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転職エージェントに知ってほしい採用担当者の事情と求人会社に知ってほしい求職者の本音と企業に知ってもらいたい人材会社の想い。

こんにちは。HRドクターという屋号のもと、採用支援やキャリアサポートなど幅広くHR事業をしているさつきです。

今回のテーマはこちら。

①転職エージェントや求人広告を使ったけどもうちょっとこうしてくれない?by人事や経営者目線

②人事や経営者にここを理解してほしいby転職エージェントや求人広告営業

③転職エージェントや転職サイト運営してる皆さんに物申す!by求職者


この3者それぞれの言い分をまとめることで、双方にとって理解を深め、人材業界をもう少し生きやすくしようね、というお話です。

ちなみに私は、

①スタートアップ/カフェ店長時代/フリーランス現在の複数立場で人事採用ポジションを経験
②dodaやanの求人広告営業/イーキャリアの編集ディレクター/ワーママ向け人材紹介の中の人×2社/外国人向けの人材紹介、派遣、求人広告営業の経験
③20代で転職4回/副業経験あり/現在はフリーランス/転職メディアに関わる編集ライター歴2年以上

ごちゃごちゃしていますが、
さまざまな立場を経験しているからこそ、書いてみようと思います。


①採用担当者の立場で人材会社に思うこと~スタンスの問題

企業の採用担当、経営者は人材会社(転職エージェント・求人広告会社)に仕事を発注する側です。

この話の背景には”お金を出す側が偉い”と勘違いがあると思っています。

まず、従業員に対して「雇ってあげている」というスタンスで考えているのか、それとも「一緒に働いている」と捉えているのか、あなたの企業はどちらのスタンスでしょうか?

どうしても前者のスタンスの企業は「従業員を雇ってやる」=権力を持っているという上から目線であり、転職エージェントや求人会社に対しても、人材会社を使ってやる、発注をしてやってる、という目線で話をしてくること多いです。

一方、従業員と「一緒に働いている」または「数ある企業から自社を選んでくれたメンバーと働いている」と考えており、従業員と人事・経営者が同じ目線に合わせられている場合はどうでしょうか。

このような企業は、人材会社に対しても「どうやったら良い人材が来るか、アドバイスもらえますか?」「一緒に伴走してほしい」という発言が多くなり、ともに採用プロジェクトを進めるパートナーになりやすいと感じています。


人材会社に対する苦言

人材会社に対してリスペクトを持ちながら、同じ目線で話をしようとしていても、人材会社側にそのスタンスがなければ話はうまく進みません。

よくある人材会社(転職エージェントや求人広告会社)に対する苦言をまとめてみます。

・人材紹介契約を巻くまではめちゃくちゃ対応早いししつこく電話が来る。でも契約開始して、いざターゲット人材の採用難易度が高いと音沙汰なし。
・求人広告に掲載する直前までは何度も何度も電話して飛び込んできた。掲載開始したらフォローの電話が一切ない。
⇒契約開始したあとのフォローがなさすぎる問題勃発
・人材紹介の契約結んだあとはレスなし、「最近候補者どうですか?」と連絡しても「良い人材は取り合いですね‥」と煮え切らない返事だけ。そこから先の具体的な提案(求人票を書き直すとか、もう一度企業のPR要素や応募条件を整理してみるとか既存社員に話を聞いて何かネタになることないか探すとか)がない。
・求人広告の掲載中の1か月、1度も電話もメールもなかったくせに、掲載終了間近にTELしてきて「採用できてないですか?来月の継続掲載はどうでしょう」とリピ提案はしてくる。
・「こういう人材が欲しいから」と伝えてみたら、ただ言われるがままに募集を開始。「その人材ほしいのは何故ですか?」「もしかしてこんなスキルの人材も合うんじゃないですか?」と、突っ込んだ質問はせずオウム返しの御用聞き。
・とりあえず人を紹介することがノルマになっていて(特に大手人材会社は人材紹介契約とったあと1週間以内に10名は候補者を送るなどのノルマがある)、やみくもに人材を紹介してくる。
・別に数多く紹介してもらう分にはありがたいけど「この方を推薦したのはなぜですか?」って聞かないと推薦した理由分からないし聞いてもまともな説明がないし、やっぱり数打って採用させようというマシンにしか見えない。
・時間がない中で募集要項をお伝えしてるけど、過不足あったら聞いてきてくれていいんだよ?求人票の書き方がわからない新米採用担当者だっているし経営者は全員が人事経験者ではないんです。むしろもっと教えて?
・月末に選考中の方のクロージングする意味ってあります?そんな即決できないことくらい知ってますよね?内定承諾を無理に迫って企業と候補者になんのメリットがあるんだっけ。
・御社の求人媒体で採用が難しそうなら素直に教えて欲しいし、採用実績無くてもちゃんと提案してくれたら1回はその求人媒体試したいんだから、もっと具体的に提案してほしい
・ぶっちゃけ転職フェアもダイレクトリクルーティングもやったことないもの多くて分からない。本当に自社が使った方がいいならもっと色んな転職サービスを教えてよ。
・エージェントが世の中にありすぎて選ぶのもうしんどい。面倒くさい。
・エージェントと30~40社取引してるけど名前覚えてるのは3~4社だけです。
・テレアポしてくるのはいいんだけど、もう少し端的にあなた(エージェント、求人媒体、営業)のメリット話してくれますか?まじで忙しいから。
・テレアポ無理でもメールならOKだと思っていて、とりあえずメアドはお伝えするものの1回メールしてきて終わり!という人材会社多すぎでは。そんな1回で信頼できるわけないでしょう?
・とはいえTELばかりしてきて、毎回「最近ご状況いかがですか?」ってセリフのみ。あなたからの最新の情報提供はないのでしょうか。


こうしてまとめていくと、採用担当や経営者の気に障るポイントはだいたい同じだと分かってきます。

・契約後も長期に渡って丁寧に向き合ってくれているか
・営業要素が強くなりすぎていないか?
・御用聞きではなくプロとして情報を持ってきてくれるのか

企業の人事担当だって、人が採れないご時世だということは重々承知しています。

とは言え採用コストを湯水のように使いたくないので、どこか線引きをしてお財布の紐をしめなくてはならない。

適切なサービスに、プロの転職エージェントには、しっかりお金を投資して人集めを手伝ってほしい。その思いは皆同じはず。


また一方で、人が採れないから、自社の魅力が少ないから、うちみたいな企業は転職エージェントにも求職者にも相手にしてもらえないと言って、企業が転職エージェントの言いなりになったり立場が弱くなったりするのもおかしいですよね。


余談ですが、先日とある求人広告会社にひたすら電話で追われて怖くなって電話出れなくなりました…。超大手の求人広告会社。


②人事や経営者の皆さんに知っておいてほしい人材会社の本音

先ほどは人事や経営者サイドからの意見でしたが、次は立場を逆にして人材会社からのお願いや本音をまとめてみます。

・人事採用の大切さをそろそろ理解してほしい(金払えば採用できると思っている経営者がまだまだ多すぎ問題
・転職エージェントのFeeが高いというなら自社で候補者を何万人も集めて全員面談して職務経歴書など添削して成長させてスクリーニングして意向上げして厳選した1人を採用してみてください。
・A転職サイトはイケてない、B求人サイトも微妙、と求人媒体のせいにするのはやめて自社の何がダメだったか自責で考えてから文句を言って欲しい
人材会社も付き合う企業を選びます、上から偉そうに言われたら逃げます…
・ハイスキルの人材を求めるのはいいけど”身の丈にあったターゲット”を決めることも大事です。一般人がハリウッドスターと結婚したいと言ってるのと同じ。
・給与をアップすれば人材が集まると短絡的に考えないで欲しい、たしかに平均収入・業界の水準より圧倒的に給与が劣るなら見直す必要があるけど時給50円アップしただけで採用できるなら皆もっと賃金上げてる
SNSのパワーをあなどってはいけません
・人材会社も完璧ではない、だからこそ手を取り合って、役割分担して一緒に採用がしたいだけ
・中には人材を”金”と思っていて、ガチで人身売買業だと思っている腹黒い人材会社もいるから気を付けてください。
・求人広告に出す前に経営をきちんと回して売上あげてくれないと採用できないこともあります。
・求人広告に出す前に、自社のHPをスマホ最適化しませんか?
・人材会社には無数に転職希望者が登録しに来ています、必ずしも優秀な人ばかりではない、その中から引っ張り上げてどうやって貴社とコラボレーションできるか?と考えている
・お願いだから返事はスピーディーにお願いします(特に応募意思獲得してから初期の面談、一次面接はスピード感大事なことを分かってほしい)
・面接官以外のスタッフにも採用活動してることを共有してほしい(電話応対や、面接日に候補者を部屋まで案内するスタッフとか超見られてます)
・待ってても人は来ないので選考でしっかり相手を口説いてほしい
・カジュアル面談するなら選考要素を排除する勇気を持ってほしい
いきなり志望理由とか聞かないでください(今のご時世、志望動機なんていきなり語れない)
・優秀な人材がほしいと言う前に自社の社員をもっと大事にしてほしい
・推薦した候補者がNGなのは全然良いけど「なんでダメだったのか」は必ず教えて、フィードバックもらえないとエージェントもPDCA回せない
・企業は複数のエージェントと付き合ってると思うけど、エージェントも複数の企業と付き合ってる。何も努力しなければ、あなたの会社に注力はぶっちゃけしない。
・人材会社が死ぬほど考え抜いていても、採用するのはあなただから、企業側がどれだけ踏ん張れるかって大事なんだよと伝えたい
・採用するまでを頑張るんじゃなくて採用した後の活躍まで目を向けてほしい


細かいところを見ていくと、もっとたくさんあると思います。

人材会社側からの言い分としては、

・人材会社と同じ目線で対話してくれているか?候補者上げてこいと言うだけで何もしていない企業には注力できない
・全部丸投げしないで一緒に頭使ってほしい
・エージェントのFeeや派遣のマージン高いと言うなら自社採用力を上げるしかないのでは?人材会社の裏の努力を理解しているのか


この辺りが、なかなか普段言えないことだったりします。

私は現在、フリーランスで企業の採用支援をしているので、もちろん採用結果が出ないと自分の価値がないと思っています。採用できるまで報酬をもらってはいけないのかな…と考えたこともあります。

ですが、自分自身は人事採用のプロとして、日々採用トレンドを勉強し続けていて(厚生省サイトの情報や労働法・社労士などの専門知識の取得、本を読む、セミナーに参加、自分でレポートをまとめる、同業を集めてディスカッションする等)この知識量、人とのコネクションも提供できる価値だと思うようになりました。

どうしても転職エージェントは、「採用決定が出た」という一瞬にしか価値がないと見えがちです。そのため、1人の決定に100万円、200万円は高いと言われてしまいます。

本来は、転職エージェントも採用決定の瞬間だけに価値があるのではなく、

ー有力な人材の集客(どのように集客するかによって集客コストもバカにならない)
ー集客をした人材の面談実施、面談を通して人材レベルやステータスで分ける作業(集めた人材がすぐに転職できるとは限らない/レベルもまちまち/ここでの振り分けって実はとても大変)
ー応募書類の作成サポート、推薦文の作成(職務経歴書が完璧な候補者なんてそんな多くない、書類サポートにも多大な人材会社の手間暇がかかっている)
ー候補者の意向上げ、企業への候補者紹介(あなたの企業に推薦するために意向上げの努力をしている)
ー有力な転職者を集めるために、採用トレンドや集客ノウハウもリサーチ
ー採用のプロ(CA、RA)を育てるために教育も実施

これら全ての、汗水流して必死に運営している企業の維持費に対して、人材決定の35%をもらっているはずなんですよね。

人材会社である以上、この価値を自分の言葉で伝えられる&行動で示す営業にならないと、どうしても「高い」「搾取してる」と言われ、淘汰されてしまうでしょう。


人材紹介を利用する企業は、何かと人材会社に文句を言いたい気持ちも分かります。派遣は特にマージンのことを言われる。

ここを搾取と思うのか、適切な会社運営費(派遣社員の教育、交通費、社会保険、派遣スタッフの集客費用 等々)と考えるかは、お任せします。


③求職者から見た「こんな転職エージェントは最悪」って話。

最後に、ひとりの転職者として、転職サービスを利用したときに感じる嫌だな~ってことをまとめます。

・転職エージェントに登録し面談に1時間も割いたのにお礼メールさえ来ない。「良い求人があれば紹介しますね」と自分で言っておきながら「本日はありがとうございました。一旦今の時点ではご紹介できる求人がありません」という一言さえ伝えて来ないままフェイドアウト。
・面談、初回カウンセリングの日程獲得まではめっちゃ電話来るのに面談後は音沙汰なし
・とりあえず求人を100枚ほど送ってきて「来週までに受けたい企業をピックアップしてください」⇒実際に大手エージェントでやられました。
・その100個とか200個の求人の中で、おすすめの求人ってありますか?せめて○○万円以下の求人は削除してもらえますか?と聞いても「ご自身で確認してご応募ください」の一点張り。
・エージェント経由で入社したら職場ですぐトラブル(パワハラとか仕事内容が想定外すぎたとか)があったのでエージェントに相談したら「ご自身で対応してください」
・転職サイトに登録したら1日10通、1週間で100通近くDMが来た(こちらも大手転職サイト)
・複数社の内定が出たら「今日中に決めてくれないと内定取り消しになります」とクロージング。
・その会社に入り、さらにその先の人生はどうしていきたいか?という長期目線での提案を受けたためしがない。
返事が遅い(毎回1週間以上待たされる)
・転職エージェントなのに保有求人の詳細をまったく理解していない(めちゃくちゃ多い課題感)
・人材業界、転職の経験、カウンセリングやマネジメントの経験もないのにキャリアアドバイザーを堂々とやってしまう(未経験でもいいけど努力が足りない)
・転職サイトに登録したのはいいものの、毎日同じ内容のスカウトメール。せめて「会員番号〇〇様のレジュメを拝見しました!」みたいなテンプレやめてくれないかな?
・Wantedlyで「話を聞きに行きたい」ボタンを押したのに企業側には「応募がきました!」と表示されてる。ぶっちゃけ転職者からすると「そんなの知らんがな」
・アットホームな会社ですというキャッチコピー見ても何も魅力に思いません。
・平日は本気で休めないガチガチの企業にいるとどうしても土日か夜間しか転職活動できないからもっとサポートしてほしい。
・転職エージェントありすぎるから転職者側からキャリアアドバイザーを逆指名させてほしい。


転職サービスをこれだけ使ってきた中で、まともに向き合い、最後の最後まで見捨てずにサポートをしてくれたのは、私の体験では1社しかありませんでした。

中小、スタートアップの転職エージェントもかなり使ってきましたが、いちばんひどいのは見せてきた求人票に質問したら全部、「すみません、わからないので担当に聞きます」と言って、結局何も得られなかった面談でしょうか。

とは言え、転職エージェントの仕組み上、アドバイスやカウンセリングの技量に期待するのはもう止めた方がいいのかな、とも最近考えています。

質高く、自分のキャリアに向き合ってほしい方や、徹底的にカウンセリングを受けたいのであれば、転職者側がお金を払って、そうだんドットミーとかmeetcareerとか、キャリコンの方に相談すればいいのかなと思います。


人材業界をもう少しまともにするために

HR業界、本当にたくさんのサービスがありますよね。

この中で、本当に真面目にやっている、プロとして向き合っている人はどれだけいるのでしょうか。

今回の記事は、決して誰かをディスりたい訳ではないです。自分を棚に上げたい訳でもないです。自分も100%完璧な人間ではないからこそ、初心に返り、これらの課題感を1つでも減らしながら仕事をしていきたいと思っています。

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