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1973年のピンボール〜村上春樹第2作〜

こんにちは

村上春樹を意図的に遠ざけてきた私ですが、以前の記事に書いた通り『パン屋再襲撃』で春樹デビューを果たしました。

今回は2作品目について出会いと感想をきいてください。

”〇〇年の〇〇”

よく使われる構文ですよね

私は比較的音楽をよく聴きますが、その中でもいくつも思い出されます。

1986年のマリリン
1986オメガドライブ(アーティスト笑)
1984年のオリンピック
青い瞳のステラ、1962年夏
1994年の雷鳴
1999年、夏、沖縄
1985年factory street夏
1991年からの警告
1991年のクリスマスソング
遠くへー1973年・春・20歳
2001年僕の部屋
おどろよベイビー1962

最後のほうはちょっと定型からずれておりますが。

そして、村上春樹も同じように「○○年の○○」構文使っています。

それが、『1973年のピンボール』

私は、以前読んだ『パン屋再襲撃』を資本(読書モティベーション)に、次なる村上春樹投資先を探しました。

『パン屋再襲撃』に書き出しが載っていたので、これはよいと思い『ねじまき鳥クロニクル』を手に取り読んでみました。

が、いまいちのらない。

資本を少し無駄にしてしまった。

私にとって村上春樹の作品を読むことはとても腰が重い行動であり、この時点で、恩田陸を2作、レイ・ブラッドベリを1作読んで、その他たくさんの音楽を消費しました。

ただ、つらい思いをして趣味の読書をするのはよろしくない。

この残り少ない村上春樹資本を元手に珠玉の作品と出会おうではないか。
そしてまた資本を増やし、いつかは『ねじまき鳥クロニクル』を読もうではないか。

なるべく文量が薄くて
興味をそそる題名の作品、、、

最初のリストにもある通り、私は70から80年代の邦楽をここ数年はよく聴きます。

本田美奈子さんはとても美しい方でした。
80年代アイドルの中でも最も好きな人の一人です。

「1986年のマリリン」彼女の代表曲です。

これだと思いました。
『1973年のピンボール』
文庫本にして180ページ弱
ネーミング良し。

実はすでに所有していて、積んだままになっていた本の塔の中腹から抜いて手に取りました。

これがなかなか面白い

「僕」「鼠」の物語なのだけど1点を除いて交わらない。
二者を平行に描くスタイル。時系列も平行なのかな。

はじめは、その構造の理解が進まずもやもやと読み進める。

村上春樹の常套手段なのだろうか。

また、初めに物語の本筋とは関係のないまえがきが結構長く続く
最後に読み返してみると本筋の結論を示唆するクリティカルな描写も多く、あとがきとして読みたいと思う内容でした。

でも、だんだんと内容が染みてくる
何気ない日常(事業を起こし、バーに行って、女と出会い、音楽を聴く)を描く能力すごい高いですね。
面白く読めました。

日常に潜む狂気
物語を描くうえで重要なきっかけですが、ここのつかみもよし。

セクション13で二者の唯一の接点を経て物語は大きく動き出します。
二人はある目的をもって行動に出(出ようともがき)ます。

各セクションが一定の規則をもって進行していきます。
結構短く分けられており、ふっと本を開いて一つのセクションを雑に読む感じが気持ちいいと思えるような作りでした。

ピンボールを彼女として描写するのは、村上春樹特有の嫌な感じが出ていて僕は好きになれませんでした。
一回捨ててしまったモノをどうしても、もう一度手に入れたいという感情は僕も何度も経験しているので、よくわかります。
それを女に例えるのはちょっとね、、

私としては無機質な物体としてもっとドライに扱って欲しかったところです。
配電盤のような扱いでよかった。

双子とも直接描写はされてないけど、肉体的な関係があるのでしょう?

村上春樹は変態でしょう。
ちゃんとほかの作品も読まずに勝手を言いますが、きっと他作品でもかなり気持ちの悪い愛の表現をしているのでしょう。

ということもあり、概ね「僕」のストーリーは好きだったのですが、「鼠」の話はあんまり好きになれませんでした。
でも、「僕」のストーリーを追おうとすると「鼠」を経由する必要がある。
まさに「袋の鼠」です。

序盤・中盤は交互に二者の話題がやってくるのですが、終盤になると「僕」多めのたまに「鼠」みたいな構成になってくるのです。

しかも全く違う場所で物語が展開するにも関わらず、少しずつエッセンスを引き継いでいるんですね。

入口出口がすべてのものにあるわけではない。

その意図だけ汲み取りました。
ただ、死は出口なのか。さまよって街を出ていくことが終わりのない出口への始まりなのか。

「僕」は双子と住むことで入口を通り、ピンボール、双子とも別れて出口を出る。

いわゆる「異界の門」のキーになっているのでしょうか。
「僕」は出口を見つけられたが、「鼠」はあてのない出口探しの旅に出る。

なかなか面白く読むことができました。

日本の地名が出てくるにも関わらず、どこかアメリカを感じる作品でした。
恩田陸の作品はイギリスを感じます。

少し村上春樹の資本が貯まりました。
次に読むべき本はありますか。

『ダンス・ダンス・ダンス』なんでどうでしょうか。

Mr.childrenに同名の曲がありますね。
結構題名のセンスが、二人とも似ているようにも思いますね。

しかし、まずはヘミングウェイを読もうと思います。

しばらくのさらば

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