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2.【心の中のかけら】 あなたは今、どんな景色を見つめていますか?

この数ヶ月、鍵をかけていた感情が溢れるかのように沸き起こっているのを感じている。陽だまりにつつまれながら、そのひとつひとつを拾い上げ形にしていくこの作業が、わたしにとってはとても幸せなのだから、我ながら質素な人間だなと笑ってしまう。

この数日間を反芻し、そのときに感じた苦しみについてもう一度思いを巡らす。色々な原因はあれど、“これまでの自分には、もう限界を感じている”ということがひとつ浮かんでいる。

一人で南フランスに訪れ、生きる美しさを教えてもらったあの日から、もう少しで3年が過ぎようとしていた。果たしてこの速度が早いのか遅いのかはわからないが、その間に起きた変容は目まぐるしいものだった。

“自分の人生を歩む”と決めたわたしは、何よりも自分自身があの頃とは変わっていることを感じている。そして、それは同時に、変化したわたしと、以前のわたしが作ってきた自分を取り巻く環境との隔離がうむ苦しみを暗に意味する。

“自分の人生を歩む”ことは決して容易いことではないと身を以て感じたわたしは、この数年はそのための準備だったのではないかと今になって思い返している。この苦しみは、わたしをここから一歩踏み出させるための合図のようなものなのかもしれない。

それでもまだここから踏み出そうとしないわたしは、決して"踏み出せない"わけではなく、心のどこかでまだ踏み出す決心がついていないのだ。(それはつまり、"まだここにいることを望んでいる"ということになる。)

以前、わたしがぽつりと話したことが頭に浮かぶ。『人生とは螺旋階段のようなもので、ぐるぐると巡る間に何度も同じ扉が目の前に現れる。それが開けるようになるまで、何度も何度も現れる。そうしてようやく扉を開けられたその先に、今までとは違う景色があるのだと思う。』

わたしの目の前には今、見たことのない真っ白な世界がどこまでも広がっている。

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