続・プログラミングのススメ

これは、文系大学生がプログラマーとして就職した体験記である。

前回はこちら↓

さて、無事にシステムを開発する会社に入社した私は、4月から3ヶ月間、プログラマーとしての基礎を固める研修を受けた。
しかしこの研修、なかなかの曲者だった。当初、周りは全員男性。しかも、講師は放任主義で、課題をポンと投げてくるだけ。
さらに講師の定年退職に備えて入ってきた後任の講師が、私と相性最悪。

3ヶ月間、本当に辛かった。人間関係の辛さで霞んでいたが、研修自体もなかなかにハードモードだった。プログラミングにはオブジェクト指向という考え方があるのだが、それの意味が分からない。MVCモデル?知るか。
渡された課題も解説をさらりとされるだけで個々の進捗など見てくれない。もはや、分からないところが分からない。聞ける人もいない。
右も左も分からないまま架空の通販サイトを作らされ、営業の方々へ向けてプレゼンをやることになった。もちろんそこでも分からないことだらけ。ペアになった同期にはずいぶんと迷惑をかけてしまった。その子がいわゆるセンスの塊だったから、作業も8:2くらいの割合でその子がやってくれた。

唯一同期の中で同性だった別部署の子とのたまの夜ごはんが支えだった。
同期たちも心配してくれていたみたいだが、当時の私には響かなかった。
2ヶ月も経つ頃には心療内科の受診を考えるほど追い込まれていた。あと1ヶ月頑張ればこの環境から解放される、と指を折る日々。明日から本社勤務、という日の夜には、密かに泣いた。
(研修を共にした同期たちはそれぞれ別の場所に配属されたので、本社の開発部署の新人は私だけだった。)

さて、そんな地獄のような日々を過ごした私を待っていたのは、本社(通勤時間15分という近さ!)での日々。研修時代に比べて、そこは天国だった。毎日研修レポートは書かなきゃいけないけど、きちんとフィードバックが返ってくる。歳の近い同性の先輩がいて、分からないことを聞ける先輩が近くにいる。
研修が無駄だったとは言わないが、研修と実務はまったく別物だということがわかった。
あんなに意味不明だと思っていたオブジェクト指向も、あとからああこういうことだったのね、と経験を重ねるうちに理解することができた。分からないことを聞ける相手がいるというのは、得難いことだと思い知った。

中小企業だったこともり、早いうちから様々な経験をさせてもらえたと思う。一度大手が開催する次世代技術の展示会兼交流会みたいなものに参加させていただいた時に、同じ新入社員の方がまだ開発ではなくてテスト業務をやっていると聞いて驚いたものだ。入社して9ヶ月くらい経った頃のことだったと思う。

ところで、前回の記事で会社説明会の際に人事の方が文系の方が案外向いているかもしれない、とおっしゃったと書いた。
その真意とは、プログラマーではなくシステムエンジニアとしてお客さんと対話する能力が文系の方が高い、ということだったらしい。理系はコミュ障、みたいな。とんだ偏見だ。文系理系関係なく、コミュ障はコミュ障、コミュ強はコミュ強。ちなみに私はコミュ障だ。

だから、文系が特にプログラマーやエンジニアに向いているとは限らないと思う。
だからと言って、文系がプログラマーになれないかと言うと、そんなことはない。
何故ならプログラマーとして過ごした2年間、数学的なことはほとんど必要としなかったからだ。たまに8進数を使用したけれど、今の時代調べれば何だって出てくる。分からなければ、調べるなり聞くなりすればいい。

ここで、私が関わらせてもらったプロジェクトをいくつか紹介しようと思う。
まずひとつ目。システムと聞いてイメージするような、予約システム。結局リリースするところまでは行かなかったけれど、実験的に自社開発してみたものだ。そこで画面のデザインや機能を一から作らせてもらえた。
ふたつ目。運送会社の人が使う、ピロリンっていう端末の中身を作るお仕事。これは、古いシステムからAndroidの新しいシステムに作り替える案件だった。
みっつ目。IoTセンサーを使用した、鳥獣被害対策システム。山の中に罠を仕掛けて、罠に動物がかかったら通知を送ったり、定期的に罠の状態を知らせたりしてくれる。

プログラムでは、こんなことも実現できるのだ。ね?面白そうでしょ?

2年間プログラマーとして働き、最後の方はちょびっとシステムエンジニア的なこともさせてもらって、そこで私の社会人生活は一旦終わりを迎えた。ちょっと疲れてしまったのだ。
会社の名誉のために言っておくが、残業が多かったからじゃない。IT業界はブラックだというイメージがあるかもしれないが、あの会社はめちゃくちゃホワイトだった。2年間で3時間くらいしか残業してないと思う。
ちなみに今の会社も残業の文化はあまりない。仕事が好きな人が自分の意思で残ってやっているだけだ。
反面、同じ業界に入った友人は激務から体を壊したこともある。会社によりけり、ということだ。会社の見極めはくれぐれも慎重に!

そういうわけで、転職活動でまたこの業界に入りたいと思えるくらいにはプログラマーの仕事は楽しい。少なくとも私にとっては。
できることが増えるのは楽しいし、バグが一発で治ったときにはガッツポーズしてしまう。画面のデザインがうまく行ったときや綺麗なソースコードが書けたときも達成感を得られる。
バグにハマったら時間を取られるし思考停止もするけれど、そのバグが解決して動かなかった部分が動くようになったときの嬉しさは言うまでもない。

胸を張って言える。プログラミングは楽しい。そして、文系でもプログラマーになれる!


※IT業界の回し者ではありません。あくまで一個人の体験に基づく感想です。責任は取れません。ご理解いただけると幸いです。

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