「疲れ」を侮ること勿れ/漢方医学

 新しい環境に身を置いて2週間。
 慣れ始めると共に緊張が解れ、隠れていた疲れが顔を出す頃合いです。特に大きな変化はないと思う方も、春は自然が大きく変化する時期ですから、否応にも影響を受けることになります。

 なんとなく疲れている。
 疲れがとれない。

 そう感じていらっしゃる方は、想像以上に多いものです。どんなに気丈に振る舞っていても、化粧や表情で元気を演出しても、「気」をみて脈のひとつもとれば、その人が疲れているかどうかは直ぐに分かります。

 某感染症の後遺症で慢性疲労症候群と呼ばれる状態に苦しむ方もおられますが、これは端的には「ずっと疲れている状態」です。生来健康で体力のある方からすると「何を甘えているんだ」とか「気合いが足りないんじゃないか」とか、そんな風な感想を抱かれるかもしれません。

違う、そうじゃない

 そうじゃないんです。
 実は西洋医学的に「疲労」の解釈は困難で、状態を説明したり(慢性疲労症候群という疾患概念をつくって)診断基準を設けたりする動きはありますが、では一体原因と治療はどうするのかと問うと、明確な答えはありません。疾患を定義しても原因がさっぱり分からないのが現代西洋医学の限界です。

 漠然とした「疲労」は、東洋医学的には「気虚」の症状として説明されます。気虚にも色々ありまして、どこがどのように消耗してエネルギー不足なのかという観点も必要ですが、ざっくりいうと多岐にわたる原因によって生じる「気の不足した状態」を気虚と定義します。

 例えば傷寒論にも次のような記載があります。

 少陰之為病、脈微細、但欲寝也。

少陰の病たる、脈微細、ただ寝んと欲するなり。

 少陰病と表現される状態では、とにかくプラスのエネルギーが衰微していますから、脈も元気がなければ、はっきりした症状を出す元気もなくて、ただただぐったりして寝てばかりいるということです。ひどく疲れてます。

 疲れて眠ければ少陰病、ということではありませんが、少陰病の範疇にいる方は殆ど例外なく、この状態を基本として+αな症状が付随しています。


 慢性疲労症候群について、西洋医学領域では認知行動療法とか段階的運動とか抗うつ薬とか睡眠導入剤等が使われるようですが、効果のほどは疑問です。さらに悪いことに、漢方医学を知らない西洋医が「慢性疲労には補中益気湯が効くらしい」と西洋医学の尺度で安易に処方して、「なんだ効かないじゃないか」と勝手に落胆する様子も散見されます。

 違う、そうじゃない。

 漢方が効かないのは薬の責任ではなくて、処方する医者の責任です。相手に真摯に向き合い、自分の持てるすべての知識と技術を総動員して治療に臨まねば、どうして全力を尽くしたといえましょう。


 と、いつの間にか堅い話になってしまいました。
 堅い文章を読むと疲れるものですから、どうぞ一度深呼吸でもして緊張を解してみてはいかがでしょうか。記事の内容など全て忘れても大丈夫です。

 コアラなんて1日20時間睡眠で休息しています。
 ナマケモノも同じくらい寝ているようですね。
 トラやライオンも14時間前後は寝ています。
 チンパンジーでさえ9時間以上寝ています。

 貴方の睡眠時間は如何程でしょうか。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、疲れたときに休める社会、眠りたいときに眠れる文明が実現しますように。




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