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【Exedra研究部】トレーニングコースのカリキュラムはこちら!

※2024年1月更新

千葉県柏市にある、古い空きアパートを改修した手作り科学館 Exedraでは、「Exedra研究部」の活動が行われています。が東京大学大学院を修了したスタッフのサポートを受けながら、小中学生が毎月、研究に取り組んでいます。研究部のコンセプトについてはこちらをご覧ください。

現在、研究部には、プレコース、トレーニングコース、ステップアップコース、チャレンジコースの4コースがあります。はじめて研究部に入部した方はトレーニングコースで基礎を身に着け、トレーニングコースを修了した部員は、さまざまなプロジェクトに挑戦するステップアップコース、チャレンジコースへと進んでいきます。ステップアップコースのご紹介はこちらの記事をご覧ください。プレコースは2024年に新設された小学2年生向けのコースです。小学校で理科が始まる前の学年ですので、理科・科学とは何なのか、体験を通じてイメージを膨らませながら、トレーニングコース以上で必要になるマインドセットや知識・技術等を身に着けます。

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\begin{array}{c:c:c}
コース & 対象者 & 概要 \\ \hline
プレコース & 小学2年生限定 & 科学に触れ、親しむ、味わい、研究の何たるかを垣間見る\\
トレーニングコース & 小学3年生以上 & 実験ノートの書き方など研究に必要な基礎的技術を学ぶ\\
ステップアップコース & トレーニングコース修了者 & 探求プロジェクトに取り組み研究を疑似体験する\\
チャレンジコース & ステップアップコース修了者 & 自分でテーマを決めて研究に取り組む
\end{array}
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この記事ではトレーニングコースの2024年度の年間カリキュラムをご紹介します。

トレーニングコースの年間カリキュラムは?

トレーニングコースは、実験や観察、テーマに沿った探究活動を通じて研究の基礎を身につけるコースです。1年間を通して、研究に必要な力を養い、研究者としての土台をつくります。

2024年度ステップアップコース年間カリキュラム

2か月ごとにテーマを変えながら、年間6種類以上の実験・観察に取り組みます。各テーマは全4回完結となります。

子どもたちがわくわくしながら取り組め、しっかりと基礎を固めることができるようなカリキュラムを、時間をかけて作りました。

また、生物、化学、物理、地学と、様々な分野に触れられるような構成になっております。

1⃣ 4・5月|研究の基礎を身につけよう

【ねらい】
研究の基本となる実験ノートの取り方や様々な実験・観察手法を各回完結の実験を通して習得します

第1回
試験管内で炭を作ります。実験ノートの基本的な書き方や実験器具の扱い方を身につけながら、観察対象の変化を記録することを練習します。

第2回
複数の水溶液を定性分析し同定します。実験条件や実験系の模式図の記録方法を学ぶほか、結果を言葉や表を用いてまとめていきます。

第3回
様々な岩石の分類に挑戦します。目の前のものよく観察し、類似・相違点を自分の言葉で説明する力を身につけます。

第4回
植物のスケッチを通して、スケッチの基本技法を身につけるとともに、観察の際に着眼し記録すべきポイントを学びます。

2⃣ 6・7月|計測器、正しく使えてる?

【ねらい】
計測器が物理量を測定する原理を理解し、計測結果の確からしさや誤差の要因を考察するための素地を身につけます

第1回
温度変化による物質の変化を学び、その性質を活かして簡易的な温度計を製作します。計測器の仕組みと原理を理解します。

第2回
温度の定義を学び、自然現象を活用して、自作した温度計を校正します。基準や目盛りの必要性と計測限界を確認します。

第3回
熱電対や赤外線など複数の温度計で温度を計測し、計測原理による特徴の違いを活かせば計測域が広がることを学びます。

第4回
温度計を用いて無機物質の溶解度曲線を作成します。グラフを描き、文献値と実験結果の値のずれの原因を考察します。

3⃣ 8・9月|セミの個体差はどのくらい?

【ねらい】
条件を揃えて計測することや観察結果の記録といった基本的な実験・観察の操作を学びます

第1回
公園で抜け殻を探し集めます。採取した場所や周辺環境、見つけた個数などを丁寧に記録します。

第2回
採取した抜け殻の種と性別の同定・分類を行い、注目すべき箇所のスケッチとともにノートに記録します。

第3回
体のどこを測るのが適切かを考え、条件を揃えて体の大きさを計測し、個体や種によるちがいを比較します。

第4回
計測結果をグラフにプロットし、ばらつきを考察します。他の昆虫や動物と個体差の幅を比較しながら議論を深めます。

4⃣ 10・11月|"きれいな水"を確保せよ!

【ねらい】
様々な実験器具の扱い方や結果の比較・検討の方法を学ぶとともに、対照実験の重要性を理解します

第1回
”きれいな水”の定義を考え、透明度やpH、溶質の違いなど様々な角度から天然水の水質を調べます。

第2回
ろ過、煮沸や蒸留など様々な手法を用いて懸濁物や水に溶けている成分の除去を試み、前後の水質を測ります。

第3回
浄水場で水を浄化するためにおこなわれている工程を学習・考察し、実験室で水を浄化する方法を試行錯誤します。

第4回
前3回で得た知見を活かし、汚水を飲用水にを浄化することに挑戦します。

5⃣ 12・1月 |目指せ!気象予報士

【ねらい】
室内で確認できるひとつひとつの現象をもとに地球規模の大きな現象を説明できることを実践的に理解します

第1回
身近な道具や真空チャンバーを用いて大気圧を体感するとともに、気圧について学び、気圧差で風が起こる仕組みを理解します。

第2回
ラジオを聞いて天気図を描きます。日本周辺の気圧配置や西から東へ天気の変化する傾向に気づき、その理由を考えます。

第3回
フラスコに疑似的な雲を作る実験や温度差のある流体の動きの観察を通して、雲や風が生じる仕組みを理解します。

第4回
天気図を読んで翌日の天気予報に挑戦する他、様々な気象現象が起こる仕組みを考察します。

6⃣ 2・3月 |開発!最強の紙飛行機

【ねらい】
文献調査から課題を見出し、条件を揃えて繰り返し実験を行い、試行錯誤することに挑戦します

第1回
ものが飛ぶ原理を学ぶために、紙を少しずつ変形させながら仕組みを比較します。

第2回
データの計測方法について学び、作った紙飛行機の飛行距離や滞空時間の測定を行い、再現性を確認します。

第3回
紙飛行機を長く/遠くへ飛ばせる構造的な条件を考えます。簡単なシミュレーションも用いて改良方法を考え、最強の紙飛行機を目指します。

第4回
自分で作った飛行機を飛ばし、飛行距離や滞空時間を記録し、得られた結果について考察を行います。


2022年度に1年間トレーニングを積んだ部員たち。実験の基礎的な操作や実験ノートを適切にまとめる力はもちろん、物事をよく観察し論理的に思考するする力も身につきました。その成長ぶりはスタッフも驚くほど。今後が楽しみです!

2022年にトレーニングコースを修了した修了生たち
ひとりひとりに修了証を手渡します
修了生たちは今もステップアップコースで活躍中です。

彼らに続く新たな研究部員たちを大募集中です!

活動の見学は随時受付中!

 入部をご検討されている方を対象とした見学(体験実習あり)を活動日に実施しております。入部をご検討の方はこちらのフォームからお問い合わせください。

科学に興味があり、研究や自分で手を動かすことが好きなお子さんはぜひ一度、足を運んでみてください。

研究者の卵たちがたくさん集まることを楽しみにしています!


手作り科学館 Exedra 羽村 太雅、宮本 千尋
【お問い合わせ】info@exedra.org(担当:羽村)


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