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若年層にがんが増えている


フィナンシャル・タイムズ紙によると、過去30年間で、G20諸国の25歳から29歳のがん罹患率は、他のどの年齢層よりも急増しており、1990年から2019年の間に22%も増加している。

がんをより早期発見できるようになったということは、確かに若年層におけるがん罹患率の急増の一因でもある。けれども、フィナンシャル・タイムズ紙の分析や複数の研究によると、加工食品を多く食べるようになったこと、日常的に座っている時間が長くなっていること、毒素などの環境リスク要因にさらされるようになったことなどが、若者の栄養状態に大きな変化を起こしているという。

欧米のライフスタイルの影響で、新しい世代の若年層はさまざまな生活変化にさらされてきた。科学者たちはこれを「出生コホート効果」と呼んでおり、世代が進むごとに、後年になってがんを発症するリスクが高くなる現象が起きているとしている。

ハーバード・チャン・スクールおよびハーバード・メディカル・スクールの教授であり、早期発症がんに関する画期的な研究論文の共著者である荻野周史氏は、「1960年生まれの人々は、1950年生まれの人々よりも50歳未満でがんを発症するリスクが高く、このリスクレベルは若い世代ほど高くなると予測している」と語っている。

荻野氏らが、若年層で増加傾向にある14種類のがんに関する世界のデータを分析したところ、早期発症がんの危険因子として、超加工食品と、甘い飲み物やアルコールの摂取が増加していることが特定された。

超加工食品が、マイクロバイオーム(ヒトの体に共生する微生物の総体)に与える影響は大きい。その専門家であるティム・スペクター教授とクリス・ファン・トゥルケン博士によると、アメリカでは、現在、人々の摂取カロリーの60%以上が、イギリスでは、ヨーロッパで最も高い57%が、超加工食品だという。マイクロバイオームは、免疫システムを調整するのに重要な役割を果たしている。

荻野氏の研究によれば、食事、ライフスタイル、抗生物質の使用によって健康に害を及ぼすものに変化してしまったマイクロバイオームは、「腫瘍発生のもう一つの顕著な要因」だそうだ。14種類の早期発症がんのうち、8つが消化器系に関連しており、そのことが「口腔マイクロバイオームと腸内マイクロバイオームの病原性の重要性を示している」のだ。

フィナンシャル・タイムズ紙の分析によると、開発途上国が豊かになるにつれて、欧米式の食生活やライフスタイルが取り入れられるようになり、そのことが、50歳未満のがん罹患率の上昇につながっている。

1990年から2019年にかけて、ブラジル、ロシア、中国、南アフリカなどの高中所得国では、15歳から39歳のがん罹患率が、高所得国に比べて大幅に増加している。

現在、世界で毎年4100万人もの人が、がんを含む非感染性疾患で命を落としている。それを避けるために、そして健康寿命をのばすために何ができるのか。それを今後も考察していこうと思う。



参考資料:なぜ、ミレニアム世代のがん罹患率が急増しているのか | 世界経済フォーラム (weforum.org)



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