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自分の嫁を「バカだ」という夫の精神性について考えてみた。

〝「このバカが」と、自分の嫁に対して言う旦那がいたのよ。〟

以前の職場の先輩が、怪訝そうにそう言った。久しぶりにランチをした際の話だ。先輩の言葉を皮切りに、「どうして他者に対し、自分の嫁がバカアピールをしなければいけないのか」について、私たちはひとしきり頭をひねった。
もちろん不快な気持ちを抱えて、だ。「このモラハラ夫!」と叫ぶことは容易い。(昼間だったのでビールは飲んでいなかったが、もし飲んでいたら速攻で叫んでいた可能性はある。)

でも、私たちは罵詈雑言を放ちたい衝動をぐっと抑えて、少しだけ嫁をバカ呼ばわりする男性について考えてみた。
…そして、きっかけをもらうと悶々と考え続けてしまう癖のある私は、勝手に宿題にして、さらに分析(?)を続けてしまった。

◆バカという奴がバカだ説

まず、「バカという奴がバカだ説」。このひどく小学校低学年色のあるフレーズが頭に浮かんだ。
もし、相手がバカだと認識しながらその人との関係性を結び、時間を費やしているのであれば、それは本人がバカだといえる。

友達がバカな場合、
バカな友達とつるんで、貴重な時間を無駄にしていますよね?
「会社の奴はみんなバカだ」論を説いている場合、
バカが集う場に身を置き続けているんですよね?

まして、結婚となれば、
世界37億人の女性のなかから、その「バカ」を選び出したんですよね? 
ということになる。随分バカなことをしていますねぇ、と。

つまり、自分の周囲の人を「バカだ」「バカだ」という時点で、自分もバカまでレベルを落としている。そんな「1+1=2」のような、説とも言えない説に、ひとまず思いが至った。

◆バカの面倒を見ている俺、英雄説

なぜこんなことになるのか?
もしかしたら、人を落として相対的に自分が上がるという”神話”を根深く信じているからなのかもしれない。こんなバカな嫁と結婚して面倒を見ている俺、えらい。 的な。

少し話がそれるが、バツイチの友人と話をしていたときに「次に付き合うとしたら?」というテーマになった。彼女は迷うことなく、「仕事ができる人」と答えた。

「仕事ができる人」の裏側にあるのは、「年収がいい」とか「自信あふれる感じがカッコイイ」などがあるのだろうかと私は想像した。
しかし、彼女の言い分は違った。
「仕事で評価されていない人は、そのはけ口を家庭に向ける危険性があるのよ」

めちゃくちゃ批判されそうだが、嫁をバカ呼ばわりする人は、会社でバカ呼ばわりされている可能性が高いということか…? わからん。
仕事で満たされていないから、よりにもよって家族とのマウンティングをはじめ、嫁をバカ呼ばわりして自分を高めようとする…? そして、そんなバカの面倒をみている俺様は英雄…? そういう考えなんだろうか。

◆身内を卑下し謙遜することが文化、説

ほかにも、謙遜しようと身内を卑下するという日本の文化的な背景もあるかもしれない。たとえば、(本当はそんなこと思っていなかったとしても、)「うちの子は頭が悪くって、○○くんは優秀でいいわよね〜」というシーン。自分の子どもを下げることが、礼儀だと思っている可能性がある。

私の母はあまり人と比較をしない人間ではあるが、学校で行われる三者面談のときはよく娘の私を卑下した発言をしていた。

「いくらやっても数学ができないんですよね」
「SMAPに夢中で勉強時間減っているようなんですよね」(←思春期の娘がマジで恥ずかしいやつ)

私はそれがすごーく嫌だった。
んで、大人になって母に友達やその時付き合っている彼氏などを紹介する際は、「ネガティブキャンペーンはやめてね」と伝えるようにしている。すると決まって、「自分の子どもは謙遜するもんだからねえ…」と応答するのだけれど、「そういう謙遜は必要ないと思うよ」と言う。真顔で。

相手を立てるにあたって、身内を卑下する必要はいっさいない、と思う。(事実として、止むに止まれず口をついてしまうこともあるかもしれないが…。)
相手と親密になりたいならば、ネガティブキャンペーンをするのではなく、身内のポジティブな情報を伝えた方がよいのではないかな。(自慢じゃなくて、事実情報をね。)

◆まとまらないけれど、まとめてみる

もともとモヤっと感からスタートしているので、フラットな分析はできていないかもしれない。
さらにいうと、「他人の家庭なんだから、とやかく言うな!」とかも言われそうだ。しかし、他の人の家庭に立ち入れない傾向が強いために、DVや虐待がなくならないというのもまた事実だ。

だから、私は率直に「自分の嫁をバカ呼ばわりするのは、おかしいのでは?」と伝えたいと思った。でも、自分と違うだけで、もしかしたらいろいろな背景があるのかもしれない、と一旦立ち止まってみた。
一旦立ち止まってみたけれど、あんまりまとまらなかった。無念。

もしバカ呼ばわりは語彙力からくる問題なのだとしたら、「バカ」ではなく、「うちの嫁、おっちょこちょいなところがあるんですよね」とか「ちょっとぼーっとしたところがあって」みたいな表現を選んでみたらどうだろう。
きっと周囲は引きつった笑顔ではなく、まぁるい笑顔を向けてくれると思いますよ。

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