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ペニーさんに会いに、ちょっと京都まで

「2月某日まで京都にいます。もし良かったら会いましょう!」

そう、ペニーさんからメッセージが届いたのは1月のある日。

私は現在、関東に住んでいるから、京都は、もうかれこれ10年以上は行っていなかったと思う。

社会人になってから出張や結婚式で、1,2度行った記憶があるくらい。

出張で行った京都は4月で、ちょうど桜が満開だった。早朝に時間ができて、何げなく歩いた哲学の道は、殆ど人気がなく、桜が少し散り始めた満開だった。これは夢なの?と思えるほどに綺麗だったのをよく覚えている。

ペニーさんは、HelloTalkいうアプリで最近できたカナダ在住の友人だ。
私は彼女から英語、そして彼女には日本語を教えるためにに、昨年の5月頃から月に2回くらいのペースで約30分間、ゆるっとした会話を楽しんできた。

ペニーさんは私と同い年で、台湾出身。結婚でカナダに渡り、かれこれ10年以上になる看護師だ。とても優しく、声を聴くだけで安らかな気持ちになれる。

そんな彼女は、聞くところによると、秋に看護師の仕事をすっぱりとやめて、今年の春先まで半年ほど人生の中休みをとるということだった。その休みの間に、コロナ禍でなかなか帰る事のできなかった台湾に戻り、久しぶりの家族との時間を楽しみ、それから日本を一人旅する予定だと聞いていた。

そして、彼女はその言葉通り、仕事を辞めて、台湾に2ヶ月ほど滞在し、そして今年の1月から2月にかけて日本に旅行に来ることに。

「日本で会えたらいいね!」私たち2人は、事あるごとに言い合ってきた。

当初、私は彼女が東京にも来ると思っていたのだけど、結局、京都に腰を据えて滞在することにしたのだという。

「良かったら会いましょう!」と声をかけてもらって、私は少しためらった。京都へは片道3時間はかかるだろうし、日帰りではちょっと遠いから、できれば泊まりたいところだ。しかし、我が家にはまだ小学生の子ども達もいる。

でも、何をためらうことがあるだろう!

ペニーさんははるばるカナダのトロント近くの湖畔の家から、飛行機で20時間近くかけて、この日本に来ているのだ。

しかも、今は大事な人生の中休みという特別な時間を楽しんでいる。

そんな特別な時間に、私がたった片道3時間で行けないはずがない!
会いに行こう!ていうか、ぜひとも会いに行きたい!


というわけで、おそるおそる夫に「京都にいきたいんだけどぉ…、できれば一人で泊りでぇ…」と申し出ると、「いいんじゃない、行って来たら」と神のお声。

ありがとう!じゃ、行ってくるね。

というわけで、2月、私は京都へ旅立つことにした。

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ペニーさんと半年近く、細々と交流を続けてきたとはいえ、実はずっと声だけのコミュニケーションだった。なのでSNSで少しだけ後ろ姿などを覗いたことはあるけど、しっかりと顔を見たことはない。

でも、あたたかくて素敵な人だろうなということは、私の事をいつも気遣ってくれる様子や、声から伝わってきたから、あまり心配はなかった。

ほんの少しだけ、私の拙い英語で会話が弾むだろうか、という不安はあった。けど、久しぶりに京都に行ける!というワクワクと、新しくできたお友達に会えるという好奇心がそんな不安を跳ね返していた。

そして、ペニーさんの旅のスタイルが素敵だった。
上桂という駅にある苔香居という、シェアアパートに1ヶ月ほど滞在。世界を旅するルームメート達と交流しながら、京都の気になる場所へあちこち旅をしているのだという。

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彼女は、ローカルな京都を味わいたいということで、有名な観光地をまわることは少なかった様子。有名どころとして清水寺はまだ訪れてなかったようなので、清水寺方面に行ってみることにした。

私たちの京都デートは、こんな風だった。

まず、河原町にある町屋カフェでパンケーキを食べた。ペニーさんと会ったらカフェで注文を忘れてせかされるほど、会話に夢中になってしまった。


彼女は詩が好きなので、日本語を勉強して読んでねと、「ポケット詩集」をプレゼントしたらすごく喜んでくれた。
それに会話は、なんとか問題なさそう!良かった!


錦商店街を通り抜け、錦神社をさくっと参拝。


鴨川を渡って、



坂をのぼり法観寺(八坂の塔)付近にあるお土産屋で、ペニーさんの姪っ子にお土産のトトロのイラスト付きタオルを購入するのにお付合い。動画で見て、姪っ子ちゃんが気に入ったらしい。



そして清水寺へ。(頭がクラクラするくらい人混みがすごい……。久しぶりの旅行だったので、人あたりしてしまった)


その後は、のんびり帰りながら、電車で移動し、京都御所近くにある私が宿泊したブライトンホテルで、2人で少し休憩。


そして、彼女はまだ蕎麦を食べたことがないというので、夜はローカルな蕎麦屋さんでざるそばを食べた。とっても美味しいと喜んでくれた。

そして20時ごろ、ハグして解散。


***

ペニーさんは、京都の町のあちらこちの風景に感動する。そして、写真を撮りまくる。

ちょっとした町屋の窓枠の建付けに感動し、小さな石像が祭られている祠が素敵だという。そして写真をとるために、立ち止まる。


日本の食事の美味しさ、コンビニエンスストアに並ぶ食材の美味しさを語る。

正直、いつもTwitterなどを見てると、「日本はこんなところが窮屈だ」とか「日本はもっと、こうあるべきなのでは?」とか、日本人自身による、日本への厳しい意見を見ることが多い。
日本人というのはストイックで、そうやって負の側面を見つつ、自分自身を高めていく民族性なのかもしれないのだけど。

それが正直しんどいなぁ…、窮屈だなぁ‥‥、と常々思っているところだった。

日本への全肯定と賛辞をたくさんきけて、なんだか心が癒される気がした。

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ペニーが撮った写真で写真集ができそうだね!と私が言うと、なんとそれは私のおかげなのだという。

実は、何回か電話で話している時に、私が今読んでいる「ずっとやりたかったことをやりなさい」(洋題 The Artistway)をペニーさんに紹介したことがあった。この本は、海外でもベストセラーな本で、ペニーさんはその本を気に入って購入して読んでくれたらしい。

それを読んで、再び、文章や写真を撮ったりアートをすることの楽しさに気づくことができたという。それは、私のおかげだと言ってくれた。

なんか嬉しいなぁ、それ。と思った。

というわけで、写真を撮りまくるペニーさんに付き添うのは、正直、忍耐もいったのだけど、そういう理由なら万事OK。

というわけで、結局11時くらいに待ち合わせして20時くらいまで一緒にいたことになる。
海外スタイルで、ギュッとハグして別れた私たち。

普段は遠く離れたカナダに住む彼女の人生の中休みと、私の時間が、2人の長い人生の時の流れの中のほんの一瞬だけ交差した数時間。

なんだか、こみ上げるものがあった。

また、会えたらいいなって思うけど、それは実現するかは分からない。
でも確実に私にとっては、特別な時間になったように思う。

*****

そして、この旅のオチとしては。
彼女と別れた後、私に猛烈な疲れが襲ってきたのだ。
それはもう、びっくりするくらい。

その日は、清水寺まで2万5千歩くらい歩いていた。
しかも、初めてあった彼女と、9時間ずっと一緒にいた。
清水寺の人混みがすごかった。(私は、人混みがすごく苦手…)
ずっと英語でしゃべり続けて、脳がパンク状態。

もうこのクワトロパンチで、お風呂も入れないくらい、人生でこれまでトップレベルなほどの疲れがおそってきた。

いや、1日英語で話し続けるの、すごくしんどいのね。

留学とかしたことないけど、したら大変なことになるんだろうな、と思った。

というわけで、そんな落ちもありながらも、翌日は、1人で気ままに北野天満宮の梅と広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像の有難すぎる姿をみて、お土産に大好きな阿闍梨餅を購入して帰宅。



数年ぶりに京都を訪れて見て、以前訪れたのよりも、格段に京都を楽しめるようになっているのを感じた。
昔は仏像をみても、そんなに感じ入ることもなかったけど、今回の旅で神々しさを感じることができた。
私も、そこそこ人並みの苦労を重ねてきたからだろうか。

今度京都に行ったら、平等院鳳凰堂で雲中供養菩薩像もみたいし、貴船神社にも行ってみたい。
ペニーさんのように1ヶ月くらい滞在してのんびり暮らすように過ごしてみたら、どんなにか素晴らしいに違いない。

そんなやってみたいことが、また一つ増えたような旅だった。


※下書きにあったまま、ずっと公開しそびれてたので慌てて投稿!もう夏になりかけてるのに、季節感が微妙ですが、お許しを!笑
※ペニーさんは仮名です!



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