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外資で学んだ戦略コンサルとの上手なつきあい方

今も昔も、「戦略コンサルは使えない」「法外な値段の割に成果が出ない。」といった記事や投稿を目にします。果たして、彼らはそんなに使えないのか?

そこで、今日は、自身の米系事業会社における長年の経験をもとに、マッキンゼー、ボストンコンサルティング、ベインといった外資戦略系コンサルティング会社との上手な付き合い方についてお話しします。これから案件をご依頼される企業の方はもちろんのこと、コンサルティングのお仕事にご興味のある方にとっても、ご参考になればと思います。

以下の順にお話しします。

1. 外資戦略コンサルティング会社とは
2. コンサルタントとの付き合い方
- 入念なオリエンテーション
- 防御的にならない
3. まとめ


1.  外資戦略コンサル会社とは

マッキンゼー、ボストンコンサルティング、ベインといった企業で、彼らの顧客は主に企業の経営陣になります。企業が事業戦略や組織のあり方などを見直す際に、戦略コンサルに市場分析や競合分析などを依頼し、最終的に、改革のための計画を提案してもらいます。期間や人員数はプロジェクトの規模によってまちまちで、費用は数千万円から数億円、もしくはそれ以上になります。月並みな言い方ですが、目の玉が飛び出るほど高いです。

そんなに高いのに、なぜ依頼するのか?

理由は、企業は「時間を買う」ためです。

既存の社員が通常業務に加えて、会社の改革案などの戦略計画を作った場合、数年かかるでしょう。ただ、数年後に案が出来上がっても、その頃には市場環境が変わってしまって使い物にはなりません。

戦略コンサルに依頼した場合、数億円のフィーはかかるものの、数ヶ月で改革案が提案されます。コンサルからの提案について、米系企業の日本支社経営陣による承認だけでなく、米国本社の経営陣からも承認が必要な場合には、戦略コンサルの米国支社が連携し、国境をまたぐような社内の調整もサポートしてくれます。そのため、改革案の素早い実行が可能になります。

また、企業が戦略コンサルを使うもう一つの理由は、経営陣にとって、株主に対するリスクヘッジにもなります。自分たちだけで、もしくはより安価な専門家を雇って、中途半端な改革案を作って失敗するよりも、世界的に有名な戦略コンサルとともに、高いフィーに見合う妥協のない計画を策定し、今後の成長戦略を描くほうが、株主に対してより、強い説得力があります。


2. 戦略コンサルとの付き合い方

- 入念なオリエンテーション

実務部隊は、まず初めに全力で戦略コンサルに対して、今の会社の状況やビジネスモデルについて正確に理解してもらうために、オリエンテーションをします。ここで、手を抜くと、あとになってコンサルタントが理解の齟齬に気づき、ポロポロと個別に情報を実務担当者に質問してくることになり、お互いに時間を取られます。

たとえ、通常業務に忙しくても、最初のオリエンテーション期間中にがっつりとできる限りの情報をコンサルタントに開示することを強くお薦めします。それにより、彼らも早い段階で、分析や本題の改革案策定に移行することが出来ます。


- 防御的にならない

また、実務レベルは戦略コンサルに対して、防御的ににならないことが重要です。あるプロジェクトでの出来事です。私の部署で事前に作ったビジネスモデル案を、戦略コンサルに精査してもらい、必要に応じて修正し、対案を出してもらうことになりました。お恥ずかしい話ですが、コンサルタントから我々の案の弱い部分を指摘されると、つい、感情的になり、自分たちの案を無理に正当化しようとしてしまうことがありました。

戦略コンサルを雇う最大の目的は会社にとって最善の改革案をつくることです。よって、依頼企業側は「プライドを捨て」、冷静に彼らの客観的な指摘を受け入れる必要があります。


3. まとめ

以上、オリエンテーションと防御的にならないことの重要性でした。よく、戦略コンサルは使えないという人がいますが、それは企業側からのオリエンテーション、情報開示が不十分で良い案が出せなかったり、自分たちの案や考えの弱点を指摘されたことによるものと思います。

忘れてはいけないのは、戦略コンサルが有能か無能かを最終的に判断するのは企業の実務部隊ではなく、経営陣です。

よって、企業が戦略コンサルタントを使って満足のいく結果を出すために、実務部隊は同じ船に乗る仲間として、友好的な関係を築くことが不可欠です。それにより、彼らは企業側の持ち合わせていない視点や能力を補完してくれる、最良のビジネスパートナーになるでしょう。

以上、私が米系企業での経験から学んだ戦略コンサルタントとの付き合い方です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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