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【現代哲学者対決】まさかのニーチェVSバシュラール!『空と夢』という科学+文学のフュージョンを説いた本がいろんな意味で凄い
皆さん、こんにちは。noteでイラスト入り夢日記などをやっておりますヤシロと申します。
自分が夢の分析などをするために、
現代思想と呼ばれる潮流の中でも「夢」や「無意識」をテーマにした哲学書には目がなく、
特に好きな哲学者として先日、バシュラールを紹介しました↓↓↓
そして、そんなバシュラールの書いた『空と夢』という本をこのたび読んだのですが、
![](https://assets.st-note.com/img/1719292073195-iG9p9MQQwd.jpg?width=800)
とんでもない発見がありました。
途中でまるまる一章分を使って、バシュラールがニーチェの読解を行なっている!バシュラール先生がニーチェに挑んでいたことがあったなんて、恥ずかしながら今日まで知らなかった!
![](https://assets.st-note.com/img/1719288614974-Uz7TTSLfEE.png?width=800)
しかもその対決が、『空と夢』という、言ってはナンですが、バシュラールの生涯の著作の中でもかなりマイナーなほうの本(!)の中盤で行われていたとは!
それにしても、、、
この『空と夢』という本、
読めば読むほど、
よほどなバシュラール好きでないと手に取ることはないのでは?すなわち、
悪口ではなく褒め言葉なのですが、これほどまでに現代哲学の理解において「なんの役にも立たない」本も凄まじいw。現象学ともフロイト精神分析ともハイデガー存在論ともマルクス主義とも構造主義とも、まったく、みごとに、何の関係もない孤立無援のテーマである、、、「古今の文学や神話に出てくる『風』のイメージを軸に、『物質と人間の夢想の歴史』を描こう」という、バシュラールでなければ考えもつかないような「哲学テーマ」をひたすら一人で開拓してるのだからw
そしてこれが、「火」「水」「土」それぞれを冠したバシュラールの一連の「物質と夢想」シリーズの一翼になってる。
、、、て、「さあ、これで、火・水・風(空)・土(大地)の四つについての本を書いたぞ!」って、「ファイナルファンタジーか!」っと中二扱いされる危険も気にせず、堂々と「四元素シリーズ」を上梓するのが、永遠の夢想家たるバシュラールです。いいですねー、あなたはこうこなくちゃ!見事に、他の現代哲学の潮流とまったくクロスしない独自すぎる世界観ですけどね!
そんなバシュラールが、
ニーチェを、どう読んだか、というと、
・みんなはニーチェのことを「大地の哲学」とか「火のような精神の哲学者」とかいうけど、それは違う!
・ニーチェに似合うのは、実は「風」属性なのだ!
・その証拠に、『ツァラトゥストラ』は「高原の冷たい風にあえて打たれに行く」とか「高い山の洞窟にこもる」とか「下山して街の人々に教えを伝えに坂を下る」とか、「上下移動」がメインになっている!
・さらに『ツァラトゥストラ』の重要箇所では、「星空」とか「正午の太陽」とか、天体のイメージが駆使されている
・このようにニーチェの文体がもっとも輝くのは、彼が土や火や水の比喩を使う時よりもだんぜん、「風(空)」のイメージだ。ゆえにニーチェの夢想家としての資質は、「風属性」だ!
という、
「なるほど!言われてみるとニーチェの『ツァラトゥストラ』の文体やメタファーには風・空・天体系がすごく多い!これがニーチェの文章の迫力か!」
と、私のように素直な人は思ってしまうが、
ただし、バシュラール本人が、この『空と夢』で、以下のように強調しています↓
「あ、そうそう、ひとつ警告しとくけど、私のこの『空と夢』を読み終えても、『ニーチェの哲学』を理解する助けにはならないから、そこのところは気をつけてね」と。
さすがバシュラール先生。ここまで、「このシリーズでの私は、普通の意味で『読んで役に立つ本』を目指してないからね」と言い切ってるのも凄い。「まあ、わしの本領は科学哲学のほうだから、役に立つ本が読みたければわしの『科学的精神の形成』とかを読んでね?」というのがいつわらざる本音でしょうけど。
しかし、私が見るに、
バシュラールのこの一連の、
「火、水、風、土」分析シリーズは、ただの趣味的な本などではなく、
おそらくバシュラールの本意は、「偉大な詩人や文学者や名文家というのは、まったくの空想世界に生きている人ではなくて、この世界の火とか水とか土とか風とかといった『物質』をよく観察しそのイメージを豊穣に使える人のことなのだ。つまり、『物質を愛する心』という点では、偉大な詩人と偉大な科学者とは出発点は同じなのだ」という、
「唯物論」をキーにした科学哲学+文学批評のフュージョンをやろうというところにあるのではないでしょうか?そしてそのように仮説すると、『空と夢』から学べるものは、なにかの客観的知識ではなく、このようなテーマで(ニーチェを含んだ)古今の様々な名文家の魅力を語っていく、バシュラールの「世界の見方」そのもの、ということになるのでは?
そして「独特な世界の見方をしていること」をも、哲学のあり方のひとつにカウントしていいなら、紛れもなく、バシュラールは孤高の哲学者です。なるほど、現象学とも実存主義ともマルクス主義ともみごとに関係ない「哲学」ですが、
「科学とどう付き合うか」といったテーマを考えようとする際、「ひょっとすると、バシュラールこそ、なにか未来の人類の生き方のヒントになる重大なキーを持っているのでは?」とゾクゾクとすることがあることは確かなのです。
ただしバシュラール本人が何度も言う通り、「ニーチェ哲学を理解する上では、わしの本は別に役に立たんからね」は、なるほど、どうやら、そのとおり、、、
子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!