マガジンのカバー画像

劇評

87
主に石川県金沢市での、演劇・ダンスの観劇記録です。
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

(劇評)本物を定義することは難しいが

(劇評)本物を定義することは難しいが

劇団ドリームチョップ「プロゲキ!ドリームチョップLIVE」プロゲキ!6・16『Authentic(オーセンティック)』の劇評です。
2024年6月16日(日)14:00 DOUBLE金沢

2023年4月から始まった、演劇初心者にも観やすい短編演劇を複数上演する『プロゲキ!』も2年目を迎えた。本日の『Authentic』は2年目の2回目の公演である。Authenticは、「本物の、真正の、正統な」

もっとみる
(感想)みえないものをたちあげる

(感想)みえないものをたちあげる

(以下、筆者Xより転記)

チロルマーケットによる、金沢海みらい図書館朗読会『みえるとか見えないとか』観賞(でいいのかな。拝聴?)。死と近づいた人々の物語が5編、朗読された。原作は阿刀田高、唯川恵、浅田次郎、江國香織、萩原浩。聴くだけで想像する朗読だからこそ、このテーマが合っているように思えた。

朗読にもいろいろなスタイルがあるのだろうと思うが、私には演劇的演出がなされた作品が、情景をイメージし

もっとみる
(感想)思いを表現する勇気

(感想)思いを表現する勇気

(以下、筆者Xより転記)

姫川あゆり企画『世知辛い』観賞。主人公は通信制高校に通いながら活動する金沢の売れっ子女優。という設定が、脚本・演出の姫川本人を彷彿とさせるため、語られていく主人公の状況が、事実なのかどうかと困惑してしまう。そう観客に体感させようとしたのなら、相当難易度の高い演出を行っている。

主人公マレンの設定に事実が含まれているのか、全くの作り事なのかはわからない。ただ、縁者達から

もっとみる
(感想)自分の命、人の命

(感想)自分の命、人の命

(以下、筆者Xより転記)

Theater I-O『命を弄ぶ男ふたり』(原作:岸田國士)観賞。自らの命を絶とうと線路際を訪れて出会った男二人の会話劇。会場は古いビルの地下。薄暗い空間で、二人の命の行方についての対話を間近に、濃密に感じ取った。

眼鏡をかけた男(岡谷陽光)は、誤解によって愛する恋人の心を病ませ、彼女を失う。繃帯をした男(西村優太朗)は、実験の失敗で顔に傷を負う。許婚は気にしないと言

もっとみる