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【読書録】『エッセンシャル思考』グレッグ・マキューン

今日ご紹介するのは、グレッグ・マキューン氏の『エッセンシャル思考』(かんき出版、2014年)。副題は、『最少の時間で成果を最大にする』。訳は、高橋璃子氏。

著者は、シリコンバレーのコンサルティング会社のCEOで、GAFAなどの企業をクライアントとし、アドバイスを行ってきた。人気ブロガーでもあり、2012年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダーズ」にも選出されたということだ。凄腕のコンサルタントであり、ビジネスマンのようだ。

この本は、ひとことで言えば、「エッセンシャル思考」を持つことを提唱するものである。老若男女問わず、誰もが、それぞれ、幸せな人生を送りたいという願いがあるだろう。そういう願いをかなえるために、知っておき、実践できるとよいのが「エッセンシャル思考」だ。後悔のない人生を送るための秘訣がたくさん詰まっている。

そして、この本は、とても読みやすい。文章の流れがよく、ポイントも明確で、するすると読める。具体例も、大変豊富で、共感できるものばかり。この本をパラパラと読んでみるだけで、誰でも、エッセンシャル思考を実践できそうだという気持ちになれるだろうし、実際に、エッセンシャル思考で幸せをつかむことができると思う。

エッセンシャル思考とは

では、エッセンシャル思考とは何か。本書で筆者がエッセンシャル思考について述べた核心的な部分について抜き書きをしてみよう。

エッセンシャル思考とは、まさに、「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方だ。(p21)
エッセンシャル思考は、より多くのことをやりとげる技術ではない。正しいことをやりとげる技術だ。(p22)
要するにエッセンシャル思考とは、自分の力を最大限の成果につなげるためのシステマティックな方法である。やるべきことを正確に選び、それをスムーズにやりとげるための効果的なしくみなのだ。(p24)
エッセンシャル思考は、自分の選択を自分の手に取り戻すための道のりである。(p24)
エッセンシャル思考とは、「より少なく、しかしより良く」を貫く生き方だ。それは未来へ向かうイノベーションである。(p48)
(...)エッセンシャル思考の目的は、世間的な成功を手に入れることではない。人生に意味と目的を見いだし、本当に重要なことを成しとげることだ。将来自分の人生を振り返ったとき、どこにでもありそうな達成リストが並んでいるよりは、自分にとって本当に意味のあることをひとつ達成したと確信できるほうがいい。(p286-287)
エッセンシャル思考の生き方は、意味のある生き方だ。本当に大切なことを大切にする生き方だ。(p293)
エッセンシャル思考を生きることは、後悔なく生きることだ。(p294)

いかがだろうか。エッセンシャル思考を持つと、より良い人生が送れそうだと、ポジティブな気分にならないだろうか。

エッセンシャル思考の考え方とテクニック

本書が説くのは、エッセンシャル思考の考え方と、そのテクニックだ。

これらについて、私がくだくだと要約するよりは、この本の目次から、PART 1 からPART 4までの見出しを書き出すほうが、よほど分かりやすい。

そこで、以下のとおり、書き出してみる。

PART 1 エッセンシャル思考とは何か
第1章 エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考
第2章 選択ー選ぶ力を取り戻す
第3章 ノイズー大多数のものは無価値である
第4章 トレードオフー何かを選ぶことは、何かを捨てること
PART 2 見極める技術
第5章 孤独ー考えるためのスペースをつくる
第6章 洞察ー情報の本質をつかみとる
第7章 遊びー内なる子供の声を聴く
第8章 睡眠ー1時間の眠りが数時間分の成果を生む
第9章 選抜ーもっとも厳しい基準で決める
PART 3 捨てる技術
第10章 目標ー最終形を明確にする
第11章 拒否ー断固として上手に断る
第12章 キャンセルー過去の損失を切り捨てる
第13章 編集ー余剰を削り、本質を取り出す
第14章 線引きー境界を決めると自由になれる
PART 4 しくみ化の技術
第15章 バッファー最悪の事態を想定する
第16章 削減ー仕事を減らし、成果を増やす
第17章 前進ー小さな一歩を積み重ねる
第18章 習慣ー本質的な行動を無意識化する
第19章 集中ー「今、何が重要か」を考える
第20章 未来ーエッセンシャル思考を生きる
最終章 エッセンシャル思考のリーダーシップ

この目次の流れからも分かるように、本書は、エッセンシャル思考とは何か、その基本的な考え方を述べた後に、それを実践するために必要な要素を、順序立てて展開する。

それらは、本質の見極め(PART 1)、本質以外の余剰の断捨離(PART 2)、本質にフォーカスした行動のしくみ化(PART 3)だ。

感想

何度も何度も、頷きながら読んだ。

アラフィフになって感じることが増えたのだが、人生は短い。本当に大事な、本質的なこと以外のことに漫然と時間を割いていては、貴重な人生の時間が、とてももったいない。

ベストなコンディションと環境で、十分な睡眠を取ってすっきりした頭で、ひとりでじっくり考え、時には遊びの時間を取り入れて、本質をしっかり見極める。

自分にとって無価値ことにはできるだけ時間を割かないようにし、本質的なことに集中する。

さらに、それをしくみ化して、繰り返す。

そうすることで、ずいぶんと人生の密度、楽しさ、幸福度というのは変わる。

自分自身の現状を振り返ってみてみると、いかにエッセンシャル思考が実践できていないかが、よく分かった。

本質的ではないことに振り回されることが、いかに多いことか。永遠に続く中身のない会議。気が進まないけれども断れない、他人からの頼まれごと。深夜の会議も多くて十分な睡眠もとれず、イライラしていることが多い。ひとりになって考える余白も少ない。気分転換に遊びの時間を取り入れるようにはしているが、あれもこれもと欲張りすぎかもしれない。自分にとって残りの人生何に集中したいのか、まだ、はっきり絞り込めていない。

無価値な雑務の奴隷になっているような人生かもしれない。どこかで、何か、本格的な転換が必要かもしれないなあ、と感じた。

そして、最終章では、チームを率いるリーダーにとっては、チーム運営の観点からも、エッセンシャル思考が重要だと説いている。チームを1つの方向にまとめ、資源を集中して成果を最大化し、飛躍的な成功を収めるのを助けてくれる。これについても、大いに納得した。組織運営をしている方には、きっと目から鱗の気づきがあるのではないかと思う。

後悔のない人生を送るために、すべての人におすすめしたい1冊だ。

ご参考になれば幸いです!

※私の過去の読書録記事へは、こちらのリンク集からどうぞ!


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