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短編小説

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#夜

【短編小説】冷たい人形

【短編小説】冷たい人形

「お願い、ドアは閉めて」

彼女がこれを言うのは多分100回目だし、僕がほんの数センチだけ残して寝室のドアを閉めるのも多分100回目だ。怖がりな彼女は隙間があると落ち着かないのだと言う。理由は誰かが簡単に入って来れそう、というものだ。実際寝室のドアに鍵はついていないのだから、少しくらい開いていても 誰 か が入って来るとしても大した違いはないと僕は思う。けれどもあの数センチを埋めるだけで彼女が安心

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