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【読書録】『断る力』勝間和代

経済評論家などとして各方面でご活躍の、勝間和代氏のご著書、『断る力』。以前読んだことがあったが、久しぶりに読み返してみた。

この本は、次の4章から構成されている。

第1章 総論「断る力」の圧倒的な効用を理解する
第2章 ホップ 自分の揺るぎない軸を持つ
第3章 ステップ 相手への建設的な影響力を発揮する
第4章 ジャンプ 「断る力」で、自分と周囲の好循環を作る

第1章では、「断る力」のメリットを丁寧に教えてくれる。断らないと、本当に好きなことができない。断ることによるデメリットは、実はそれほど多くない。断らなかったとしても、どうせ、嫌われることはゼロにできない。他人目線で、他人に嫌われないように、他人軸で、他人に頼られるまま行動することが、いかに無駄でもったいないことか、ということがよく分かる。

第2章では、自分の軸を持つべきだと説く。断るためには、断ることにより嫌われるなどのリスクを取ることが必要。どこまでを責任もって引き受けるべきかを判断するためには、適切な自己評価ができることが必要になる。そして、自己評価の方法について、ストレングスファインダーなどの具体的なツールも紹介してくれる。そして、不得意なものは放っておく割り切りと強さが必要だと説く。

第3章では、断るためのコミュニケーションについて、自分も相手も生かす形で建設的な影響力を生み出す方法について伝授してくれる。空気を読んで上で、その空気とは違うことをあえて言い切る勇気を持つ、意図的に空気が読めないふりをして話を切り換える、など、なるほど、と思わせるアドバイスも満載だ。根底にある考え方として、自分勝手になるのではなく、相手を尊重し、相手と自分の能力を融合して、より高次の解を出し、ウィン・ウィン(両得の関係)を築くという意識を持つことが重要だと学んだ。

第4章では、自分軸を持った人が得意分野を出し合って互いに学びあう好循環を生む、という、チームや人間関係の理想の姿を描いてくれる。さらに、一人ひとりが、間違った社会にNOと言えるようになることで、長期継続的で安定的な社会を築いていけると説く。勝間氏の、よりよい社会をみんなで作っていきたいという思いに強く共感した。

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ところで、勝間氏は、本書で、人に影響力を及ぼす方法を説く名著として、コヴィーの『7つの習慣』や、カーネギーの『人を動かす』に言及していた。これらは、別記事でも紹介したが、いずれも私が長らく愛読している自己啓発書なので、とても嬉しかった。

さらに、自分の軸を持ち、不得意なものは放っておく、全ての人に平等に与えられた1日24時間という時間を、大切なことに集中させる、というメッセージは、少し前にご紹介した、レナード著『selfish』にも共通するところが多いと思った。

それから、noteでフォローさせていただいているヒョウガ商店さんのこちらの記事と、ももりゅうさんのこちらの記事に、同じように「自分軸で生きる」という趣旨のものがあり、とても深く心に刺さった(noteに向き合う姿勢や写経というテーマで書かれているが、その根底には同じようなメッセージがあると思う)。これらの記事も、本書と通じるところが多いなあと感じた。

最近、不思議と、「自分軸で生きる」というメッセージに、よく出会う。多分、これが、今、私が自分の課題だと感じていることなのだろう。

私は、noteでも、現実社会でも、半分冗談で、自虐的に、自らを「社畜」と称してきた。とにかく、今までは、次から次へと降ってくる大量の仕事に、がむしゃらに対応するだけで精一杯だった。まるで、縦横無尽に飛んでくるテニスのボールをひたすら打ち返しているだけのような、借金取りに追われるような、自転車操業のような毎日だった。

そんな社畜生活にも、少々疲れてきた。そろそろ社畜的な仕事の仕方から卒業すべきなのかもしれない。今までの仕事のなかに、上手に「断る」要素を取り入れて、自分の本当にやりたいことに、もっと力を注ぐべきなのかもしれない。(ただ、自分が本当にやりたいことが何なのか、まだ定まっていないのだが…。)

この「自分軸で生きる」ということを、私の2021年のテーマにしたいと思っている。

ご参考になれば幸いです!


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