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大公開!人前トークを丸暗記の朗読にしない方法

読者の皆さんはじめまして。成女高校の表現プログラムで「トーク」のクラスを担当している五戸(ごのへ)と申します。プロフィールは最後にまとめましたので、ご興味ありましたらご覧ください。

高校生に授業で「トーク」を教えるって、いったい何をどうやるの?と疑問を持つ方も多いかと思います。成女高校の教育方針「社会で活躍できる、自律・自立した女性の育成」のために、トーククラスで行っているのは「たくさんの人の前で話す時も、丸暗記の朗読をしない」です。

人前で話すのが苦手な日本人

社会人を対象に、「人前で話すことに苦手意識はありますか?」というアンケートを実施したところ、「とても苦手である」が60%、「少し苦手である」が24%、合計84%の方が苦手だと回答しました。(2019年、ベースメントアップス株式会社による調査)

社会で活躍するために、人前で話す機会が避けられない場面は多々あります。結婚式の挨拶や、朝礼のスピーチなどわかりやすいものだけでなく、会議で進捗状況を発表したり、今ではオンラインミーティングで説明をすることも珍しくなくなりました。

苦手意識を払拭するために話し方教室に通おうとすると、大抵は高額なので断念する方も多いですし、一般的な話し方教室は、どちらかというと「読み方教室」なので、朗読やナレーションは教えてくれても、自分らしくフリートークすることは教えてくれないところが多いのも現状です。

学校で教わらなかった話し方

人前で話すことに苦手意識がある方は、社会人になって初めて苦手だと気づくというより、中学・高校時代からずっと苦手意識のある方が多いと感じています。私はそこに、日本の学校教育の課題を感じています。

欧米圏では小学生の頃から、授業でディスカッションやディベートをすると聞きますが、日本ではそういった事例は少ないですし、授業で発表をするといえば、「教科書の音読」か「作文の朗読」になってしまいがちだと思います。

音読や朗読は、事前に作られた・作った文章を「読む」行為なので、「話す」行為とはイコールではありません。親や友人とおしゃべりする時、事前に原稿を作る人はいませんよね。しかし、音読や朗読しか選択肢がない方は、人前で話すといえば「事前に作った原稿を間違えずに読むこと」と思い込んでしまいます。

私は普段、社会人の方にスピーチトレーニングをすることが多いのですが、この思い込みの払拭に時間がかかる方がとても多いので、もっと中学・高校の学校教育に関わっていけないだろうかと考えていました。「今まだない」ということは、そこが日本教育の「伸びしろ」であるともいえると思うのです。成女高校からお話をいただいた時、いよいよ高校教育に関われるんだと、身の引き締まる思いでした。

話し言葉に変換する

成女高校のトーククラスで「丸暗記の朗読」をしないためにまず行っているのは、「話し言葉に変換する」ことです。

日本語は「書き言葉」と「話し言葉」が離れています。英語では「I love you」は書いても話しても「I love you」ですが、日本語は作文で「あなたを愛しています」と書いても、話す時は「愛してるよー!」でも「愛してるんです」でも「愛してるんですよね」でも「愛しちゃってます」でもいいわけです。それぞれ少しずつニュアンスが異なるので、普段は伝えたいニュアンスによって無意識に言葉を選んでいます。その「無意識」で行っていることを「意識化」するトレーニングです。

たとえば、「今日は成女高校の魅力をお伝えします」という原稿があるとします。このまま読んでも問題はありませんが、「話し言葉変換」をすると、「今日はですね、成女高校の魅力をお伝えしたいんですけれども」になったり、「今日は成女高校の魅力、これをお伝えしようと思いまして」になったりします。

話し言葉を文字起こしすると、すごくカジュアルに見えますが、それは視覚の情報。聴覚では「敬語で話している」という情報になりますので、全く問題ありません。

また、「今日は成女高校の魅力をお伝えします」という文章は、間違えずにきれいに読むことが大事なのではなく、「今日伝えたいのは成女高校の魅力である」ということが伝わればいいので、ささいな文言の違いに気を取られる必要はありません。

話しかけるように

この「話し言葉変換」で、トーククラスの生徒さんも、普段自分が話している時にどのような語尾になっているか意識できるようになってきましたし、人前で話している時も、一方的なひとりごとにならずに、前を向いて、聞き手に話しかけられるようになってきました。

社会人の方も、ぜひやってみてください!

(五戸美樹)

図1


〜五戸美樹プロフィール〜
フリーアナウンサー・トークレッスン講師。
1986年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部日本語日本文学コース卒業。2009年、(株)ニッポン放送にアナウンサーとして入社。『三宅裕司のサンデーハッピーパラダイス』『古坂大魔王 ツギコレ』などを担当。番組企画で東京マラソンを5回完走し、富士登山中継も務める。2015年12月以降、フリーアナウンサーとして活動。文化放送『走れ!歌謡曲』、TOKYO MX『エクストリームBeauty』、AbemaRADIO『Aこえ』など担当。

[2021年9月現在のレギュラー]
・J-WAVE『GROOVE LINE』クイズコーナー(月)〜(木)17:40頃〜

トークを教える講師も務め、アイドルやアーティストにはMCを、声優やDJにはナレーションやフリートークを、ビジネスパーソンにはプレゼンやスピーチを、学生には面接対策などを教えている。「ストアカ」にて話し方教室開講。成女高校非常勤講師。テレビ朝日アスク講師。東京メトロ朝活講師。マイナビWEBセミナー講師。アンガーマネジメントコンサルタント。
書籍に『人前で輝く!話し方』(自由国民社)、『就活のリアル '21年度版』(同左)ほか。

2020年8月、一般社団法人 声•脳•教育研究所を設立し、副代表理事を務める。研究所では、ボイストレーナーの育成、オンライン教材の販売を行う。

======HP・SNSリンク========

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