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✅20代男性【妹の二面性が憎たらしい】を選択理論でコーチング人生案内#146

◇今回は、20代男性の「妹に対する憎たらしさに振り回されている自分」という事例です。

 20代の男子学生。2歳下の妹が憎くて仕方ありません。アルバイトをしているのに、親にちょっとした小遣いをせがんだり、自分の部屋はきれいにするのに、家族共用の場は散らかしっぱなしだったりします。何より、学校やアルバイト先では優等生として振る舞い、多くの人に信頼されているのが許せません。家の中とは異なる、彼女の二面性が憎たらしいです。

 こんな思いを抱く原因は、彼女の細かな行動ばかりを気にして、良い面を見ようとしない自分にあるかもしれません。しかし、本当に許せないのです。殴り倒したい、それ以上の衝動に駆られたこともあります。そんな場面が、夢に出てきたこともあります。

 来年には就職予定で、彼女と離れて暮らせるようになります。少しの辛抱かもしれませんが、心の整理ができないと、その後の人生にも影響しそうな気がします。アドバイスをお願いします。(山形・F男)

(2022年8月4日読売新聞朝刊)

【相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました】


1,相談者の「困りごと」をまとめてみると

・外では優等生としてふるまい、信頼を得る一方で、家の中では、要領がよく自分勝手、という二面性がある妹が憎たらしくて、困っている。

・妹のことが憎くて仕方がないという自分について、心の整理ができないと、これからの人生にも影響しそうな気がして、困っている。

2,相談者の「困りごと」を「願いごと」に転換してみると

・妹のことが憎くて仕方がないという自分について、心の整理をして、これからの人生に影響がないようにしたいので、アドバイスがほしい。

3,【相談者の困りごとのパターン】を考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願っていることが不明確

  • 相手(二面性のある妹)に振り回されている

  • 「妹に振り回されている自分」を変えたい
    (注:この場合の「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分など指す)

4,以上をふまえて、次のような質問や展開を考えました

・とてもお辛い状況にいらっしゃるようですね。それで、「心の整理ができないと、その後の人生にも影響しそうな気がする」ということですが、「どういうことが、その後の人生で、どういうふうに影響する」と心配されているのですか?

・仮に、「心の整理」が100%できたとしたら、そのときは、どんなあなたになれているのでしょうか? ゆっくり考えてみてください。

・そして、そのような「心の整理ができている自分」になれたとき、今と違って、どのような行動がとれていそうですか、本当はどんなことがしたいのですか、どんな生活ができることを望んでいるのですか?

また、本当はどんな自分になりたいのですか、どんな自分でありたいのでしょうか? 人間関係を含めて、いかがですか?

・ところで、あなたが、「二面性のある妹への憎さに振り回されている自分」に気づいたとして、そのようなご自分も、「自分なりに精一杯の行動」をとっているのだとしたら、そのような「もう一人の自分」は、あなたにどのような「心の内」を聴いてほしいと言ってそうですか?

また、あなたは、「二面性のある妹への憎さに振り回されている自分(もう一人の自分)」をどのように受けとめ、勇気づけてあげ、応援してあげたいですか?

・あなたがあなたで、あなたなりに今も「精一杯の行動」をとられているとしたら、妹さんの方についても、あなたが二面性として見ている妹さんの行動は、「妹さんなりに精一杯の行動」なのかもしれませんね。

「外で優等生としてがんばっている分」を家では、自分のしたいようにしたり、親に甘えることで、妹さんなりにバランスをとろうとしているのかもしれませんね。

「100%いつも優等生であること」というのも、すごく疲れそうですね。あなたにはできそうですか?

・「二面性のある妹さん」に対する反発が、あなたに、「自分のありたい姿」をいろいろと考えさせてくれるとしたら、それはそれで、あなたにとって意味のあることかもしれませんね。

・「妹さんに対する憎たらしさ」は、すぐには消えないかもしれませんが、それはそれとして、そのような気持ちを抱えたままでも、あなた自身が、「自分にとってのバランスとは何か」、「心のバランスがほどよくとれている自分とは、どのよう自分か」などを考えてみることはできそうですか?

・そして、もし、バランスのことも含めて、「なりたい自分になれること」がわかっているとしたら、手始めに、小さなことでかまわないのですが、どのような行動をとることから始めてみたいですか?

「選択理論でコーチング塾」のサイトでは、選択理論とコーチングについて、図解も使って、わかりやすく紹介してます。詳しくはこちらをどうぞ。


【参考:回答者(久田恵さん)の言葉です】

 「妹が憎い」という言葉は強烈ですね。でも、内容をみると、妹さんの家と外で態度が変わる二面性は、10代の女の子が身につけた「したたかさ」みたいなものです。

 それが、潔癖な兄のあなたには耐えがたく、認めがたいのでしょうが、妹さんも、あなたもまだ若い。お互いがアイデンティティーを確立する時期で、不安定になりがちな年齢でもあります。

 この状況は、成長の一通過点にすぎません。妹さんとの関係で対立したり、無関心になったりする時期があるのは、自然なことなのです。

 今、あなたは自己否定的になり、他者の不正義を許せなくなっていますが、自己分析がきちんとできています。つまり、自分を相対化できているのですから、大丈夫です。

 いろんな人と関わり、体験を重ね、大人になっていくうちに、相手への評価も変化していくものです。来年、社会に出るあなた、勇気を持って自立の一歩を踏み出し、いろんなことを吹っ切る機会にしましょうよ。自分への安定した肯定感を持つようになれば、自然とそれが他者への寛容さにもつながっていきます。

(2022年8月4日読売新聞朝刊)


【以下、選択理論コーチングについて補足です】

1,今回の相談者が満たせると、幸せ感が増えそうな基本的欲求

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい)

  • 愛・所属の欲求(愛したい、愛されたい。仲間がほしい、仲間でありたい)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい)


2,選択理論コーチングの三角モデル


3,今回の事例で使った「選択理論心理学の考え方」

<選択理論の第1原理>
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

<「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換>
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・自分は自分なりに、相手は相手なりに、それぞれが「精一杯の行動」をしていると考えましょう。

 
<相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足>
・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。
 
 
<自分の「自分」との関係>
・「もう一人の自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、「もう一人の自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。

<自分の欲求充足>
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

<現在とっている行動とこれからの行動プラン>
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。
 


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