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スドウシオリ
2020年7月4日 19:02
僕が20数年間生きてきて最も最悪だった日は、雪が静かに降り積もる、1月の冷たい夜だった。青白い満月がオリオン座と一緒にキラキラしていて、夜道を歩く僕を満月は家に着くまでずっと追いかけて来ていた。時折見える、街路樹の隙間から覗く満月は信号機の黄色い点滅と被り、不思議な風景だった。何かが始まりそうで少しそわそわした気分。はっきりと覚えている。気持ちの良いひんやりした夜道を、駅から家まで歩