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スーパーフード『マイクログリーン』の予約販売始めます。
今年の夏は、8月の長雨と豪雨災害でブルーベリーやミニトマトの収穫に大打撃を受けました。
新規就農一年生としては手痛い試練でしたよ A(^^
ということで、一年中安定して供給できる野菜を模索していましたら
マイクログリーン
というスーパーフードの存在を知りました。
これは、無農薬無科学肥料栽培にピッタリ!
そこで、温泉熱を利用しての新たな取り組みに挑戦します!
本日からクラウドファンデ
ゆるやかに復活……したい
3か月近く、更新をサボってました。
『謀略の狭間に恋の花咲くこともある』は、残り4話なんですが一時保留します。
(再開の声がないまま自分の熱も冷めればこのままエタるかも……)
これからは、「毎日更新するぞ!」なんて、肩肘はらずにゆるやかにnoteする予定です。
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #16
(第八話)『一杯の水』後編
スーリたちの村は森の中にあって、十軒くらいの草葺の小屋が寄り添うように並んで暮らしている小さな村だった。
「こりゃ、骨折かもしれないから、町の病院に行かないとこれ以上の治療はできないね。今からじゃ山道を担架で運ぶのは危険だから明日の朝に町まで連れて行くよ」
長老とおぼしき老人からそう言われたときには既に夕闇に包まれつつあったので、従うしかなかった。それでも、今日中
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #15
(第八話)『一杯の水』前編
「あれがスマトラ島で一番高い山、『クリンチ山』だ。地元の人達は『神の永住地』とも呼ぶくらい神聖な山なんだ。まさに神が造ったように綺麗だろう」
道案内ガイドのサントソが指差す方向を見ると、雄大な緑を携えた神々しいほどの『クリンチ山』が朝日を浴びてそびえ立っていた。
「この山道を真っ直ぐ行けば、あのクリンチ山の中腹まで登ることができるけど、本当に美里ひとりで大丈夫なのか
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #14
(第七話)『秋の空』後編
「美里はこの世界で安全な水を飲めないひとがどれくらいいるか知ってる?」
「安全な水って?」
「安全に管理された健康的な水のことよ」
「いまどき川の水を飲んでるって聞かないから、ほとんどいないんじゃないの?」
「とんでもない。世界中にはまだ二十二億人以上のひとが安全に管理された水を飲めないのよ。さらにそのうちの一億人以上の人は、いまだに未処理の地表水を日常的に飲んでいるの
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #13
(第七話)『秋の空』前編
「美里、ちょっと遠回りだけど公園の中を通って帰ろうか」
久しぶりに渋谷までふたりで買い物に出かけた帰り道。電車を降りてアパートまでは五分だけど、公園の中を歩くとゆうに三十分はかかる。
夏の暑さもようやくピークを越えたと思ったら、心なしか夕暮れが早くなってきた気もする。もう十月の中旬だから無理もないか。
お姉ちゃんが遠回りの道を選ぶとは意外だったけど、その分こころが
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #12
(第六話)『Rock’n Roll』後編
時間がきたので三人で三階へ上がると、笹原姉妹が通路で向かい合ってチケットのモギリをやっていた。美里がすぐに俺に気づいて軽くウインクした。その空気を読み取ったのか麻紀が俺と峰村を見て目を丸くしている。どうやら麻紀にも知らせていなかったようだ。
峰村は美里の顔を見て首を傾げただけだった。たぶん麻紀に似ている女性に反応しただけなのだろう。
「峰村課長……」
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #11
(第六話)『Rock’n Roll』前編
東洋電機の社食で峰村の姿を探していると、ちょうど入り口に姿を現わした。
「一緒に食おうか」
トレイを持って峰村の横に並ぶ。
「先輩。人事課長がこの時間に来てるのって珍しいですね」
「俺だって、メニューの選択肢がある間に食うこともあるさ」
今日のA定食が『唐揚げ定食』だという情報も入手済みだ。湯布院で唐揚げの虜になって以来、俺の大好物なのだが人気のメ
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #10
(第五話)『卒業』後編
地域の草刈り作業には秋吉さんや岐部さんも参加していたので、夕方明るいうちから四人で飲み始めた。
「今日こそは岐部さんから歩惟さんへの想いを語ってもらいますよ」
俺が水を向けると、岐部さんは酔っ払いながらも真面目な顔つきになった。
「ところがな、親父さんに反対されているんだ」
「えっ? 親父さんってパン屋の大将ですか?」
「そうだ。『まだ一人前のパン職人にもなってないの
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #09
(第五話)『卒業』前編
八年前の七月、卒業を半年後に控えた俺と結城は、九州自動車道下りの〝基山パーキングエリア〟で、大分方面行のトラックを探していた。
卒業旅行といえば、秋のヨーロッパあたりをなんとなく想像していた俺だったが、「国内の温泉がいい」との結城の希望が強く、ふたりで大分県をめざすこととなった。男同士の旅というのも変だが、これでサークルメンバー全員なのだから仕方ない。結城が発足した『
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #08
(第四話)『奇妙な友人』後編
「そこでや……」
結城がもったいぶって身を乗り出してきた。
「幸か不幸か、その堂島コンサルティングっちゅう会社は、俺の事務所のスグ下の階におるんや」
「えっ!?」
「どや、いっちょ忍び込んで証拠を探してみぃひんか? 俺がひとりで行ってもどれが重要か判らへんし、未明なら判るやろ?」
「な…………」
言葉を飲み込んだ。
「何を馬鹿なこと知ってるんだ。そんなに簡単
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #07
(第四話)『奇妙な友人』前編
俺は、大阪に向かう新幹線の中でひと息ついた。
後輩の峰村広報課長の懲戒委員会から一転、上長が懲戒解雇されるというドタバタ劇があり、峰村と麻紀の証言を元に二重払いの損失を取り戻すことに奔走し、予定から一週間後にようやく休暇を取ることができた。
(結城との約束が一週間遅れたな……)
結城の名前は〝孔子〟と書いて、そのまま〝こうし〟と読む。
中国の偉い儒教
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #06
(第三話)『遺書』後編
懲戒委員会が終わり、俺は二週間ぶりに自席に戻った。
「峰村課長……」
課員の一人が俺の顔を見て呟いたのをきっかけに、全員が一斉に立ち上がった。
「みんな、心配かけたが明日から職場復帰だ」
全員から拍手が沸いた。一様に嬉しそうな表情を見て、「ああ良かった」とすべてに感謝した。
泣いている子もいる。俺にはこれ以上の話はできなかった。
笹原のデスクは綺麗に片付けら
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #05
(第三話)『遺書』前編
(これが見納めだろうな……)
俺は、東洋電機本社ビルを見上げて、右手を胸に当てた。
胸ポケットにしまった封筒の存在をスーツの上から確認して、正面入り口へと進んだ。
今の時間はちょうど昼休みなので出入りが多く目立たないが、何人かの顔見知りが俺のほうを二度見している。社内中の噂になっているのだろう。気づかないふりをしてエレベータへ乗り込んだ。
エレベータで一緒
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #04
(第二話)『二者択一』後編
翌日、出社するとすぐに峰村課長から会議室に呼ばれた。
「昨日は大変だったね。なーに、伝票のミスは気にすることはない。『よくある』と言ったらいいすぎだが、こんな仕事をしていたらなくなることはないからね」
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
峰村課長が無理に平静を装っているのだと判った。私に「気に病むな」と言いたいのだろう。
「で、笹原さんがイベントの際に担当し
謀略の狭間に恋の花咲くこともある #03
(第二話)『二者択一』前編
(このまま無断欠勤を続ければ、確実にクビになるんだろうな)
(美里は、大学に通いながらもバイトで私を養ってくれるだろうか)
(正式にクビになったら、やはり職探しはしないといけないな)
――ピンポーン――
(誰か来た)
私にも美里にも呼び鈴を押して訪ねてくるような知り合いはいないのだから、セールスに決まっている。
出なくてもいいのに、美里はすぐにドアを