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飾り棚にかがやく翠玉を並べて

カラフルな光が好き

キレイな音が好き

ツヤめく形が好き

美しい丸が好き


海へ向かえば
砂浜にしゃがみ込んで
オーロラに光るキレイな貝片を拾い集める


川を下れば
渓流を流れ研磨された
彩あざやかなガラス石を拾い集める


山に登れば
立派な大木から揺れ落ちた
滑らかにツヤめくドングリを拾い集める


小さな手からこぼれ落ちんばかりに
厳選された美しいまんまる達


袋に入れて振り揺らすと
ジャラジャラとしあわせな音を奏でてくれる


お気に入りのまんまる達を
無心で集め続けては持ち帰り
机の引き出しの奥に
大事に大事にしまっておくの


わたしはそんな子だった


***


いつもあなたの首元に鈍く光る翠玉
くすんだ翠色になぜか吸い込まれそうになった

「川で拾ったガラス片で作ったんだ」

あなたは自慢げにアゴを少し上げ
首につけた自作のチョーカーを見せてくれた


わたしのお気に入りと
あなたのお気に入りが
重なり合ったと知ったとき

一気に頬が紅潮したのを感じた

それを見たあなたはいじわるそうに微笑んでいた


しばらくしてあなたから手渡されたのは
翠玉のチョーカーだった

「形の良いガラス片があったから作ったんだ」

あなたの首元にくすみ光るガラス石とは
少しカタチと大きさが違ったけれど

吸い込まれそうな鈍い輝きをした翠色に
変わりはなかった

うれしいなんて言葉で
置き換えられる感情ではなかったから

そのまま翠玉のチョーカーを
わたしの首に付けてもらったの


その日から何ヶ月程の間だったかしら
二人の首元には同じ翠色が
ずっと鈍く輝き続けていた


わたしの想いと
あなたの想いが
重なり合ったとわかったとき

その光を胸の引き出しの奥に
大事に大事にしまっておいたの


***

それから十数年経ち
机の引き出しを開けると
お気に入りのまんまる達と一緒に
翠玉のチョーカーが変わらず鈍く光っていた

それらを全部まとめて
別の「袋」へと押し込んだ


胸の引き出しの奥に
大事に大事にしまっておくことも
とても美しく綺麗なことだと思うわ


けれども、わたしは

お気に入りのまんまる達を
見えるところに飾っておきたいって
思うようになったのよ

わたしじゃない、誰かにも
見て感じてほしいって
願うようになったのよ


今日は胸の引き出しから取り出した
翠玉のチョーカーを

noteという飾り棚に並べて
「ね、綺麗でしょ?」って
くすみ輝く様を見てもらいたいの


いつの間にかわたしのnoteには
輝くお気に入りのまんまるおもいで達が
いくつも並べられるようになった


形あるものは
いつか必ず形を失い崩れゆく

だったら

形なきものを
目に見える形に変えて
飾り棚に並べてみましょうよ


きっとまんまる達は
あたらしい色としあわせな音で
輝き出すはずだから



「飾り棚にかがやく翠玉を並べて」


〜END



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