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小中学生がプロ顔負けの研究に挑戦!! Exedra研究部員が2年目に取り組むプロジェクト

千葉県柏市にある、古い空きアパートを改修した『手作り科学館 Exedra』では、東京大学大学院を修了したスタッフのサポートを受けながら、小中学生が毎月、研究に取り組んでいます。2022年に『Exedra 研究部』へ入部した1期生は、1年間のトレーニングコースを修了し、2年目となる2023年は1年かけて新たなプロジェクトに挑戦します!! 大学や研究所の科学者も顔負けの、ジュニア研究者たちの挑戦を紹介します。

2年目はステップアップコースで新たなチャレンジ

大人の中には、学校で自由研究が課されても、研究の仕方やまとめ方は教えてもらえなかった、という方は多いのではないでしょうか。研究には、テーマを決めて関連する先行事例を調べ、自分が挑戦する問いを立て、それを解き明かすために実験や観察をおこない、結果を記録し、成果を整理してまとめるなど、様々なステップがあります。そのひとつひとつにやり方があり、指導を受けてトレーニングすることで上達します。
そこでExedra研究部では、まずは実験や観察の技術を磨き、結果を整理して記録する方法を学び、研究に取り組む姿勢や考え方を身につけるトレーニングコースを用意しています。入部1年目の部員は、まずはこのコースで、研究の基礎を習得します。トレーニングコースのカリキュラムは別の記事で紹介しておりますので、そちらをご覧ください。
トレーニングコースで1年間のカリキュラムを修了したら、スタッフが提案したプロジェクトに取り組むステップアップコースに進みます。ここでは、壮大なプロジェクトにじっくりと向き合います。そして最終的には、一人前の研究者として、自分でテーマを決め、問いを立ててオリジナルの研究に取り組みます。
2023年のステップアップコースでは、3つのプロジェクトを用意しました。ひとつは世界中でまだ誰も成功していない、まさに世界最先端の研究です。ふたつ目は、人類がこれまで発展させてきたものづくりの技術を追体験するプロジェクトです。そして最後は、新たな研究の種を探す取り組みです。各部員は、興味を惹かれるプロジェクトを選び、取り組みます。この記事では、3つのプロジェクトを順に、紹介します。

2023年 ステップアップコースのテーマたち

数時間~数週間で?! 人工化石を作る

化石には印象化石と呼ばれる、生き物の体が型押しされたものもありますが、ここでは生き物の体を構成する成分がケイ酸塩などの「石」に分子レベルで置き換わったものを化石と呼ぶことにします。
化石化には長い時間が必要だと考えられていますが、短期間で化石を作る方法も研究されています。これは生き物の体が化石化する過程を明らかにするために重要な取り組みのひとつです。例えば鉱泉の中では急速に化石化が進むと言われています。富山県では、木を温泉に漬けて化石化させる研究もおこなわれていました。
では、果たして生き物の体の一部をもっと短時間、例えば数時間から数週間で化石にすることはできるのでしょうか。また、化石化したか否かはどのように判定できるのでしょうか。Exedraから比較的近い大堀川や利根運河でも化石が取れると言われていますが、果たしてそれは『化石』と呼べるのでしょうか。自分で化石を作り、検討します。
世界でまだ誰も実現できておらず、化石化『成功』へのハードルは高いものの、化石の定義を考えたり、化石化したと言える根拠を探したり、自作した化石を分析したりする過程で、研究に取り組む際の考え方や課題を克服するマインド、そして分析技術などを身につけることができるでしょう。自分たちで化石を作ることができれば、大きな発見になることでしょう。

「本の作り方」の本を作る

一冊の本を、原料から作ったことのある人は、まずいないのではないでしょうか。Exedra研究部では、植物から繊維を取り出して紙を作り、インキを自作し、自分たちで印刷します。
紙は植物の繊維から作られています。そこで様々な植物を集め、繊維を取り出して紙すきをします。近所の手賀沼で繁茂している特定外来生物のオオツルノゲイトウは、紙になるでしょうか!? 南房総で作られているサトウキビの搾りかすは?! こちらも増えてしまったマテバシイの廃材はどうでしょう?! 自分で手を動かしてみるとわかることがあるでしょう。
インキや印刷の方法も、複数ある選択肢を検証し、候補の中から選んで進めます。そして最終的に、必要な薬品の調合や試行錯誤の過程などを文章や図などを用いてまとめ、製本して書籍に仕上げます。
試行錯誤しながらプロジェクトを遂行していく力、そして先人の蓄積した知見を調査・学習し、追試を経て、実証的に理解する力、さらには得た知見や考えたレシピを論理的な文章や図表で整理して表現する技術を身につけられるのはもちろん、本を量産することで成果が社会に広がってきた歴史を追体験し、機械製紙や活版印刷術などをはじめとする歴史的技術革新と現代の社会課題を学び貢献することが可能です。
したがって、製本した成果物は図書館に寄贈するほか、一般販売も行う予定です。ぜひ、仕上がりを楽しみにお待ちください。

解剖してわかることを探す旅

人間から遠い始原的な生き物から順に、進化の過程を考えながら解剖します。例えばザリガニ、貝、魚、カエル、カメ、鳥、哺乳類(キョン、ニホンザル、アライグマなど)を想定しています。解剖のために殺すのではなく、ロードキルや個体数調整、駆除などの過程で殺された個体を利活用します(一部、食用に販売されているものを使用することもあります)。
単に切り刻むのではなく、体の構造を観察し、スケッチや詳細なメモで記録を残します。事前に調べた構造と実物を比較考察することで、生き物の構造と体の機能の対応を学ぶとともに、進化の過程を考察します。また、例えば歯を割って年齢を調べたり、成長曲線を描いたり、はく製を作ったりと解剖の結果からわかることを探し出し、新たな知見を得ることを目指します。
解剖した個体は、標本化します。骨格標本、液浸標本、乾燥標本など、様々なタイプの標本の特性を学とともに、その作り方を習得します。

プロジェクトの成果をまとめて発表する

それぞれのプロジェクトで学んだことや試行錯誤したこと、そして解明された成果は、例えば本として、あるいは論文として、もしくは手作り科学館 Exedraの展示として、広く世に発信します。多くの方に成果を共有できるよう、プロジェクトに取り組むジュニア研究者たちを、ぜひ後押しください。

研究部員 募集中

こうしたプロジェクトに取り組む研究部員を募集しています。3月には説明会を開催します。4月以降の入部をご検討の方は、見学のお申し込みも受け付けています。興味をお持ちの方は、奮ってご連絡ください。


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