く子供と一緒に最初は抱っこ紐、そしてベビーカーで美術館を訪れ続けました。その際に常に歓迎されていたわけではありません。当時は今以上に「子供向け展示以外の美術展に子連れで行くなんて非常識」という思考が強くありました。注意を受けたこともありました。怒鳴られたこともありました。え、誰に?って思いますよね。美術館スタッフ?アーティスト?違います。子供を連れて美術館に来た私を激しく注意したのは「そこに居合わせた全く知らない大人(主に男性)」でした。彼等には主にこんなことを私に伝えました。

「子供の声がうるさい」
「ベビーカーの音がうるさい」
「美術館に子供連れなんて非常識」
「美術館は大人が楽しむところ」
「美術館に子供を連れてきていいのは子供向けの展示のみ」


私は変わり者でコミュ障だったので(今もそうですけど)友達もいなかった。だから美術は本当に救いでした。私は展示が本当に見たかった。でも家族環境により子供を預けて見に行くことは許されなかった。だから、子供を抱えて、ベビーカーを押して美術館に出かけました。
もちろん「子供入場不可」と明記されている場所に突進していったことはありません。子供の入場に関して禁止事項は一切ない状況で、しかも混雑の時間帯を避けて、訪問を心がけていました。子供が愚図ったら休憩室に移動することも意識しました。その結果全部見れずに出てしまったこともありましたが私にとって「展覧会に行けたこと」の方が重要だったので全然後悔はありませんでした。


そこまで気をつけても、私にわざわざ「子連れで来るな」と言いにくる人はいました。これは正直「お母さんと子供」の組み合わせの時のみでした。夫もいた家族全員で訪問した際は言われたことはありません。


ちなみに私自身は自分の経験をよく話します。いまだに「美術館に子供連れて行けるんですか???」と驚くお母さんが多いことに驚きます。今も日本の親御さん、特に小さなお子さんを持つお母さんは「子供連れで美術館に行くなんて考えもしなかった」という方も珍しくありません。


ここでもうお分かり頂けたと思います。美術館に子供連れで行きにくいと親御さんが思う理由は「美術館側に子連れで行ける環境がない」より「美術館に来ている他の鑑賞者が怖い」からです。


このようなデータもあります。


つまり、子連れで美術館を訪れてほしい!託児所作りました!といくら美術館側やアーティスト側が言ってもそこに集う鑑賞者が「子供がいるねえ、泣き声や子供の声が聞こえてくるねえ、そんなもんだねえ」とその環境に怒りや問題意識を持たず、それはそれ、という風に意識を変えない限り母親と子供の組み合わせでは怖くて美術館には行けないわ。。と感じている親御さん(特にお母さん)は多い、ということです。


森美術館に託児所が今までなかった理由。それは六本木ヒルズに託児所があるからだと個人的には思っています。

しかし実際には利用は厳しい。託児所の一時保育の利用金額は30分2000円と高額、そして最低2時間からの予約なので最短でも8000円(税別、その他に手続き料も)かかります。(ちなみにChim↑Pom展の大人のチケットが1枚2000円)。この託児金額だと現実的には託児を気軽に使える環境ではない、と個人的には思います。


預けるのも無理、怒鳴られるのも怖い。そうなると、ちょっと行けないかな。。って思う人が多いのは自分もワンオペ子育てをしてきたから十分理解できます。今、現状はどこまで変わったか、日本に行けない私は正直わかりません。同時に私の子供も15歳になったのでもう見た目は子供ではありません。そうなると他の鑑賞者からの視線が一気に減ります。なので私は現在はもう小さな子供連れで美術館に行く当事者ではないと認識しています。

美術館側の鑑賞形態の創意工夫はこの10年近くで本当に進歩したと思います。素晴らしいことです。同時にSNSの普及により小さなトラブルがものすごい拡散される危険性も出てきました。なので怖いって思う気持ちも、わかります。


ただ、ここで声を大にして言いたいのは「子供と一緒に美術を鑑賞するのってめっちゃ楽しいよ!!!!!やってみるといいよ!!!!」ってことです。


特に現代アートの鑑賞は家族で鑑賞すると、本当に楽しいですよ。現代アートというと作家が存命な場合が多いじゃないですか。つまり、どんどん新しい作品が見れるんですよ!家族の成長と共に作家の新作を見続ける。それってめっちゃ面白いじゃないですか!そしてその子供が成長して、親になって、その時にその現代アートをその子の子供と一緒に見ながら「自分が子供の時、こんなふうに見てな、、」とか自分の子供に話したら最高に楽しくないですか?


(他の鑑賞者に怒られるかもという)恐怖感をぶち壊せるブレイクスルーがあれば、そこにはめっちゃ楽しい世界があるから行ってみなよ!


って子連れ鑑賞歴15年目の私は、声を大にして言いたいのです。


Chim↑Pomの今回の展覧会は親子の鑑賞者がこの恐怖感を打破するきっかけになるのではと強く期待しています。同時に子供連れに一切関係ない鑑賞者さんにも「展覧会に泣き声があっても子供の声が聞こえても、それも空間のひとつ」という新しい概念をもたらすきっかけになるのではと思っています。今回のプロジェクトが「森美術館(の展覧会の前)で託児所を」はそこに大きな意味があると思うのです。鑑賞中に聞こえてくるお子さんの声。これも展覧会を構成する要素の1つ。そしてその要素も含めて彼等の表現に向き合う行為は多くの鑑賞者に「気づき」をもたらしてくれるはずです。(今回のnoteのサムネイルはその行為に最大の敬意を感じながらクラウドファンディングのイメージイラストを借用させて頂きました。)

もちろん静かな場所で鑑賞したいという人もいる。そういう人には「サイレント鑑賞TIME」などを設定したり方法はいくらでもあるはず。まず気づくこと、その気づきに向き合うこと。そこからそれぞれの希望を受け入れる創意工夫がはじまるはず。この展覧会は「日本の美術館の展覧会の鑑賞スタイルを変えるきっかけになる」と子連れ鑑賞歴15年の私は強く期待しているのです。


美術館に展覧会を見に行く、その行為が様々な層に広がりが生まれるきっかけになる展覧会になることを外国より心から願っています。




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