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✅30代女性【介護10年 父の暴言に憎しみ】を選択理論でコーチング人生案内#133

◇今回は、相談者が「相手に振り回されているパターン」の事例です。

 30代前半の会社員女性。母を在宅介護でみとって10年、現在は父を在宅で介護しています。寝たきりではありませんが、酸素吸入が必要など、一人で生活するのは厳しい状況です。

 そんな中、相続などの関係で家の建て替えを父に相談したのですが、希望に合わないと頓挫。俺に従えないのなら出ていけとまで言われました。

 母が亡くなった翌月に父のがんが見つかり、続けざまの介護を懸命にやってきました。出ていっていいなら10年前に言ってほしかった。自らの意思でやってきたことですが、こんな言われ方をするのかと、憎しみを覚え、後悔しました。私にも外で自由に過ごせる日々があったのかもしれないと思うとつらいです。

 父は素直に感謝を示せないと弁解しますが、そんなこと知りません。態度にも言葉にも表せないのは、思っていないのと一緒。いっそ早く死んで、と思うこともあります。自己嫌悪と父への憎しみがまざり苦しいです。(東京・N子)

(2022年7月15日読売新聞朝刊)

次を参考に「相談者の答え」を引き出す質問を考えてください。

【相談者の困りごと、願いごとを考えましょう】


相談者の「困りごと」

・母を看取った後、父を在宅で懸命に介護しているが、相続の関係で家の建て替えを相談したところ、俺に従えないなら出て行けとまで言われた。自分の意志で介護してきたが、そのような言い方をし、感謝を示さない父に対する憎しみと、自分の生活を犠牲にしてきた後悔、いっそ早く死んでほしいと思う自分に対する自己嫌悪がまざりあって、つらくて、苦しくて、困っている。

相談者の「願いごと」

・父への憎しみを克服したい。
・自分の生活を犠牲にしてきたという後悔の思いを克服したい。
・自分に対する自己嫌悪を克服したい。

相談者が満たせていない(満たしたい)基本的欲求


(愛所属の欲求、力・自己価値の欲求、自由の欲求) 

【選択理論コーチングの三角モデル】

【選択理論心理学で考えてみましょう】

・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

・相手の行動を変えられるのは相手本人であって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。

・変わろうとしない相手に自分が振り回されていることに気づきましょう。

・相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

・同じするなら、いやいやでなく進んでする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。
 
・「もう一人の自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、「もう一人の自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。

・いやがる「もう一人の自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、「自分の自分との関係」が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。
 
・相手が満たせていない、相手にとって大事なニーズや価値観が何かを考えましょう。

【相談者の困りごとのパターン】を考えましょう

・「感謝を示してくれない父」を変えたいが、変わってくれない(変えられない)ので困っている。

・「父を憎む自分」「自分の生活を犠牲にしてきたことを後悔する自分」「そのような自分を自己嫌悪する自分」など、「自分」に振り回され、「自分」を振り回している。(自分の「自分」との関係がうまくいっていない) 

 
以上を参考に、ここで、みなさんのコーチング質問を考えてみましょう。

【心に響く回答者(久田恵さん)の言葉】

 一人で両親の介護をされてきたのですね。頑張りましたね。なのに、あなたは今、父上への憎しみでいっぱいとは尋常ではありません。

 相続関係での建て替えというのがよく分かりませんが、そこは父上の家。決定権は彼にあるわけで、子どもとはいえごり押しはできないでしょう。

 「出ていけ」とまで言われたのなら、ここはいったん引いて、時を稼いでみてはいかがでしょう。たぶん、父上は一人でもやっていけると思っていて人生の最終期を自分の好きに暮らしたいのだと思います。

 30代前半のあなた、遅くなどありませんよ。父上の介護認定を受け、ヘルパーさんの派遣を利用するなどして、同居しつつも自由に暮らすこともできると思います。距離と時間をおいてこそ、お互いが見え、理解が深まるものです。

 私も20年一人で両親の介護をしましたが、今振り返れば支えていただけではなく、自分も支えられていた、と思うようになりました。なにかを失っていても必ずなにかを得ている。自分を豊かにしているものもあると信じてください。

(2022年7月15日読売新聞朝刊)

私は次のような質問を考えました(ご参考まで)

・あなたとまったく同じような状況にある友人がいたら、どのように優しく思いやり、話を聴いてあげ、勇気づけてあげますか? あなたと同じような立場にある方は、大なり小なり、あなたと同じように考え、同じように感じ、同じような態度をとられるものだと思いますが、同じ人間として仕方がないし、血肉の通った人間だからこそ、そうなのではないでしょうか。どうぞ、「父を憎んでしまう自分」「してきたことを後悔する自分」「自分を自己嫌悪する自分」にも、優しく接してあげてください。

・そして、「父を憎んでしまう自分」「してきたことを後悔する自分」「自分を自己嫌悪する自分」も、その「自分」たちなりに「精一杯の努力」をしているのだと考えるとしたら、そして、そのような「自分」たちは、あなたが今満たされていない、あなたにとって大切なニーズや価値観、欲求などを必死で満たそうとしているのだと考えるとしたら、そのような「自分」たちは、心の声として、あなたにどういうことを伝えたい、聴いてほしいと思っているでしょうか。

・今は、「感謝を示さないお父さん」や「これまでの生活を後悔する自分」「自己嫌悪をする自分」によって、自分が振り回されているような状況のようにも見えますが、もし、あなたが「振り回されること」をやめると決心して、これからの未来に向けて、自分が望む未来(自分のありたい姿、成りたい姿、したいこと、得たいものなど)を考え、それらの実現に向けて、自分次第でしようと思えばできる行動に取り組むようなことができるとしたら、関心がありますか。その方向でのあなたのご努力に対しては、コーチングでお手伝いできると思います。

・仮に、お父さんの介護を、もう一度、最初のときからやり直すことができるとしたら、今度は、どのようにやるのがいいと思っていますか。

・仮に、もう一度、最初から「相続の関係で家の建て替えの相談」をお父さんとするとしたら、今度は、どのようにやるのがいいと思いますか。

・「素直に感謝を示せないお父さん」とのことですが、それは、あなたに全く感謝していないということですか、何%叉は何10%くらい感謝されていそうですか?

・もし、「素直に感謝を示すことが苦手でないお父さん」であったとしたら、あなたにどういうふうに感謝を示してくれそうですか? そして、そのように考えると、「素直に感謝を示すことが苦手なお父さん」であっても、どのくらいは、あなたに対して心の中で感謝されていそうですか。

・「父を憎んでしまうこと」「してきたことを後悔すること」「自分を自己嫌悪すること」などは、なかなかこれらの思いをゼロにすることは難しいと思いますが、これらのことを思ってしまうことは、それはそれとして、これらのことを思いながらも、その一方で、あなたとしては、将来的にどのようになっていくことを一番望んでいらっしゃいますか。

・お父さんは、あなたとの関係を含めて、これから将来、どうであることを望んでいらっしゃいそうですか?

・今回のお二人のご経験から、今後どのようにしていくことが、お二人にとってもウィンウィンになりそうですか?


今回は以上です。上の質問は、自己対話で使うと、セルフコーチングができます。お役に立てればうれしいです。それでは、また次回。


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