海千葉典

海千葉典

マガジン

  • ぼっぱら堂禍異談

    この御噺は【完全に】フィクションであり、実在の人物・団体とは【絶対に】関係ありません。 しかしながら関係を想起・邪推されることは読者様の御自由ですので、作者の手に負える範囲ではありません。

記事一覧

真円貌の怪【其ノ貳】

此れ迄の御噺 https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6 前回の御噺 https://note.com/sea_thousandleaf/n/n0e88f491f6d5     四  電話した時点で何とな…

海千葉典
10か月前
2

真円貌の怪【其ノ壹】

此れ迄の御噺 https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6 ぼっぱら堂禍異談【惨夜】 〜風来坊・軛駝梅苑の語り〜       一 「或る日の夕間暮れのこと」…

海千葉典
10か月前
3

鐘姫詣りの怪【其ノ參】

此れ迄の御噺 https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6 直近迄の御噺 『鐘姫詣りの怪』其ノ壹 https://note.com/sea_thousandleaf/n/n9303cffb2e2c 『鐘姫詣り…

海千葉典
10か月前
4

鐘姫詣りの怪【其ノ貳】

此れ迄の御噺 https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6 前回の御噺 https://note.com/sea_thousandleaf/n/n9303cffb2e2c      五 「清華からもお聞きに…

海千葉典
11か月前
3

鐘姫詣りの怪【其ノ壹】

此れ迄の御噺 https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6 ぼっぱら堂禍異談【双夜】 〜女学生・巳津塚桜花の語り〜      一  確かに「或る日の夕間…

海千葉典
11か月前
3

藪ヶ池の怪【其ノ貳】

此れ迄の御噺 【礼】 https://note.com/sea_thousandleaf/n/n83e63fd2cfe5 【除夜】其ノ壹 https://note.com/sea_thousandleaf/n/nd3b1ef251aa6      四 「伝七よォ…

海千葉典
11か月前
2

藪ヶ池の怪【其ノ壹】

前回の御噺 【礼】 https://note.com/sea_thousandleaf/n/n83e63fd2cfe5 ぼっぱら堂禍異談【除夜】 〜ぬらり翁こと影浪泊庵の語り〜      一 「或る日の夕間…

海千葉典
11か月前
2

ぼっぱら堂禍異談【礼】

〜大学生・中山桂馬の語り〜【断章】極嶽院大学不可視研究会・平成十九年度発行誌『実録・志怪伝承』より抜粋 「或る日の夕間暮れのことにございます」——。  薄闇から…

海千葉典
11か月前
9
真円貌の怪【其ノ貳】

真円貌の怪【其ノ貳】

此れ迄の御噺
https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6
前回の御噺
https://note.com/sea_thousandleaf/n/n0e88f491f6d5

    四

 電話した時点で何となしに厭な予感はしたんでやすがね。そういうのは当たるもんで哲先輩が紹介してくれた『高橋君』てのは女性でありやした。
 いや、何もあっしはキ

もっとみる
真円貌の怪【其ノ壹】

真円貌の怪【其ノ壹】

此れ迄の御噺
https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6

ぼっぱら堂禍異談【惨夜】

〜風来坊・軛駝梅苑の語り〜

 
    一

「或る日の夕間暮れのこと」——とは限らねェのが、言ってみれば昨今の風潮とでも申しやしょうか。
 ぬらり翁のお言葉に当てつける気はねェのでごぜェやすが、とかく今時代の怪異、妖怪変化、幽霊なんてェのは「時も場所も

もっとみる
鐘姫詣りの怪【其ノ貳】

鐘姫詣りの怪【其ノ貳】

此れ迄の御噺
https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6
前回の御噺
https://note.com/sea_thousandleaf/n/n9303cffb2e2c

     五

「清華からもお聞きになったかもしれませんが、その昔この地は度々『双子沼』に住まうとされる蛇頭の水神『怨陀羅魔尼』の起こす天災に悩まされてきました。これは村の

もっとみる
鐘姫詣りの怪【其ノ壹】

鐘姫詣りの怪【其ノ壹】

此れ迄の御噺
https://note.com/sea_thousandleaf/m/m5e404cb188a6

ぼっぱら堂禍異談【双夜】
〜女学生・巳津塚桜花の語り〜

     一

 確かに「或る日の夕間暮れ」、あの放課後の彼女との出逢いがきっかけだったかもしれません。私の親友『籠手清華』は何と云うんでしょうか、やはり人とちょっと違ったところが魅力的だったのかもしれません。容姿はそう、

もっとみる
藪ヶ池の怪【其ノ貳】

藪ヶ池の怪【其ノ貳】

此れ迄の御噺
【礼】
https://note.com/sea_thousandleaf/n/n83e63fd2cfe5
【除夜】其ノ壹
https://note.com/sea_thousandleaf/n/nd3b1ef251aa6

     四

「伝七よォ」としばらく考え込んでいた様子の幣六が口を開きます。
「するってェと何か?オメェが岡惚れした西洋髪の姝な女ってのは物の怪の類だったてェ

もっとみる
藪ヶ池の怪【其ノ壹】

藪ヶ池の怪【其ノ壹】

前回の御噺
【礼】
https://note.com/sea_thousandleaf/n/n83e63fd2cfe5

ぼっぱら堂禍異談【除夜】

〜ぬらり翁こと影浪泊庵の語り〜

     一

「或る日の夕間暮れのことにございます」——。
 これを御噺の前口上とさせて頂きましょう。もちろんかの『羅生門』の冒頭「或る日の暮方〜」に倣ったものにございます。やはり暮れ方、夕間暮れ、黄昏時は「誰

もっとみる
ぼっぱら堂禍異談【礼】

ぼっぱら堂禍異談【礼】

〜大学生・中山桂馬の語り〜【断章】極嶽院大学不可視研究会・平成十九年度発行誌『実録・志怪伝承』より抜粋

「或る日の夕間暮れのことにございます」——。
 薄闇から「ぬらり」と顔貌を出でたその『翁』は語り始める。
 まるで芥川の『羅生門』、その冒頭の如く。それはあえての模倣なのであろうか?
『百物語』の短縮版、否、その“凝縮版”として彼の翁が考案したと云う『七夜噺』。その暗幕の向こう側が今、詮にされ

もっとみる