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映画館カーニバル

 朝早い回では人波もまばらで、幸いにして座席もかなり空いています。大きいアンパンマンに会いに行くんだよ!と嬉々として妹に説明する2歳児は、初めての映画館を目前にして期待に胸を膨らませているようでした。

 分かりやすいフォルム、分かりやすい展開、ちびっ子たちから圧倒的支持を集める国民的キャラクター・アンパンマン。録画したものを息子は何度も鑑賞します。CMって効果があるんですね。ここ最近、息子の希望が具体的になっていました。

アンパンマンの、ドロリンどろりぃみたい。
バケ〜るカーニバルはんにばる!!

いやハンニバルは怖いわ

 carnival謝肉祭の語源にも諸説ありますが、似た響きのcannibalism人肉嗜食とは全く異なる成り立ちですから混同しないように、息子よ。たしかに自身の顔の一部を食べ物として提供する猟奇的シーンはあるものの、そんなにヤバい話ではないはずです。

それいけ!アンパンマン
ドロリンとバケ〜るカーニバル


 ネタバレになるような記載は控えますが、アンパンマン登場シーンから大興奮の息子は、ストーリー展開に合わせて歌ったり踊ったりツッコミを入れたり、劇場版を満喫していました。冒頭のストーリーと何の脈絡もないコキンちゃん平野綾の歌に父親世代の文化を感じつつ、ちびっ子が飽きないように工夫された62分間を楽しみました。

 映画の鑑賞後に「ドロリン、よかったねぇ!」と言いながらゴキゲンな息子は、3歩に1回のペースでアンパンチ正拳突きの練習をしていました。軍曹は劇中でのドロリンの精神的成長に涙を流し、私は今作のアンパンマンの強さや敵の強さに関して考察しつつ、勧善懲悪とも言い切れない近年のアンパンマンのストーリー展開に時代の流れを感じました。


 後日、オバケのフリをして息子を怖がらせようとした叔父に向かって決意に満ちた顔で繰り出した「アーンパーンチ!!」は、鼻にクリティカルヒットしましたね。そう、人体の急所は正中線上に位置しているのです。息子よ。

 国民的アニメの人気の高さを肌で感じつつ、しかしコイツら結局殴って解決だよなぁと終わらない戦いの連鎖への虚しさを胸に、対話で問題解決を目指す社会を夢にみて、現実との乖離に溜息をひとつ。
 軋轢の一端になる事象に医者として言いたいことがあります。

やめるんだ、バイキンマンCOVlD-19


 この世に治さなくていい感染症はないと、私の師匠は言いました。それぞれの正義があろうとも、私が人間である以上、有害な感染症を引き起こす微生物を忍容できません。
 日常に戻ろうとする社会を、私は応援します。


 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、パンデミックの収束と、アンパンチ武力の不要な社会の実現を。


#闘争の遺伝子 #生き残るために
#他の種族を滅ぼしたホモサピエンスという種
#本能と理性の境界 #潜む暴力性
#子どもの成長記録 #映画館の思い出
#エッセイ #アンパンマン #バイキンマン #ドロリン #映画 #勧善懲悪 #とは限らない #幼児向けコンテンツにみえる製作者側の意図
#アンパンマンキャラの中で結婚するなら誰か
#女性視点ならバイキンマン推し
#食パンはアレ地雷だから気をつけた方がいい

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