見出し画像

もう時効だと思うので今なら話せる【ドラキュラ】原作を高校生だった私が読み切ることができたワケ


まずこれは強調しておきましょう。

「19世紀イギリス文学の名作」といえば、ディケンズからルイス・キャロルからコナン・ドイルまでいろいろありますが、

ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』も、それらに負けない超絶面白い傑作小説です!

にも関わらず、よほどなホラー小説好きでないと、

なかなか「ドラキュラ?もちろん、原作小説もちゃんと読んだことあるよ!」という人は珍しいでしょう(もしかしたら、よほどなホラー小説好きでも、ドラキュラ踏破者は、ややレアかもしれない)。

どうしてレアなのか?

私は知っている。

現代のホラー小説に慣れている人からすると、ドラキュラ原作は、いささかテンポが緩すぎてかったるいのです。

それだけでなく、本作は、内容のすべてが、登場人物たちの「手紙や日記やメモからの引用」でできているという擬似ドキュメンタリー形式をとっているのですが、このスタイルがまたとっつきにくく、、、語り手のキャラも文体も章ごとにコロコロ変わってしまう、これが挫折ポイントでしょう(第一章から読んだ人はてっきりジョナサン・ハーカーが主人公と思うでしょうが、早々と退場して、ミナやらルーシーやらヘルシング教授やらに語り手がどんどん移り、その合間にはいっけん特に本筋に関係のないレンフィールドなる精神病患者のカルテとか(ずっとずうっと後半になって実はキーパーソンだとわかるんですが)が「資料」として登場したりして、正直、読者の集中力をヘシ折りにくるw)

だが!

本作を高校生の時に読破した私の経験から言いましょう、

ルーシーが死んだあたりから物語は怒涛の展開ラッシュになり、文字通り、「それで?次はどうなるの?次はどんなことが起こるの?」と手に汗握りながら最後までやめられなくなるのです!

それにしても、このような大作古典を高校生の時に読み切った私ですが、

どうしてそんな年齢の、他にも趣味なら多々ある私が『ドラキュラ』読書にハマりきれたのかというと、

なんのことはない、、、実は高校の時のある日、とても嫌な悲しいことがあり、その翌日、精神的に辛くなって、、、まあ、一日、親に対して仮病を使って学校を休みにしてもらった、その日に、ベッドの中で読んだんですw

もう時効と思うので話すことですがね。

ですが、それなりに真面目だった当時の私、仮病だったと言っても「体調不良で休みます」と言ってしまった以上は、元気に起き出してテレビゲームをするわけにもいかないと思い、いちおう、その日はベッドでずっと寝ていたのですが、、、

特に眠くもないので、

たまたま図書館で借りてきていたものの、数日前に「長くてとても読みきれないや!」と、30ページくらい読んだところで挫折していた『ドラキュラ』をカバンから取り出して読んだわけです。

いやはやそうなると、「今日は一日、ベッドでおとなしくしていよう」と覚悟を決めた縛りがあったおかげで、凄まじく読書が進み、

私はルーシーの死のあたりまで到達し、

いつのまにか完璧に作中世界に引き込まれていて、

そのまま、凄まじい勢いで読み切ってしまったわけです。後半は怒涛の集中力での速読ペースでした。

それで学校のほうはどうしたかって?『ドラキュラ』を読んで「こんなに面白い小説があったなんて!」と胸をときめかせた私、

なんとなく元気が出てきて、翌日から、また、学校に通えるようになりましたとさw。いや、今となって私の高校時代の話をすると「そんな目に遭わされていてよく登校拒否にならなかったなね!」と驚かれるほど、私の高校時代はヤバかったみたいですが、それはまあ別の話。

私に限らず、面白い文学に出会ったことで、少年少女時代の辛い時期を乗り越えることができた、という人は多々いるはず。ただ、私の場合はそんな「10代の時のアツい読書体験」の対象が、

村上春樹でもなければ三島由紀夫でも夏目漱石でも、カミュでもゲーテでもなく、『吸血鬼ドラキュラ』というのは、なんとも私らしいと、今から振り返ると、思ってしまう。

とまあ、話が脱線しましたが、

今一度、強調させていただきますと、

19世紀末にイギリスで書かれた『吸血鬼ドラキュラ』は、現代の読者にはとっつきにくいスタイルですが、そこを我慢して突破すれば、間違いなく大衆文芸史上屈指の傑作娯楽小説です!ホラーが好きな人はぜひ一度、原作読破にチャレンジしてほしいし、あとは、ロンドンという街そのものが好きな人も、この作品における19世紀ロンドンの生活や風物の書き込みには魅了されるのではないでしょうか!読書好きな方はチャレンジぜひ!

※追記:これだけ言っても「原作のドラキュラに興味あるけど長すぎて読むのはツラい」と仰る方にはw、仕方ない、「原作の雰囲気をよく伝えているバージョンの映画」として、フランシス・コッポラの『ドラキュラ』を上げておきましょう。ラストの展開が原作と違うのが残念ですが、それ以外はぴったり原作通りのストーリーだし、「ドラキュラ城」のセットが凄いし、俳優陣も超豪華だし、なんといってもルーシーのお墓の中での吸血鬼退治シーンは、抑えめの照明にユラユラと歩く吸血鬼の影が怖くて美しくてゴシック感覚バリバリで、ホラー映画史上屈指の名シーンと思います。。。

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!