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「でも、外国製か…」がなくなる?経済発展続く東南アジアの現状は


賃金が毎年5%の上昇

先日、あるメーカーの経営者と話す機会があった。なんでも、東南アジアに駐在している日本人社員が「このままじゃ生活できない」と訴えてきたらしい。

話を要約すると、こうだ。もともと、その東南アジアの国では賃金も物価も安く、だからこそ日本企業が「チャイナ・プラスワン」的な流れで製造拠点を置いたらしい。

そこで何が起きたか。どんどん経済成長し、賃金は年5%ほど上昇し続ける。物価も上昇し、現地で食事をしても「安い」と感じなくなってきているという。いわゆる「ビッグマック指数」でも日本を上回るようになった。

足元で進む円安

そんな中、足元で進んでいるのが円安進行である。

その会社では海外赴任に際し、社員の給与の受け取り方を①現地通貨で受け取る②日本円で受け取る③自分で日本円と現地通貨の割合を決める、から選ばせている。

いま悲惨なのは②を選んだ人か、③でも日本円の割合が高い人だ。「後進国」とみて駐在した国はどんどん物価が上がる。そして円安が進んで相対的に現地通貨が強くなることで、給与が実質的に2割ほど減る。

こうした現状が「生活できない」の言葉につながっているそうだ。

国内へ逆回転???

一定以上の年齢の方には「日本製(メイドインジャパン)信仰」とも言うべき感覚が根強い。直接的に表現すると「日本は先進国で、日本人は真面目で清潔だし、値も張るし、日本製なら間違いない。海外製は安かろう悪かろうで信用ならない」という理屈だ。

しかし、上記の状況を加味すると、こうした理屈が成り立たなくなってきているのは明らかだ。もともとの後進国も経済発展に伴って各種のルールや倫理観などが醸成されるはず。

人件費は複利式に年5%程度の高い伸び率を維持したら、思ったより早く先進国並みの賃金になる。そうなると、もはや海外生産のメリットが小さくなって「物流コストも考えれば、生産拠点を日本国内に戻そうか」みたいな考えが出てきてもおかしくないと思う。

一度は海外に持っていった生産拠点を逆回転させて国内に持ってくる。それは決してポジティブな意味合いではない。その時、これまで「ああ、でも、海外製か…」と後進国を見下していた目線で、自国を見つめざるを得ないからだ。

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