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3回目、打ってきました。

 先日、3回目を打ってきました。ブースター接種ってやつです。

 私はひどいアレルギー体質で、小児喘息もありましたし、食べ物、吸入抗原、いくつかの薬にもアレルギーがあります。
 特に一部の薬に対するアレルギーはアナフィラキシーショックを経験して死の淵に瀕するレベルで、以来私はアレルギーというものが恐ろしくてなりません。

 高校生の頃の話です。ある疾患に対しての処方でしたが、家でそれを内服して30分、そう、ちょうど30分程経ったとき、私は身体の痒みを感じました。今日暑かったからなー、汗かいたし痒いのかなーと思って風呂に行きました。この間、5分程でしょうか。シャワーを浴びていると、痒みがどんどん強くなっていきます。

 あれ……?

 指が腫れています。なんだか腕も赤くなってきて、これは蕁麻疹だと気付きます。顔も痒い。かゆい、かゆい、かゆい。
 食べ物アレルギーで蕁麻疹が出ることは何回も経験していましたから、これはアレルギーに違いないと思いました。思いましたが、その2分ほどの間に身体中がどんどん痒くなって腫れていきます。瞼が重くなります。唇も腫れます。口の中もかゆい。

 これはマズイと思って風呂場を出て助けを呼びます。すぐ気付いたのは父でした。

「おまえ、その顔どうしたんだ!?」

 普段冷静な父が明らかに動揺していました。

「病院だ!」

 といって電話をかけています。

 電話をかけている間に、なんだか気持ち悪くなってきました。胃のあたりがムカムカします。くらくらして立てなくなって、私はその場に座り込んで2回、吐きました。視界がぼうっとします。なんだか呼吸も苦しくなってきました。私は知っています。この苦しさは、喘息のそれだ、と。苦しい、気持ち悪い、意識が、暗転。

 気付いたときは病院のベッドでした。

 その時「アナフィラキシーショック」というものを知りました。医師からの「危ないところだったよ」の言葉にゾッとしました。幸い治療が奏功し、後遺症もありませんでしたが、私の心に恐怖を植え付けるには十分過ぎる経験でした。


 さて。そんな私ですから、新しい薬を身体に入れることには抵抗があります。恐怖もあります。正確には強いアレルギー反応が出るのは2回目以降ですから、初回はまぁ多分大丈夫なんですが。スズメバチに刺された人が2回目刺されるとヤバくなるアレです。
 出来れば打ちたくありません。抵抗はあります。が、公開されているデータを信用するなら、これは極めて安全性が高くて有効性の高いものということになります。仕事柄、相当の圧力もあります。ありますとも。私の専門は呼吸器内科ですから、もうド真ん中です渦中です。今でこそ入院患者さんは極めて少ない状態にありますが、ある期間は地獄絵図でした。
 それでも当初は日本人のデータが…と思って渋っていたんですが、感染リスクと感染した場合の重症化リスクと、なにより周囲に与える影響の大きさから、私は受けることを選択しました。数年後にどうなるか分からない?そんなのコレに限ったことではありません。

 ビビりまくった私は接種後35分ほど会場に待機しました。3回ともなんともありませんでした。

 副反応としては1回目が微熱と注射部位の筋肉痛、2回目は高熱と倦怠感と注射部位の筋肉痛、3回目は注射部位の筋肉痛と強い倦怠感でした。とにかくだるい。

 アレルギーの全くない妻は、1回目で激しい下痢と嘔吐、2回目は注射部位の筋肉痛だけ、3回目は高熱と倦怠感でした。公式データからも示唆されますが、アレルギーの有無と副反応にはあまり相関関係はないのかもしれませんね。

 接種した後の「30分安静」には根拠があります。それは異物が身体に入ってから、即時型のアレルギー反応が出るまでにかかる時間です。経路によってはもっと早く反応することもありますが、概ね30分程度問題なければ、超急性期に問題となるような「アナフィラキシー」に至る可能性は低いだろう、と考えられるわけです。そして接種した後の待機場所には、基本的にはアナフィラキシーショックが起きたとき用の「アレルギーに対する特効薬」が置いてあります。

 自治体や職業によっては3回目が始まっています。さて、2019年から始まったこの騒動は、いったい何時になったら終息するのでしょうか。

  …ほんとコ口ナ消えればいいのに。

 拙文に最後までお付き合い頂けたことに至上の感謝を。願わくは貴方の健康と、人類が感染症に打ち勝つことができますように。



(この内容なら記事の冒頭に鬱陶しい注意書きは表示されないはず…)


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