【読書録】『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』越川慎司
今日ご紹介するのは、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(2020年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。著者の越川慎司氏は、株式会社クロスリバー代表。同社は、600社以上の企業に対し、働き方改革の支援をしてきたそうだ。
この本のユニークなのは、AI分析を活用しているところだ。25社の企業に所属する、各社の人事評価の上位5%の社員と、そうではない一般の95%の社員の行動や働き方を記録し、データ化したものを、AIと専門家によって分析したという。そしてそこから、「5%社員」の共通点や、残りの95%の一般社員との違いを抽出したという。そのサンプル数は「5%社員」と「95%社員」それぞれ9,000名、合計18,000名分に及ぶという。
そして、その調査をもとに、成功のためのルールを導き出し、それを再現してみると、多数の事例で再現できたという。
この本の章立て
この本は、以下のとおり、序章を含め7つの章から成り立っている。
どの章も大変興味深かった。サンプル数の多いデータによるものは、何よりも説得力がある。どの章も、腹落ちすることばかりだった。
以下、いくつか印象に残った点を記録しておく。
序章:AI分析によりわかった結果を出す人の五原則
いろいろな示唆があった。「過程よりも結果を重視」「時間を大切にする」「仕事は量ではなく質」などの原則は、仕事で成功するだけではなく、仕事以外の面でも人生を豊かに過ごすためにも必要なことだ。
また、「好意の返報性」や「心理的安全性」などの人の心理ついて理解し、自ら「弱みを見せる」「自己開示をする」ことにより、信頼できる人脈を構築するのも重要だ。
第1章:95%社員に典型的な行動
凡人である社員がやっている行動を6つ紹介する。
そのなかで、ついつい私もハマっている罠があった。まずは、「作業充実感に浸る」「重要そうな資料を用意してしまう」だ。成果を出すために必要な労力以上の労力をかけて、自己満足に浸っているのではないかと気づかされた。
また、「平日も休日もこまめにメールチェックする」というものもそうだ。私はオンとオフの切り替えが苦手で、つい休日も仕事のメールにアクセスしなければ罪悪感にかられる。が、そうすると、うまく気分転換ができない。5%社員は上手に優先順位をつけているらしい。
第2章:5%社員のシンプルな思考と行動
上位「5%社員」の10の思考や行動パターンの紹介。
個人的に注目したのは、「完璧を目指さない」「完成度が20%で意見を求める」というものがあった。完璧を期すあまり行動力が落ちてしまいがちだが、スピード重視の世の中。悩みすぎるよりトライアンドエラーを心掛けたい。
また、「止まって考える時間を設ける」「笑顔の連鎖を作る」にも、ハッとさせられた。日々、たくさんの業務が寄せられると、つい目の前のタスクに忙殺されがちだが、立ち止まって考えて、気づきや学びを得て、改善につなげることが成長につながる。また、笑顔になって肩の力を抜き、余裕を持って人と接すると、人に与える印象が良くなり、それが良い結果をもたらす。
第3章:トップ「5%社員」の強いチームをつくる発言
強いチームを作るための発言例が6つ上がっている。
「『いいね』『そうだね』『さすがだね』」のほか、「そうかもしれない、しかし私はこう思う」「賛成、さらにこれやろう」「そうだね、でもさらにこうすれば良いね」など、とにかく相手を否定せずに承認し、相手の懐に入る。私の尊敬するリーダーたちは、確かにこいう発言を上手に使っているなあと、過去に仕えた上司たちを振り返ってそう思った。
第4章:トップ「5%社員」のすぐやる習慣
この章では、成功するための習慣を7つ挙げている。
私は、そのうち、「メールの返信が15分以内」「新たな経験を好む」「学びをすぐに実践する」について、特に共感した。できる社員はとにかくメールの返信が早い。そして、新しいテクノロジーやサービスをどんどん試す。改善点があればすぐにそれを取り入れる。やはり現代においてはスピード感が大事だ。
そして、「席にいない、動き回る」というのもそうだ。仲間を増やし、人を巻き込み、頼る。それによって、できることが大きく広がる。自分から人脈を作るのは私の苦手なエリアなのだが、少しずつ頑張ってみたいと思った。
第5章:今日からできるトップ「5%社員」のルーティン
1~4章の分析をもとに、具体的な行動レベルに落とし込んだ提案。幅広い観点からの6つの提案。
このなかでは、私は、「週に1回、15分間の内省タイムを持つ」「ランチで『ヨコの人脈』」を構築する」というのを実践したいと思った。
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上記に列挙した以外にも、さまざまな行動例、発言例、習慣例が書かれている。読む人の性格や構築してきた働き方によって、刺さる部分が違うと思う。
ご自身の行動を変えるきっかけになるのはもちろんのこと、部下を持つリーダーの方や、人事部の方が、部下のなかから5%社員になりそうな有望な人物を発掘するためにも役立つのではないだろうか。
ご参考になれば幸いです!
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