見出し画像

Day278:21世紀の教育 子供の社会的能力とEQを伸ばす3つの焦点(トリプルフォーカス

21世紀の教育

子ども社会的能力とEQを伸ばす3つの焦点

著者:ダニエル・ゴールマン/ピーター・センゲ
出版社:ダイヤモンド社

ポイント!「トリプルフォーカス」
3つのことに”注意を向ける”こと

*フォーカスの事例:
幼児の注意を向ける力を高めていく方法の一例

→「セサミストリート」の認知科学 シナリオライターが認知科学者たちとミーティングを重ねて作られた。番組は、科学に基づいて作られている。

■なぜ”注意”が必要か?

世の中は、注意をそらすもので溢れている。今日の子供たちは、これまでとは違う世界、テクノロジーが進化するということ以上の大きな変化の中にある世界に生きている。 それだけではなく、社会問題や環境問題に直面する世界で育ち、将来にわたり、これらの問題と付き合っていくことになる。

しかし、いまの学校教育では、変化に対応する力を育むために不十分。

■感情と社会性に関わる5つの能力と教育


《5つの能力》

1、自分に気づく力(セルフ・アウェアネス)
→自分は何を感じているか、なぜそう感じているかを理解する能力

2、セルフ・マネジメント
→感じていることを適切に対処する能力

3、他者を理解する力(エンパシー)
→他者が何を考え、何を感じているかを理解し、他者からの視点を把握する能力
4、ソーシャルスキル
→1〜3を統合して、調和の取れた関係性を築く能力

5、より良い意思決定
→1〜4の全ての感情的知性に関するスキルセットを総動員して人生におけるより良い意思決定をする能力。

《教育について》

21世紀の教育(より良い人生のための教育)


いまの学校教育に足りないもの。 それは、子供の社会的能力とEQを伸ばすための教育。 

「トリプルフォーカス」

これからは、『自身』『他者』『外の世界』の3つの知性を育てる教育が重要。全人的教育が可能になれば、子供たちは未来へより良い準備ができる。


トリプルフォーカスとは


①私たち自身へのフォーカス
自分が意図した先に注意を向け続ける能力「認知制御」

「認知制御」は、気を散らすものに抵抗、害を及ぼす衝動を抑制する、目標追求のための欲求充足をおくらせる、学ぶために整える、目標に集中する。(頭前皮質)*IQや家庭環境より人生の結果を左右する。

自分にとっての目的を感じ取ること、深いところにある意欲につながること、自分が感じることが、なぜそのように感じているのかを理解したり、その感覚にどう対処すれば良いか知ること。

自己を攻略できると、生活と学業の両面でレジリエンスをもたらし、困難な状況においても目標を追求できるようになる。

自分の内面を認識する基本的能力は、子供時代に習得しなくてはならない生きるための必須スキルで、習得しないと、願いとはとても離れた人生に放り出されてしまう可能性あり。


《内発的動機》

「何を本当に大切にしているか」

「なぜそれを本当に学びたいのか」

教師が示した何を学ぶべきかと言う学習目標に従うだけで、自身の目的についてあまり自分で考えない場合、誰かが作ったアジェンダだけをこなす場所になる。 そうなると、子供の中で目覚める時を待っている動機も、関心への関わりも、眠ったままで終わってしまう。

私たちが人生を進んでいく中で、自分が自分の価値観に従って生きると言う感覚は、私たちの内側にある大切な人生の指針となる。

熱中できること、大切なこと、自分が達成できることが組み合わさると人生においてもキャリアにおいても「良き働き」として花開く。


②他者へのフォーカス



他者に気づき理解する力 *大人にとっても必須のライフスキル 世の中にインパクトを生み出すリーダーの中にある能力。

・ソーシャルスキル

・協力し合うこと

・チームワーク

誰かを思いやること。

他の人たちがどのように考え、感じているかを知るだけでは十分ではなく、”準備ができている”ことが大切。


③外へのフォーカス 世界を理解する”システム思考”


・自然界のシステムの理解

(私たちは、より大きな何かの一部にいる)

・社会システムを理解する土台

■SEL教育

衝動と感情をマネジメントする教育

世界中の何千校もの学校が導入し、変化を手に入れている。

✔️向社会行動が10%向上
✔️反社会行動10%低下
✔️学力テストの点数11%向上


*SELとは


・Social 社会的能力
・Emotional 気持ちに関わる能力(EQ)
・Learning 学び(社会的能力とEQ能力を育む学び)

SELは、学業を補完する。

成功させるには、実行可能なカリキュラムと実行のための支援態勢(システム)が重要。(良い研修、コーチング、ネットワーク)

■教え方イノベーション


・生徒の理解のプロセスを尊重する。
・生徒が自分でモデルを作り、問題となる状況を理解する独自の方法を組み立てて、検証できるように導く。
・他者と共に活動し、共に学ぶ。
・常に、行動と思考の両方に注意を向け続ける。
・生徒が自分の学びに対して当事者意識を持てる力を養う。
・生徒が互いの学びを助け合える関係性を促す。 など。

《成功する教育プログラムの共通点》

→1回限りの授業ではなく、何年も継続している

→生徒の理解力の成長に合わせながら、数学年にまたがってベースとなる授業を繰り返している

→学校は安心できる居場所であり、コミュニティだということを強調している

→家庭にも働きかけている

※プログラムを動かすために、リーダーシップの生態系(連携)が欠かせない

■特記事項


私たちは、不安を感じるほど自己中心的になる。すると、周りの人にも、自分を取り巻くシステムにも無関心になり、自分のことだけを考えるようになる。

内面のマネジメントができれば、心から配慮して他者を理解しようとできるし、自分の力も最高に発揮できる。(教師、親、学校運営者も必要)


人は、安全基地を持っている時、その人の思考は最高の状態で働き、その人の力はもっとも良い形で発揮される。

一過性のアクションではなく、土壌を耕す。

教員のマインドセット→生徒の変化

子供が持っている知性を認めること。

教師も支えられる必要がある。

大人の能力は、子供時代に学んだことにルーツがある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?