国分 紀芳(北陸経済のニュース配信)

金沢市在住。元新聞記者。北陸経済ニュースサイト(https://connect-u.b…

国分 紀芳(北陸経済のニュース配信)

金沢市在住。元新聞記者。北陸経済ニュースサイト(https://connect-u.biz/)などを運営。

マガジン

  • 連載«加賀屋、あわら温泉へ»

    日本一の旅館、加賀屋が福井県あわら市のあわら温泉への進出を決めました。その背景には何があるのか。加賀屋の小田社長への取材も含めて3回にまとめました。

  • 連載≪北陸の宿泊業、天気晴朗なれども波高し≫

    コロナ禍3年目を迎えた2022年の北陸の宿泊業界。地元新聞に載っていない情報2本をメインに、3回シリーズで宿泊業の「今」を概観します。

最近の記事

地方中小企業に贈る「地方マスコミ対応の心得」㊤メディアの現状

1.はじめに「第三者」を知ってこそ 「諸侯の謀を知らざる者は、予め交わること能わず」  2500年以上前に成立した兵法書「孫子」で、情報戦の要諦として書かれた言葉です。当事者同士だけでなく、より広い視野で情勢を見つめ、周囲の第三者が置かれる状況まで含めて把握してから本格的に戦い始めるよう説いたもの、と私は理解しています。  現代のビジネスでは、企業(以下、情報発信する側を簡易的に「企業」「企業側」と書きます)はSNSを通じて情報を発信し、直接的にユーザーへアプローチしやす

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    • 「それじゃ新聞にならん」と言われた日

      2023年5月6日、石川県珠洲市を震源とする大きな地震が発生した。 その直後から、Twitter上では「被災したけど無事です」といった趣旨の投稿に、各マスコミから「その写真ください。DMして!」という連絡が相次いでいるのを見た。 筆者にとってマスコミはもともと身を置いた業界で、愛着は人一倍ある。でも、いざ業界を離れ、その珠洲の件のやりとりを見ていると「こんなにも配慮に欠いた集団だったのか…」と認識した。 そこで思い出したのが、以下の記憶だった。 ※全てのマスコミに共通

      • 「新聞に載って初めて世に出る」という驕り、やめない?

        2023年2月27日、金沢市内に唯一残るバッティングセンター「ハローバッティングセンター」が4月に閉店するという記事を、弊社ウェブサイトにアップした。創業42年、数々のプロ野球選手が練習した歴史ある施設だ。 弊社ウェブサイトの記事はコチラ。 この件について、3月2日、地元紙が社会面に後追い記事を掲載した。それは別に良い(むしろ光栄な)のだが、驚いたのは中身。社会面のトップ記事として、弊社サイトと類似した内容で掲載されていたのだ。 私も新聞記者だったので、同じネタを同業の

        • サッカーW杯のコスタリカ敗戦「戦犯探し止めよう」「次へ切り替えよう」の違和感

          サッカーのワールドカップ(W杯)のカタール大会、日本はグループステージ第2戦のコスタリカ戦で1-0の「惨敗」だった。試合直後、代表選手はインタビューで「次があるので切り替えます」、Twitter上では「戦犯探しは止めよう」との言葉が聞かれたが、違和感が大きい。 「負けに不思議の負けなし」のはず この雰囲気、何につけても「和」を言い訳に、なあなあで物事を収めようとする日本人特有のものだと思う。 「負けに不思議の負けなし」という格言があるように、負けには明確な理由がある。そ

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        • 連載«加賀屋、あわら温泉へ»
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        • 連載≪北陸の宿泊業、天気晴朗なれども波高し≫
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          サッカー日本代表、海外組の多さに隔世の感

          ワールドカップ開幕を控えるサッカー日本代表を見ていて驚くのが、海外組の多さ。試合が始まってスタメンが紹介される時、11人のうち10人が海外組という状況もザラで、いま37歳の筆者には隔世の感がある。 筆者がサッカーを始めたのは小学2年生の頃だから、もう30年も前。当時の日本のスタープレイヤーと言えば、カズ、武田、ラモスらで、Jリーグでプレーしていた外国人にはジーコやアルシンド、ビスマルクらがいた。 その頃の日本代表メンバーはほとんど海外経験がなく、カズが辛うじて海外クラブに

          サッカー日本代表、海外組の多さに隔世の感

          日本一の旅館「加賀屋」の社長交代に思う/旅館はどこまでいっても「家業」?

          2022年9月30日、当社のサイトに、ある独自記事をアップした。旅館ランキングで何度も日本一に輝いた七尾市和倉温泉の「加賀屋」の小田與之彦社長が辞任し、父の禎彦相談役が22年ぶりに社長に復帰する、という内容だ。 今回の件、現時点で詳しい背景は分かっていない。ただ、先日、同じ石川県の加賀市山代温泉を代表する旅館「瑠璃光」の運営会社が、コロナ禍で助成金を不正受給した引責で萬谷浩幸社長が辞任し、後任に妻の真理氏が就くというニュースと同じ感想を持った。 「やっぱり旅館は家業」

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          「でも、外国製か…」がなくなる?経済発展続く東南アジアの現状は

          賃金が毎年5%の上昇先日、あるメーカーの経営者と話す機会があった。なんでも、東南アジアに駐在している日本人社員が「このままじゃ生活できない」と訴えてきたらしい。 話を要約すると、こうだ。もともと、その東南アジアの国では賃金も物価も安く、だからこそ日本企業が「チャイナ・プラスワン」的な流れで製造拠点を置いたらしい。 そこで何が起きたか。どんどん経済成長し、賃金は年5%ほど上昇し続ける。物価も上昇し、現地で食事をしても「安い」と感じなくなってきているという。いわゆる「ビッグマ

          「でも、外国製か…」がなくなる?経済発展続く東南アジアの現状は

          私が地方紙を辞めた理由/懐かしの発言「Excelを使う記者は無能」/地方マスコミの現状は

          11年間勤めた地方紙の記者を2022年3月に辞めたのには、いくつもの理由があった。 記者という仕事はやりがいが大きい。新卒の若造が世間的に立場のある首長や社長と、形の上では対等に話せる。これは社会通念では考えられないことで、若者には得難い経験だ。取材では地域の節目となる瞬間を間近で見ることもでき、印象深い取材はたくさんある。 半面、一般にイメージされるように「昼夜を問わず走り回る」みたいなところが今もある。やりがいと表裏一体でもあるが、家族が増えたり年齢を重ねたりすると、

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          【まとめ】イオン御経塚SC跡地の開発は結局どうなる?/旧SCと同規模の2階建てで2023年5月に完成見込み

          ※ 野々市市御経塚2丁目の「イオン御経塚ショッピングセンター(SC)」跡地の開発に関するニュースについて、弊社運営のサイトBizラボHOKURIKU(https://connect-u.biz/)と建設工業新聞の報道内容を、いよいよ新築工事が始まったタイミングで整理してみる。 開発するアークランド「23年中に複合施設」「ムサシとヤマダの組み合わせは決定事項」イオン御経塚SC跡地の開発を担うのは土地を所有するアークランドサカモト(新潟県三条市)で、現在のところ、計画の多くを

          【まとめ】イオン御経塚SC跡地の開発は結局どうなる?/旧SCと同規模の2階建てで2023年5月に完成見込み

          北日本紡績、謎が多すぎるIR/「6月の株主総会に定款変更を諮ると決めた」と7月に発表???/発行可能株数を2倍に、増資の準備か

          北日本紡績(石川県白山市)は2022年7月15日、同社の発行可能株式総数を2倍近くに増加させる定款変更に関するプレスリリースを公開した。基本的には増資への準備を進めたと受け取れる内容だ。 しかし、中身を読めば読むほど、意味が分からなくなる。 同日16時45分に公表されたプレスリリースによると、同年6月10日に開いた取締役会で、発行可能株式総数を3,615万株から6,959万株に増やすことなどを盛り込んだ定款変更案を「定時株主総会に付議することを決議いたしました」とのこと。

          北日本紡績、謎が多すぎるIR/「6月の株主総会に定款変更を諮ると決めた」と7月に発表???/発行可能株数を2倍に、増資の準備か

          2015年にあった北陸最大の倒産劇を振り返る/その名は「江守商事」/企業は簡単に潰れる

          北陸電力が福井のIT企業を傘下に北陸電力(富山市)は2021年12月、福井県を中心にIT事業を営む「江守情報グループ」7社を買収したと発表した。既存事業領域の拡大や新事業領域の創出を図る一環となる。 北電の発表資料によると、同グループはオリジナルソフトウェアの開発・販売、国内向けパッケージシステムの提供、海外製ソフトウェアの独占販売など、幅広い製品を取り扱っている。 これまでは経営陣が7社全ての株式を持っていた。以後は北電が80%、北電の完全子会社の北電情報システムサービ

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          2015年にあった北陸最大の倒産劇を振り返る/その名は「江…

          ㊦ 福井進出でグループ内の「連泊」提案/小田社長「つるやはベクトル同じだから一緒に」/目指すは北陸発の総合旅館グループ?

          あわら温泉の旅館「つるや」を承継した加賀屋(七尾市)の小田與之彦社長は当サイトの取材に対し、広域で複数の旅館を展開することで、旅行者が訪れた先々で加賀屋グループの施設を「連泊」する形を実現でき、同グループの事業の可能性が広がるとの認識を示した。 ともに客室係にリピーターがつく共通点「なぜ、つるやなのか」。当サイトの取材に対し、小田社長は「つるやは過去の実績と評判で加賀屋のベクトルと共通点があるから一緒にやろうと決めた」と説明した。この「共通点」は、例えば、いずれの旅館も客室

          ㊦ 福井進出でグループ内の「連泊」提案/小田社長「つるやはベクトル同じだから一緒に」/目指すは北陸発の総合旅館グループ?

          ㊥ 新幹線敦賀延伸で宿泊需要は高まるか/駅前ではホテル開発も進む/あわら、今後の伸びしろ大きく

          2022年5月1日、あわら市のJR芦原温泉駅西口。特急列車が到着する度、モノトーンの駅舎からスーツケースを引いた観光客が出てくる。ゴールデンウイーク期間の温泉街には当たり前の光景のようだが、前年まではこうもいかなかった。新型コロナウイルスが拡大した影響で、観光客が激減していたからだ。 そして前年までと異なる点が、もう一つ。観光客が出てきた在来線「芦原温泉駅」の向こう、在来線駅舎を見下ろすような位置に北陸新幹線の高架があり、新幹線「芦原温泉駅」の外観がお目見えしていることであ

          ㊥ 新幹線敦賀延伸で宿泊需要は高まるか/駅前ではホテル開発も進む/あわら、今後の伸びしろ大きく

          ㊤ 創業140年の老舗「つるや」を承継/北陸新幹線の延伸見据え進出か

          旅館経営の加賀屋(七尾市)は10日、あわら温泉(あわら市)の老舗旅館「つるや」を取得した。後継者不在に悩む つるやの要請に応えて承継を決めた。2023年度末に控えた北陸新幹線敦賀開業を見据え、延伸地域での宿泊需要の伸びを吸収する狙いもあるとみられる。 加賀屋グループが県外で旅館の運営に乗り出すのは、国内では初めてとなる。

          ㊤ 創業140年の老舗「つるや」を承継/北陸新幹線の延伸見据え進出か

          ㊦ ホテル金沢を売却へ/オーナー企業が方針固める/事業再編で金沢の市場から撤退/コロナ禍が進める新陳代謝

          金沢駅兼六園口(東口)の「ホテル金沢」を所有・経営するFRACTALE(フラクタル、東京)は2022年6月25日までに、同ホテルを他社へ売却する方針を固めた。コロナ禍で宿泊需要が減退し、同ホテルの赤字経営が続く中、全社的な事業再編に合わせて金沢の宿泊市場から撤退する。

          ㊦ ホテル金沢を売却へ/オーナー企業が方針固める/事業再編で金沢の市場から撤退/コロナ禍が進める新陳代謝

          ㊥ 需要戻っても スタッフ戻らず/北陸の宿泊施設/市況回復の兆しも 手放しで喜べない事情

          「宴会はまだまだでも、宿泊は少しずつ回復してきた。それなのに、肝心のスタッフがいない…」。2022年6月中旬、筆者が出席した金沢市内の会合で、あるホテルチェーンの役員が嘆いていた。嬉しいような、苦しいような、何とも複雑な表情だ。

          ㊥ 需要戻っても スタッフ戻らず/北陸の宿泊施設/市況回復の兆しも 手放しで喜べない事情