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ボディランゲージが人を作る

今回は、Ted Talksからエイミー・カディさんの「Your body language may shape who you are (ボディランゲージが人を作る)」をシェアしていきます。


歴代のTed Talksの中でも、もっとも視聴されているスピーチのひとつです。


ボディランゲージが僕たち人間のコミュニケーションに大きな影響を与えるというのはよく知られていますね。


このスピーチで、エイミー・カディさんはほとんどの人たちが知らないボティランゲージのパワーについてお話しています。


日本語字幕もあるので、興味のある方はぜひ見てみてください。


とてもおもしろいスピーチでしたよ。

(スピーチは約20分です)


では始めていきましょう。


ボディランゲージの威力

僕たち人間は、ボディランゲージに目を引かれます。


ボディランゲージは一種の言葉であり、コミュニケーションです。


コミュニケーションは人と人との交流です。


相手のボディランゲージは自分に何を伝えているのか?


自分のボディランゲージは相手に何を伝えているのか?


ボディランゲージの効果やそれが人の判断にもたらす影響については科学者が多くの時間をかけて研究してきました。


スピーカーのエイミー・カディさんもその一人です。


人はボディランゲージから大まかな判断や推測をします。


そしてその判断が人生において、大きな意味を持つ場面(誰を採用し誰を昇進させ誰をデートに誘うかなど)に大きく影響するんです。


タフツ大学の研究では医者と患者の間の実際のやり取りを撮影した30秒の無音のビデオを見ただけで、医者が訴えられることになるかどうかを、その医者の感じの良さから予想できることを示しました。


医療現場などで起こる医者ー患者間の訴訟は、医者の能力はあまり関係ないということです。


その人が好きかどうか、患者との接し方がどうかの方が影響は大きいんです。


びっくりですね。


プリンストン大学の研究では、候補者の顔を1秒見ただけの判断によって議員選や州知事選の結果を70%の精度で予測できることを示しました。


僕たちが他の人をどう判断し、他の人が僕たちをどう判断するかに非言語的な部分が影響するのはわかりますが、私たちが忘れがちなのは、自分の非言語行動(ボディランゲージ)に影響されるのは他人だけでなく、自分もだということです。


ボディランゲージが自分自身に与える影響

僕たちの考えや感情は自分のボディランゲージの影響を受けるんです。


力や支配の非言語表現はいろいろあります。


でも、動物の世界では体を広げる場合が多く、自分を大きく見せ、体を伸ばし、広い空間を占めようとします。


これはほとんどの動物に共通していることです。


そして人間も同じです。


これらの力を示す「体を広げるポーズ」は力を持っている人が継続的にしている場合もあるし、何か競技などで勝負を制したときのように瞬間的にする場合もあります。

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面白いのが、ジェシカ・トレーシーによる研究では運動競技で勝った時は、目の見える人も、盲目の人も同じようにこの「体を広げるポーズ」をすることが明らかになったそうです。


逆に動物が無力だと感じた時はどのようなポーズを取るでしょうか?


力を感じるときと逆のことをします。


縮こまって、体を丸め、小さくなります。


この場合も、人と動物は同じようなポーズをとります。

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下の写真はどうでしょうか。

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これは強い力と弱い力が一緒になった場合です。


すごく力を持った人が一緒にいるとき、一般的に僕たちは体を小さくします。


このように僕たちは、言葉に出さなくとも自分たちの状態をボディランゲージで表現しているんですね。


では、もし力のない人や無力を感じている人が、力を持つポーズを形だけでも真似たなら、実際に力強い行動をするようになるのでしょうか?


心が体に変化を及ぼすのは多くの研究で明らかになっていますが、体もまた心に変化を及ぼすのでしょうか?


体は心に変化を及ぼすのか

断定はできませんが、この「体も心に変化を及ぼす」という説が正しいと思えるような証拠がいくつかあります。


たとえば、僕たちは楽しい時は笑いますよね。


でも割り箸を口に挟んで無理に笑顔を作っても、なんだか楽しい気持ちになりますよね。


同じように、自分がその気じゃなくても、無理にさせられて、でも少し時間が経ったら違和感が無くなっていたみたいな経験があると思います。


これらと同じで、自分の中にエネルギーを感じるとき、僕たちは大きく振る舞いますが、力に溢れたふりをするだけでも力強くなったように感じるんです。


また、力の溢れる人と無力な人には多くの違いがありますが、ホルモンは注目に値する違いのひとつです。


支配性のホルモンであるテストステロンとストレスのホルモンであるコルチゾール、この2つのホルモンには力強い人と無力な人とで大きな差があります。


動物界でいう群れの中で力を持つボス、人間界でいう力強くて有能なリーダーはテストステロンが多く、コルチゾールが少ないです。


またある研究では、ある個体が突然ボスの役割を引き継ぐことになったとき、数日内にその個体のテストステロンの値が上昇し、コルチゾールの値は下がったという結果があります。


つまり、体が心を形づくり得るのと同様に、役割の変化も心を形づくり得るのです。


これらを検証するべく、エイミー・カディさんはある実験をしました。

私は人を集めてまず小瓶に唾液をとってもらいました。そして、それぞれに力強いポーズか無力なポーズのどちらかを2分間続けてもらうよう伝えました。2分間どちらかのポーズをしてもらった後、いろいろな場面で「どれほど強く感じるか」を彼らに聞き、またギャンブルをする機会も与えました。それからまた唾液のサンプルをとり終了です。

実験結果を分析してみると、力強いポーズをした人は86%が賭けにでた一方で、無力のポーズをした人の中で賭けに出たのは60%のみでした。


また実験前の値を基準として、力強いポーズの人たちのテストステロンは20%上昇し、コルチゾールは25%減少しました。


そして、無力のポーズの人たちのテストステロンは10%減少し、コルチゾールは15%上昇したのです。


この実験から、たった2分間のポーズでも、非言語行動は自分で自分のことをどう思い、どう感じるかにも大きな影響を与えることがわかったのです。


体は心に影響を及ぼすのです。


さて、ここで疑問なのが、力強いポーズをたった数分間することが、僕たちの日常生活ひいては人生に本当に意味のある形で現れるのかということです。


僕たちはこの2分間のタスクをどのように応用できるのでしょうか?


一番役に立つのは、自分が値踏みされる状況(スピーチ、講演会、売り込み、面接など)です。


ここでは面接を例に挙げます。


面接のときに力強いポーズをしなさいと言っているわけではありません。


あなたは、就職面接に望む前はどんな風にしていますか?


多くの人は座って携帯をいじっていたり、手帳を見たりして背中を丸め、自分の体を小さくしています。


そうではなくてトイレでもどこでもいいので2分間だけでいいので力強いポーズをやるんです。


それだけで結果が変わります。


証拠として、彼女は人を集めて力強いポーズもしくは無力なポーズを数分間してもらい、そのあとにストレスの強い面接を実施しました。


この面接の様子を録画し、実験に関わっていない4人に見せました。


彼らが「この人を採用したい」と言ったのは、みんな力強いポーズをとった人たちだったのです。


大事なのは話す内容だけではないんです。


その人の話す態度も大きな影響を与えるんです。


ここまで記事を読んでくれた方の中には「なんかフリをしているみたいで嫌だ」「そんな風にしてまでやりたいとは思わないし、詐欺みたいで自分のことを偽物みたいに感じたくない。そんなことしても『わたしはここにいるべき人間じゃない』と感じるだけ」と思った人がいるかもしれません。


エイミー・カディはこの考えに共感しています。


彼女には同じ思いを抱いた実体験があるからです。

私は大学卒業後、指導教員であるスーザン・フィスクに受け入れられ、プリンストンに辿り着きましたが「自分はここにいるべき人間じゃない」と感じていました。プリンストンでは、最初の年に 20人を前に20分のスピーチをするというのがあるんですが、そこで正体を晒すことになるのを恐れ、前の晩にスーザンに電話をして「辞めます」と伝えました。すると彼女は「あなたは辞めない。私はあなたに賭けたんだからいてもらう。あなたはここにいてやるべきことをやるの。できてるフリをしなさい。やるように言われた講演をすべてこなし、ひたすらやり続け、怖かろうが脚がすくもうが体外離脱を体験しようが、こう思えるようになるまで続けるのよ “ああ やれている!本物になったんだ!ちゃんと やっている”」私はそうしました。大学院に5年いて、最初にノースウェスタンに行き、それからハーバードに行きましたが、ハーバードにいく頃にはもうあまり考えなくなっていました。でもそれまでずっと「自分はここにいるべき人間じゃない」と感じていたんです。ハーバードでの最初の年の終わりのことですが、それまで授業中に一言も発言しなかった学生がいたので、私は「ねえ 授業にちゃんと参加しないと 落第するよ」と言ってやったら、後でその子が部屋にやってきて、すっかり打ちひしがれた様子で「私はここにいるべき人間じゃないんです」と言ったんです。この瞬間に2つのことに気付きました。ひとつはは、いつの間にか自分はそんな風に感じなくなっていたこと、でも彼女はそう感じていて、それがどんなものか私は誰よりも知っていました。もうひとつは、彼女はここにいるべきだということです。フリをしていれば本当にそうなれるんだと。だから言いました「あんたはここにいるべき人間よ! 明日はできるフリをしなさい 力に溢れるフリをするの。そして教室に行って最高の意見を言うの」それでどうなったかというと、彼女は最高の意見を言って、みんな振り向いていました。クラスメイトの反応はこうです「誰だろう? あんな子がいたのに気が付かなかった」

彼女が伝えたいのは、フリをしてやり過ごすのではなく、フリを本物にすること、それが本当に自分のものになるまでやってくださいということです。


物は試しようです。


必要なのは、たった2分間と自分の体、ひとりになれる場所だけ。


とりあえずやってみましょう。


2分間の積み重ねでも、結果的に大きな違いに繋がり人生を変えることになります。


「強さは継続された鍛錬によってのみ開発される」


です。


今回はここまで。


英語学習者のみなさんへ

本記事で内容を理解したあとに、実際のスピーチを英語字幕つきで見ることで、英語のリスニング練習にもなります。


(内容理解のためだけに数十分のスピーチをまるまる視聴するより、先に日本語で説明されてる記事を数分で読んで内容理解した方が効率いいです)


英語字幕を音読すればスピーキング練習にもなります


スピーチの速度も変えられるのでとても便利ですよ。


英語を学びたいと考えている方はぜひ僕の記事を存分に利用しちゃってください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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Seiji

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