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読書感想文「経済成長なき幸福国家論」

最近図書館で色々と本を読み漁っている。その時に読みたいと思った本、もしくは人から勧めて頂いた本を、図書館に着いた時に気分で借りる事にしている。

忘れないように、読みながら気になった内容をノートに書き留めている。ところが、最近読んでばかりで、アウトプットしていなかったなと思っていたので、noteにも駄文ながらつづってみる。個人の備忘録的なものなので、ハチャメチャな内容です。

1.概要

「下り坂のニッポンの生き方」というサブタイトルの通り、人口減少が40年前から始まっている日本。右肩上がり成長の時代では無い中で、今までのエリートや良しとされて来たことへの疑問が投げかけられている。決して何かを諦める事ではなく、下り坂の時代を周りとともに楽しみながらしぶとく生きる事について議論をされている。

2.本書との出会い

地元へのUターンを検討中、センターに相談にいった。相談員さんは大変親身になって相談に乗って下さり、色々なお話をさせてもらった。その方が読んでいた本で、もしかすると私にも良いかもしれませんねと勧めて頂いた。すぐに読むのではなく、紹介頂いてから時間が経った今、頭に浮かんだので手に取ってみた。

3.感想

当初は東京等の都会はNG、地方に行くべしといったことが書かれているんだと思っていた。

確かにその主張はある。

ところが、私が印象に残ったのは、「自己決定力」「自己肯定感」「教育」というキーワードだった。

全部で四章からなるが、私が各章で気になったポイントをピックアップする。

3-1. 二章 地方の活力に学べ

働き方

人はお金の効率のために生きているのではない「効率がいい」「生産性が高い」と言われている都会では出生率がどんどん下がっている。

得意なことに特化し働き、その分野以外の事はほかの職業の人に任せ、その代わり貨幣という対価を支払う。効率的だと思う。それが都会になるほどより高いものだと思う。

一方で田舎には「仕事がない」とはよく言われるし、私自身もそう思っていた。ただ厳密には「自分にあった仕事がない」。東京には母数が多い分「自分にあった仕事」につける可能性は高い。

ただ、田舎では「自分にあった仕事がない」ではなく「自分にあった仕事では食べていけない」のがリアル。なので、複業が必要。

私自身飽き性で、マルチに何でもやるのが好きだったので複業をしていきたかったが、ここでなるほどなと思った。

1つの職業で食べていくのは近代都市の枠組みであって、従来の共同体は農作業もするし縄も編む、そしてみんなで助け合う。「専業から複業へ、分業から一人多役へ」というのはまさに私の考え方と一致した。

心の豊かさとは

「自己決定力」自分の人生を自分で決めていく事。エリートと言われている人でも自己決定をできない人が多い。

自己決定力とは、社会の中で自分の能力を活かして暮らしていくこと。複数のポジションをこなすことや、状況によって立場が変わる。

何をしたいというのではなく、周囲に褒められるからという理由で「いい学校」に入り教わった通りになるべく疑問を持たずに暗記し、東京の「いい組織」に就職した人たちがエリートとされているわけですから。つまり自己決定していないほど、エリートになれる。(中略)大きな組織であれば大きな仕事が出来るとも言われていますが、では日々何を自己決定しているんだろうか。あなたがいる事で何か結果は変わりましたか。

まさにここはそう。会社を退職する理由になったのはまさにそう。この仕事は私じゃなくていい。もちろん大企業だから、人が変わったから出来ないはありえない。だから私が決めてやったこともNGと言われる。決まったミッションでパフォーマンスすることが求められるからね。

あらゆるアイデアが叩かれまくって、出来上がった日には、なんだかよくわからないものに変わっていて、「これって私か、いや私じゃないなったって思った。」

自己決定の機会を奪われてまでも会社にしがみつくのは、「外に出れば食べていけない」という不安からでしょう。

まさにそうだったんだよ。今思えば自分見ている世界は狭くて、価値観がいかに偏っていたかが分かる。まさに世間知らず。収入や企業名を一つの指標にしてしまう。

畑を耕し、人にあげる。するとお返しに色んなものをもらえる「複」収入がある。貨幣経済では語れない豊かさ。年収換算できないよねこれ。

教育

「教育」親の財力が子供の教育に影響するような国家は滅びる。

そうそう、正直、各有名私立幼稚舎のお受験は私は理解できなかった。そこに子供自身の意志はあるのか。最初からフィルターが掛けられた世界だけを見させる事は果たして子供にとって幸せなのだろうか。

取り組み例が紹介されていた。

スペイン・・法律で外国語を学べる権利が全国民にある。無償で。田舎でも日本語があり、誰でも学べるのだ。

青森県八戸市・・・八戸の市民は本を読む権利が守られていることを市政の中核に置いた。市立の本屋さんを作り、極端な本のセレクトショップ。民業圧迫にならないように、市が小中学生に図書券も配る。

だれしも学ぶ権利は平等にある。大人の見える世界で勝手に制限をかけない、可能性を広げること、選択肢を持たせることが大人の出来ることなんだと思う。

3-2. 三章 下り坂か、高原か

テクノロジーとイノベーション

(抜粋)テクノロジーは「省エネ」「少量」「軽量」で製造費用の低下。また「壊れにくい」など物持ちも良くなる。実に環境にやさしいが、金額換算された経済規模を縮小させるものばかり。なので、イノベーションで経済が成長するというのには無理がある。


確かに、経済規模を大きくするには「モノが売れ、お金が回る」ボリュームを増やすことが必要。だけど、テクノロジーの進化は逆行する。

だから本書では消費者1人あたりの消費額を増やす工夫。結局賃上げが一番わかりやすいと述べているが、ここに至るまでのロジックが私はあまりしっくりこなかった。

(抜粋)本当のイノベーションのような新しい発想は、長期記憶の組み合わせでしか生まれない。長期記憶された感慨や警句、色々な複合的に経験しないと新しい発想は出てこない。そういう教育に変えられるかどうか。

そうそう、直感だったりひらめきは、ずっと机に向かってるだけじゃ出てこないし、短期間で出てくるものではない。幼い頃から幅広く多くの「モノ」「コト」「ヒト」に触れ、常に刺激を与え続け、興味があるものを深める、飽きたら次へを繰り返す事で、積み重なっていくものだと考える。子供もそうだけど、大人になっても必要なことだと思う。

消費社会

一つの会社だけから給料をもらって生活するということは、専門性を高めるということではあるが、結局他はなにもできなくなって、その会社の給料に依存しないと生きていけなくなる「The=消費者」。消費社会に依存してかなければ生きていけない人たちを生んでいる。

そうそう。私もこの消費社会にふと違和感を持ったんだ。金融マンとしてオンラインを駆使して働いているけれど、私は生きていく、食べていく上で生み出しているものはあるのか。金融システムは提供しているが、少なくとも実感がなかった。

すると出会ったのが「農あるくらし」

とあるゲストハウスのオーナーさんと出会い、まさに実現させている人だ。

私自身も生業にするかどうかは置いておいて、まずは、自分と家族その近所さんや友達へおすそ分けできる分かつ、多種類作れるようになるといいなと思った。

月三万円ビジネス

生活しないとと思うと月〇十万円は稼がないと!って思うが、月三万円を複数持ち、更に人の役に立っている、喜んでもらえたという実感があればそれでいい。

すると、スキルはありません、好きなこともありませんという人が出てくるが、一つひとつ手作りしたり、本物の素材を使うようにすれば、完璧なスキルを持つ必要はない。誰にでもどんな分野にでも手が届くのでは。と謳っている。

「月三万円」というのは、金額うんぬんではなく、スタートする心理的ハードルを下げる良いバーだと思う。

3-3.  四章 おもしろい生き方ができる、おもしろい国

本物体験

脳の中でも情動をつかさどる領域を刺激すること。IQではなくEQ.心の知能指数の領域を刺激すること。EQとは「自己や他者の感情を自覚し、また自分の感情をコントロールする能力」とされている。EQ領域を刺激するには「本物」「いいもの」「わけのわからないもの」なんだこれはと思うものを見せること。人間の運命や不条理に触れ、高齢者施設や福祉施設で体は思うように動かなくてもほかの事に価値を見出そうと生きている人に触れること。

前述のテクノロジーとイノベーションでも記載したが、長期記憶は、EQ知能指数の向上と結びつくと思う。決して「映え」が先行した誇大なものではないホンモノ、思いがつまったストーリーの上に成り立つイイモノ、この形は何だ?なんでこんな風にした?など自分の脳の範囲では理解や解釈不能なワケノワカラナイモノ。

美術館や芸術を見ると、私にはセンスがないから理解できないと思っていた。理解できないものは、理解が苦しいから、避けてしまうが、ここにきて必要性がやっと理解できた。

コミュニケーション能力

結局のところ「コミュニケーション能力」

人とのつながりがあるから情報が入ってくる。今はインターネットである程度の事は調べられるが、それでもインターネットに掲載されていない、「ちょっとした情報」は人とのつながりだと思う。

本書に記載されているが、

「安いアパートを探している」

「そういえば、〇〇さんの所ちょうど赤ちゃんが産まれて引っ越すといっていたな、聞いてみようか。」など。

つながりがないと、不動産屋からやたら高い物件を押し付けられたり、無駄な労力が発生する可能性だってある。

生きていくには、コミュニケーションと自己決定力の差。

ちょっとうれしくなった。

手放すことを決めてからちょうど2か月。色々あったけど、人との出会い、繋がりで私は何とか進んでいるのだから。

自信をもって、堂々と自己決定して、コミュニケーションしながら、仲間を作って暮らしていこう。

4.まとめ

自分の今まで生きてきた世界、価値観は狭かったと改めて思う。

少し前までは本書の内容は、何言ってんだかと受け入れられなかったと思う。100%そうだ!とは言わない。だけど、共感できるポイントは多く、自信の考えと近しいものを、より分かりやすく言語されており、安心感を覚えながら読んでいた。

7月入り一旦手放すことを決めていた私は、不安との闘いだった。退職し、その後トライした案件が空回りしてうまくいかなかったことも相まって、「自己肯定感」が著しく下がっていた。

「自分にはスキルがない」「自分は何もできないんじゃないか」「人に提案頂いてもなかなかピンと来ない自分は優柔不断じゃないか」

ここを自分と向き合いながら克服し、自分で自分を肯定することが出来るようになってきた。しばらくすると、新しい世界を垣間見せてもらえるきっかけが出来た。

農家さんでの住み込みインターンシップ。

「農あるくらし」に関心のある私にとってまたとないチャンス。これも人との縁のおかげなのだ。この縁が持てた自分に自信がついたし、きっかけをつかみに行けた自分をほめたいと思う。

本経験が出来る事にワクワクしている。新しい世界に身を置くことで自身のEQがどれだけ刺激されるのだろうか。新しい人との出会い、縁はどんなものだろうか。どんな未来への道しるべとなるのだろうか。

この国で面白い生き方が出来るように、自分と一緒に進んでいきたいと思う。







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