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答えのない問は、スターウォーズからはじまった

答えのない問について考えるのが好きだ。というか、考えずにはいられない。もし、問が思い浮かんでしまったら、数年かけてそのテーマを考え続けてしまう。その行為は、ラクダが反芻しているのに似ている、とよく思う。

人によっては、「そんな無駄なこと考えてどうするの?」というだろうし、効率的とは無縁な行為だともわかってはいるが、考え続けることをやめられない。

私が最初にこの傾向に気づいたのは、スターウォーズをはじめて見たときだ。

スターウォーズ『新たなる希望』では、ルーク・スカイウォーカーの反乱軍と帝国軍の戦いが描かれていた。(生まれる前だったけれど、なんだかテレビとかでみたんだろうなぁ。)
解説するまでもないし、ここではものすごくかいつまんだ言い方しかできないが、宇宙を支配している(帝国軍)に対して、反乱軍がそれを打ち崩そうとする戦いが続くわけである。

私は、この構造に対して、ものすごく違和感を抱いてしまった。
そして、母にこう聞いた。

「どうして帝国軍が悪者で、反乱軍がいいものなの?」

当時、私はウルトラマンや仮面ライダー、ギャバンなどが大好きで、そこで出てくる悪役は必ず現在の安定を崩す存在だった。
しかし、スターウォーズでは違った。現在の社会を築いているのは、悪役とされる帝国軍。それを崩そうとしているのが、正義として描かれている反乱軍。この構造は、それまでの私の少ない経験値の中にはないものだった。

ーー現政権が正義なわけではなく、正義の名の下に、現状の暮らしをひっくり返す者たちがいる。

母は、「どうして帝国軍が悪者で、反乱軍がいいものなの?」という私の質問にしばらくの間、考えていた。

そして、こういった。
「どちらが善いもので、どちらが悪いものかは、見方によって変わるものなのよ」

この言葉は、いまの私のものの見方にに大きな影響を及ぼしているように思う。はじめてラクダのように反芻を繰り返した問だからだ。
善悪は見方によって変わる。全面的に善はないし、もしかしたら全面的に悪もない(あの帝国軍であっても…!?)。

私はスターウォーズの魅力の一つは、そんな学びにあると思うのだが、スターウォーズ好きの人と話をしても、そういう議論になることは今の所ない。残念ながら。
対話の教材として使えるおもしろい気づきが詰まっているという視点で、今度是非観てみてほしい。そして、私と答えのない問について思考を深める旅に出てもらえると、なお嬉しい。

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