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独立後初のビデオシリーズ企画開発。編集とは、最も大切なことを磨くこと。

先日、アイデアとイノベーションのメディア「WIRED」日本版のYouTubeチャンネルにて、「The Big Interview」が公開されました。「The Big Interview」は、ヴィジョナリーやイノヴェーター、ビッグシンカーたちだけに“見えている未来”に迫る対談・インタビュー番組。記念すべき第1回目は、ソニー・ホンダモビリティ代表取締役 社長 兼 COO 川西泉さんを迎え「モビリティの未来」をアップデートしました。

SATURDAYS(=僕・前田)は、本ビデオシリーズの企画開発(企画の立ち上げ)と、ディレクション(演出) を担当しました。前職では"Creative Development Lead"という役職でビデオシリーズの企画開発を主務として行なってきたので、このような機会にお声がけしてくださって、大変ありがたかったです。さらには久々にディレクション業務を担当し、非常にエキサイティングで、貴重な機会でした。「WIRED」の皆さん、ありがとうございました!

今回は編集のことを書きたいと思います。編集とは何か?

「The Big Interview」シリーズは、大企業のCEOや経営層が出演するという想定のもとに作りました。本来対談ビデオを制作するならば、事前にお時間を頂戴し、対談のテーマや具体例などを事前取材し、その段階で制作者が取捨選択をして番組構成(台本)をつくります。しかしCEOや経営層に「本番取材のための事前取材」に充てられる時間は1分もありません。すなわち、その企業や経営層のビジョンをリサーチしておくことが大切なのは前提としてありながら、視聴者にとって価値のある考え方を引き出せるかは、撮影時にあらゆる角度から質問し、掘り下げられるかにかかっていました。しかもYouTubeコンテンツでは、聞き足りなかった情報や加えたい情報をテレビのようにナレーションを使って補足するトンマナは仰々しく違和感があるため用いたい手法ではありません。

そこで撮影は「限られた時間の中でとことん質問する」という方法で行きました。できる限りの設計は事前にしておいて、撮ってから編集で筋道を確定させる、という方法。こスタイルでは質問数が多いと回答の時間は長くなり、対談の撮影尺(時間)は長くなっていきます。編集に要する日数も長くなります。トークというより、ドキュメンタリーの編集手法ですが、この手法が最もクオリティの高いものを生み出せると考えました。

今回のThe Big Interviewの撮影尺は70分でした。完成尺は11分。その中で対談部分の尺は10分ぐらい。70分のうち60分は使わずに「捨てた」ことになります。85パーセントの部分を削り、残りの15パーセントだけを見せている、という状態を完成品としました。

どうやったかというと。まず、企画者である僕自らが実際に手を動かして15分まで削りました。70分の一部分を抜粋して15分にするのではなく、70分話した中で視聴者にとって知るに値する要素をひとつも「捨てる」ことなく、15分にしていきました。削るのではなく、見せたいもの、伝えたいものエッセンスだけ、重要な部分だけを丁寧に切り取って凝縮させていく感じ。そして、完成形の形が見えたところで、ビデオエディターにバトンパスし、絵づくりを行いながらさらに5分カットしていきました。企画担当者が自ら最初の編集を行うからこそ、事前の取材ができなくても、当初の企画からブレないものになるのだと思います。70分を20分にしたぐらいでストーリー(展開)が見えてくると、勝手に手が動いてカットしていくような感覚になりました。

編集とは、長いものを短くすることではなく、絵がわりさせるためにやるものでもなく。

編集とは、その映像で最も伝えたいことを磨くこと。凝縮させること。

「モビリティの未来」がギュッと詰まった「The Big Interview」、ぜひご覧ください。


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