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『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』(ピョートル)を読んで。

 グーグルがやっている神速の仕事術について。日本在住16年、グーグルで人材育成、組織開発に携わるピョートル氏の本。本書の感想を書きます。

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 まず、内容に入る前に、全体的な印象として「ビジネス書として美しい」と感じる本です。ビジネス書というのは、学術書や論文ほど重くなく、大抵一つのテーマを掘り下げる形で書かれています。

 「はじめに」で要約(サマリー、summary)が書かれていて、そのテーマを裏付ける実例が、パートに分けて色々な切り口で書かれる形になります。そうすると、中盤までは面白くても、後半から終盤にかけてはとってつけたような嵩増し内容になるのがよくあるビジネス書です。

 ただビジネス書は、1,500円程度の値段と、濃くなりすぎない内容が絶妙のバランスで「読んで程よい理解」を実現します。後半は軽くなっていても、そのテーマが丁度いいぐらい、分かるようになっています。

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 そこで本書です。タイトル名著者も、そこまで圧倒的に目を引くものではありません。ただビジネス書として、非常に綺麗にまっとまっています。具体的には、最初から最後まで適切に学びとなる内容が配置されています。1つ1つが理に適う話で無駄を感じません。文章も整然としています。

 本書の結論として「生産性を上げるにはこうしたらいいよ」という内容が書いてあり、「なるべく早く結果を出すには?」という実現としてGoogleが取り入れている手法が紹介してあります。まとめは、

1.その場で終わらせる。(メールなどしない)
2.場所はどこでもよく、且つ、みんなで協力する。
3.どの世界よりも早く、10倍の結果を出す意識。

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 メールを使わない、というタイトルが結論です。それが意味することは、人が集まったら、その場で答えを出し、持ち帰ったり分析したりはしない。日本に16年(当時)も在住の著者から見て、日本の弱点を指摘しています。つまり、決断が遅い実行が遅い目的意識が薄い、です。

 まずGoogleの特徴として、オフィスで仕事してる人は少ない。カフェだったり自宅だったり、リラックスして一番結果が出る場所で仕事をする。また昼寝やおやつも自己責任で無限です。会社には仮眠室やマッサージルームやヨガの施設があります。この自由さが日本との大きな違い。

 日本の「働きがい」は世界最低レベルです。Googleでは性善説に基づき、本人が最も良いという手段をとらせます。働く目的があり、その目的を意識させる教育・機会があり、そして実際10倍の結果を出します。

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 無駄の象徴として「メール」があります。その場で決めて返事をする。

 会議で予め決めておくこと
・何を決めるのか?    ・何のために集まるのか?
・どんな発言が必要か?  ・最終的に何が決まったのか?

 持ち帰る時点で「遅れ」です。即断即決1回で終わらせる。直接会う方が圧倒的に話が早い。分析から良い商品は生まれない。インスピレーションが全て。実行してプロトタイプ(試作品)を見せる。他人から刺激を受ける。

 かなり内容を圧縮して、要点をお伝えしました。とても綺麗にまとまっている本で学ぶことが多いので、実際に読むと更に理解が深まると思います。
問題はこのGoogleスタイルを実現するのが容易ではないということですね。会社というのは組織ですので、個人発信で徐々に意識を変える必要がある。

 最後に。本書で紹介されていたアインシュタインの言葉を引用します。「愚か者は同じことをやって、違う結果が出ることを期待する」
我々が行うべきことは、圧倒的な試行錯誤、変化行動、PDCAです。


【読書感想文43冊目】


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