前澤 彩

La rémanence - この世にある、美しくて、姿として捉えきれない余韻のような…

前澤 彩

La rémanence - この世にある、美しくて、姿として捉えきれない余韻のようなものについて -

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  • 心の中のかけら

    世界のあいだで揺れうごく、自分の心を記したかけらたち。

  • 31日のかけら

    noteを習慣化するために日々綴った、ふとした瞬間のかけらたち。

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𝑃𝑟𝑜𝑓𝑖𝑙𝑒

はじめまして。 前澤 彩 ( まえさわ さや ) 1989年8月生まれ。ショップマネージャーの傍ら、美しさと感情について探求する。 人生の格言は、“𝐿'𝑒𝑠𝑠𝑒𝑛𝑡𝑖𝑒𝑙 𝑒𝑠𝑡 𝑖𝑛𝑣𝑖𝑠𝑖𝑏𝑙𝑒 𝑝𝑜𝑢𝑟 𝑙𝑒𝑠 𝑦𝑒𝑢𝑥. (大切なことは目には見えない。)” / 『星の王子さま』より 𓇬 好き 美しいもの(言葉、時間、空間、薫り、音、建築物、曲線)、愛を感じるもの、唯一無二のもの、古いもの。 フランス(南仏)、教会、海、貝殻、月、夏の夜。 𓇬 特技 ・感情を追想

    • もう一度

      あれから、どれくらいの時間が流れたのだろう。わたしはすっかりことばを放つことを辞めてしまった。辞めた、というよりも、ことばが見つからなかった、というほうが正しいかもしれない。 うつくしいことばを見つけること。心の中にあるものを形にして、誰かに伝えること。そのすべてができなくなった。ことばへの興味の薄れ、薄れることへの悲しみ、色々な理由があった。 なにより、わたしがわたしでいることがどうしても困難で、同時に怖くなった。そのわたしから出てくる言葉で、だれかを傷つけてしまうこと

      • なにかを愛した証し

        光のない世界で、 音のないことばで、 一体なにを話そうか。 この真っ白なページを開けずに、気づけば半年もの月日が流れていた。半年前はというと、そのときわずかにこぼれたことばのかけらたちは、誰に触れられることもなく、その温度を絶やして儚く消えていった。 わたしは去年、ありとあらゆることばを綴る行為を辞めてしまった。いや、“辞めた"というよりも、“できなくなった”ということのほうが、近いのかもしれない。 自分のことを話すことが苦手なわたしができる、唯一の行為であった“こ

        • 去年のいつ頃からだろうか。気がつけばわたしは、わたしの中のわたしを失いかけていたようで、ひとり逸れた断片的なモノクロの景色が、濁流に飲まれていくような音と感覚が、今、足元に散らばっている。 そのかけらをひとつひとつ拾い上げるたびに、ガラスで刺されるような胸の痛みを覚えるけれど、それでもひとつだけ、この痛みはあの頃のものと違うことだけは、はっきりとわかる。 あの頃のような、上も下も、右も左も、音も温度も、空気すらない、無機質な鳥かごのようなものではなかった。深い深い闇夜のよ

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        𝑃𝑟𝑜𝑓𝑖𝑙𝑒

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        • 心の中のかけら
          11本
        • 31日のかけら
          31本

        記事

          10.【心の中のかけら】 輪郭のある夢

          新しい年が始まり、もうすぐで2週間が過ぎようとしている。時の流れの早さにはほとほと驚かされるが、不思議なことに、南フランスに訪れた時から3年が経つと考えると、時の流れに対してあまり“早い”とは感じていない。(わたしにとって南フランスに訪れたことは、物事を考える起点になりつつある。) この差は一体何なのだろう。1年をひとつのまとまりとしてみると“早い”。しかし、それが3つ集まると、“早い”という感覚はどうも見当たらないのだ。もしかすると、物質量が増えると“軽い”が次第に“重い

          10.【心の中のかけら】 輪郭のある夢

          9.【心の中のかけら】 今日という日に願うこと

          色々な感情を経験した数ヶ月だった。たくさん苦しみ、涙を流した。その中でもわたしは“ひとりではない強さ”を初めて知った気がする。 ひとりではないから、今わたしはここにいる。そしてそこから、たくさんの感覚が湧き出ていることを感じている。 以前にも触れた話にはなるが、人生には幾度も同じ扉が現れると感じる。その扉を開けられるようになるまで、何度も何度も。 彼女との別れは、2年前の夏と重なった。彼女の言葉と歌声が好きだった。気軽に触れるとぱりんと割れてしまいそうな、でも手を伸ばし

          9.【心の中のかけら】 今日という日に願うこと

          8.【心の中のかけら】 生活を祈りにする

          今日は久しぶりに雨が地面を濡らしている。悪天候から来る低気圧なのか、どこか重たい感覚を感じながら、何度か時計と話し合ってようやく身体を起こす。予定していた起床時刻は、すでに大幅に過ぎていた。 急いで用意をすれば間に合う気もするが、この重たい感覚も手伝ってなかなかエンジンがかからない。そのときわたしは、自分がしぶしぶ身支度をしていることに気がついた。昨日までは休みを楽しくすごすために早起きをし、出かけるつもりであったはずだ。 このように、わたしは無意識のうちに、つい自分のこ

          8.【心の中のかけら】 生活を祈りにする

          7.【心の中のかけら】 夜について

          とある夜、美しい満月を眺めながら夜を過ごした。 きっとこうして何百年も前から、人々は月を眺めていたのだろう。その年月に思いを馳せるだけで、わたしはいつも涙がこみ上げそうになる。 全てが変わりゆく中で、この月はずっとここにあり、地球の夜を澄んだ光で照らし続けているのだ。その気が遠くなるような美しさに憧れて、わたしは夜に恋し続けているのかもしれない。 わたしが夜に恋をしていると気づいたのは、幼稚園のころ。夏の夜が特に大好きだったわたしは、飽きもせず、ずっと夜空を眺めていた。

          7.【心の中のかけら】 夜について

          わたしが見たかった世界

          わたしは、この残された限りある時間の中で、暖かく優しい光が灯す方へと歩んでゆく旅をするのだろう。 そうして旅路を辿りながら、この世にある、美しくて、でも姿として捉えきれない余韻のようなものを、そっと手のひらで掬ってあなたに差し出せれば、と願う。 たとえそこにあるものが、冷たく暗い悲しみだったとしても、きっと自分の中にある鮮やかな彩りを教えてくれるはずだから。 これまで幾度もの悲しみに出会い、深く闇に落ちていった記憶は、誰よりもわたし自身がその中にある輝きを知るためのもの

          わたしが見たかった世界

          6.【心の中のかけら】 目の前にある美しさ

          今朝はいつも以上に日差しを明るく感じる。(もしくは、本当に日差しが強く秋晴れのような天候なのかもしれない。) わたしが今の住まいを選んだ理由の一つは、南に大きく開いた窓の存在も大きい。今ではこの窓際で味わう朝が好きで、モノは増やしたくないけれど、やはり改めてバルコニーテーブルを探そうと思う。 そうとはいえ、きっとわたしのことだから、心から気にいるものを見つけるまでひたすら探し回るのだろう。それまではお気に入りのヴィンテージテーブルを使おうか、と窓際まで引き摺り、パソコンを

          6.【心の中のかけら】 目の前にある美しさ

          5.【心の中のかけら】 波打つ悲しみ

          昨日は朝方ベッドに潜ったものの、あまり深くは眠れずに目が覚めた。頭のなかは未だ思考が散らばったままだった。 昨日は色々な感情に出会った。感情を無くしたかった過去からその癖が抜けず、今でもその起伏が少ないわたしだが、久しぶりに人前で溢れてきた涙に、わたしは自分の限界を知った。きっとわたしはもうずっと、わたしのことを我慢していたのだ。 一度現れた感情を目にすると、もう知らなかったころには戻れなかった。何をしても涙で目の前が霞んだ。久しぶりに夜道を泣きながら歩いた。それでも夜は

          5.【心の中のかけら】 波打つ悲しみ

          彩られた未来

          未来のことは誰にもわからないけれど、今日は今のわたしが望む未来をよりはっきりと描くことができた。それはもしかしたら見当違いかもしれないし、進んでいくうちに形を変えるものかもしれない。 それでも、ずっと抱えていた迷い(漠然としたイメージで未来を捉えていたため、この道で合っている気はするけれど、目的地までどのような手段で行けばいいのか?に迷いがあるような感覚)が消え、今の自分を信じられることに喜びを感じている。 振り返ると、迷いが消えた過程に起きた出来事のひとつひとつに、まる

          彩られた未来

          4. 【心の中のかけら】 ことばの先にあるもの

          早朝、深い眠りからふっと現実に帰る。どうやらお気に入りのソファの上で一夜を過ごしていたようだ。(休みの前夜は時間も気にせず好きなことに没頭しすぎてしまうため、ついソファでうたた寝をしてしまう。) まだ夜の続きのような感覚のまま窓を開けると、世界は軽くて爽やかな空気が漂っていることに気づく。少し思いを巡らすと、夜のうちに雨が降っていた記憶にたどり着いた。どうりで陽は明るく、空気は澄んでいるはずだ。 明るい日差しを眺めていると、ふと昨日いただいた“やさしいものの言い方”という

          4. 【心の中のかけら】 ことばの先にあるもの

          3. 【心の中のかけら】 世界との関わり方

          昨晩は久しぶりにぐっすりと眠りについた。プライベートは一人で過ごす方が好きだけれど、そんなわたしでも誰かとの関わりを削ぎすぎると、心に影ができるのだと知る。それは恐らく自分の中で消化しきれないマイナスの感情が膨らんで、自分を乗っ取りそうになるからだと考えているのだけれど、ペースが合わなくなるとそれはそれで身体が疲弊してしまうので難しい。 今のところわたしの理想は、他者と関わる予定は多くても週一度まで(1ヶ月のうち1度もないこともある)。その日と、自宅でひとりで過ごす日を交互

          3. 【心の中のかけら】 世界との関わり方

          “La rémanence - 余韻 - ”

          ここ最近、自分が本調子ではない感覚に頭を悩ませている。ただ疲れているだけのような気がしていたが、どうやらそれだけではないらしい。数日前に綴った、これまでの自分に限界を感じていること以外にも、頭と心の中でなにかがばらばらと散らばっている。 今日はそれが大きな不安となり、低気圧も伴ってお昼過ぎから寝込んでいた。とても悲しい夢もみた。会いたいと思っていた人にようやく会えたのに、一緒にはいられなくなる夢。別れる直前のところで目が覚めた。起きるとあたりは夕方で、すでに陽が落ちていた。

          “La rémanence - 余韻 - ”

          2.【心の中のかけら】 あなたは今、どんな景色を見つめていますか?

          この数ヶ月、鍵をかけていた感情が溢れるかのように沸き起こっているのを感じている。陽だまりにつつまれながら、そのひとつひとつを拾い上げ形にしていくこの作業が、わたしにとってはとても幸せなのだから、我ながら質素な人間だなと笑ってしまう。 この数日間を反芻し、そのときに感じた苦しみについてもう一度思いを巡らす。色々な原因はあれど、“これまでの自分には、もう限界を感じている”ということがひとつ浮かんでいる。 一人で南フランスに訪れ、生きる美しさを教えてもらったあの日から、もう少し

          2.【心の中のかけら】 あなたは今、どんな景色を見つめていますか?