「知っている」ことが「できる」こととは限らない

先日ある企業の依頼で、SWOT分析の方法を指導しました。
SWOT分析とは企業や組織などの特徴を強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)に分類し、その後TOWS分析(クロスSWOT分析)に置き換え、積極的展開、弱点改善、差別化、回避・撤退といった戦略方針を検討するための分析フレームワークです。

今回お手伝いした企業の担当者ならびに経営者の方は、インターネットなどで調べたものの、方法がよく解らないことや、結果が適切だと思えないと感じたことから、時間的な制約もあり、お声かけ頂きました。
結果的に担当者の方が「専門家でないと適切に分析・判断できない」という結論を出され、継続的にお手伝いさせていただいています。

実はこのSWOT分析分析は、企業や事業の分析フレームワークとしてはとても有名ですから、ご存知の方もおおいと思います。しかしTOWS分析については、意外と知られていません。またSWOT分析で適用・分類する要件は他の様々な分析から導き出すことや、SWOT分析自体の順番があることも知られていません。
こうした知識や理解なしで活用できないわけではありませんが、多くの場合、本来の目的に合った、適した結果を得ることができません。こういう表現をすると気分を害する方もおられるかもしれませんが、SWOT分析について書いている方や、説明している方でも、ちゃんと理解している方は少ないように感じます。

ちなみに上記のお手伝いさせていただいた企業では、SWOT分析の前にPEST分析、3C分析を説明しましたが、その際独自に作成したフレームワーク集でこの2つ以外にも6種類のフレームワークを推奨していますので、これらも示して説明しました。またこの際に、他のフレームワークも使用しています。

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実は研究者(学者)は、自分ではフレームワークをあまり使用しません。それぞれに必要な理論を全て理解しているので、いちいちフレームワークに当てはめなくても、必要な理論を全て使用して考えるからです。
言い換えれば、必要な理論を理解して実行できれば、フレームワークなど知る必要がありません。ですからどの分野でも、プロフェッショナルの方はフレームワークを使用しないのではないでしょうか。

こうしたフレームワークについて説明する時、いつも感じることがあります。
それは「知っている」ことと「理解している」こと、「できる」ことは全く別だということです。先にも記しましたが、SWOT分析について「知っている」人は多いですが、「理解している」人は少ないように感じます。なぜなら「できていない」からです。

どんなことでもそうですが、「知る」だけなら誰でもできます。「理解する」には勉強しなければなりません。そして「できる」ようになるためには、訓練と経験が必要です。つまりどのくらい「理解している」かは、どのくらい「できる」かで判断できるわけです。

これがましてや「実践している」かとなると、さらにハードルが高くなります。

ことわざに「医者の不養生」とか「紺屋の白袴」というものがありますが、その道の専門家が、自分のことも「実践している」とは限りません。
かく言う僕も少し前、色々なことがあって視野が狭くなったり、気持ちに余裕がなくなったことで、自分が講義で話していることや企業に指導していることを、自分自身でができていなかったことに気づきました。

「知る」 「理解する」 「できる」 「実践する」は繋がっていますが、全く違います。

自分がどの段階なのか、客観的に判断することで、成長することができます。

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