見出し画像

【SDGs×日本語教育】タイの社会問題プレゼンテーション【授業実践記】

毎年恒例「社会問題」のプレゼンテーション。(昨年度⏬)

昨年は分散登校だったので教室でプレゼンテーションできたけど、今年はフルオンライン。フルオンラインはきっと今年限りだと思うので、(そうであってくれ)忘備録を残したい。

課の初日

MentimeterのWord Cloudでタイにどんな社会問題があるか聞いてみた。pm2.5、交通渋滞、水質汚染、ゴミ問題、コロナ、政権への不満、教育問題、失業、ドラッグなど様々な意見が出た。

スクリーンショット 2021-07-06 18.53.34

グラフから何がわかる?

昨年同様、最近のニュースを題材に文型を導入した。
新出文型は
・〜によると、〜そうです
・〜と思います
・〜てきました/〜ていきます

今年は、グラフの読み方についても少し時間をとってみた。

スクリーンショット 2021-08-28 21.04.16

このグラフからどんな情報が読み取れるか学生に聞いてみると、「20代未満が一番増えている」とか「20代までの若者が全体の半分を占めている」等色々な意見を出してくれた。

今までは「〜てきました/〜ていきます」の導入のためだけにグラフをサラッと見せて終わっていたが、日本語以外の学びにつながったのではないかと思う。

グループディスカッションの準備

padlet
学生が何をすべきかすぐわかるように、1枚のpadletに全グループ分のマインドマップを色分けして作り、そこに話し合ったことを記入してもらうようにした。チェックする時ページを移動しなくてもいいし、学生同士が他のグループの進み具合もチェックできるのでよかったと思う。

スクリーンショット 2021-08-30 7.36.17

meetのリンク
勤務校はGoogle meetを使っているので、meetのリンクをグループの数だけ作って、URLをチャットにすぐコピペできるようにデスクトップメモに準備しておいた。

グループディスカッション

普段は日本語能力が大体均等になるようにこちらでグループを分けるが、今回はオンラインでも話が弾むように仲がいい友だち同士で5、6人のグループを作った。

活動の時は一緒にmeetのリンクに入り、padletのチェックや、話し合いが進んでないグループに声をかけた。話し合いもpadletへの記入もタイ語でよしとした。

毎回最後に全員同じリンクに集まって、今日何をしたか、どこまでできたかを報告させた。

大体のスケジュールは
1 発表テーマを決定し、SDGsのどれと関係があるかその理由を考える

2 グラフを探し、そのグラフから何が読み取れるか話し合う

3 問題解決のため、タイではどんな活動をしているか調べる
 (いい活動がない場合はどんな活動があったらいいか考える)

4 発表のスクリプトとスライドを作る

5 プレゼン練習

これを文型導入と並行しながら進めていった。

ちなみに今年のテーマは、
・pm2.5
・自殺
・森林の減少
・コロナ
・失業者

スライドとスクリプトをチェック

スクリーンショット 2021-08-17 20.20.58

学生が作ったスクリプトとスライドをチェックした。内容についてアドバイスをしたり、やり直し、書き直しを命じたりして、結局4〜5回は提出させた。

プレゼンテーション

オンラインで場所の制約がないので、国内外の知り合いの先生にお声がけしてプレゼンテーションを見ていただいた。タイ人の日本語の先生や、勤務校の社会の先生も入ってくださった。

スクリーンショット 2021-08-31 18.22.44

ゲストの先生と学生用にフィードバックのpadletを準備して、
・よかったところ
・こうすればもっと良くなるよというアドバイス
・内容に関する質問や感想
を書いてもらった。

成績

・発音
・スライド準備
・プレゼンテーションのテクニック
・発表内容

の4項目をルーブリック評価した。

プレゼンテーションを終えて

本来なら高2でも3回プレゼンテーションの授業があるが、コロナのせいで全部できなかった。なので今回が初の日本語での大きいプレゼンテーション。テーマも難しいし、オンラインだしちょっとかわいそうだなと思ったが、このクラスは人数も少ないし、意欲的な学生も多いのでなんとかなるんじゃないかな?とも思っていた。

ゲストの先生にも10人入ってもらったおかげで、自主練をしたり、前日には練習を見て欲しいと個人的に声をかけてくれるグループも多かった。本番も各グループ大きなトラブルもなく、スムーズに終えることができた。

学生は「緊張した」「難しかった」と言っていたが、ゲストの先生方からもポジティブなフィードバックをもらって、きっといい自信になったと思う。

今後の課題

簡単な日本語で言い換える練習
これは毎度のことだけど、機械翻訳の変な日本語をそのままスクリプトとして提出するグループがあり、何度も書き直しさせたり、一緒にスクリプトを作ったりした。
機械翻訳に頼らず、言いたいことを知っている日本語で言い換える練習がまだまだ足りていないと感じた。

考えを深める問いかけ
森林減少の発表をしたグループの解決策は、最初「皆さん、木を植えましょう」のみ。「家に庭がない人は?誰でもできることはありませんか?」という問いかけをして「紙を大切に使う」という答えが出たが、他にも
・紙を買う時は再生紙を買う
・ボランティア団体に寄付する
・環境に配慮した製品を作っている会社のものを買う
等もっとできることがあるはず。

答えを押し付けてしまうと学生の発表ではなくなってしまうので、考えを深める問いかけをしていくことが大切ではないかなと思う。マインドマップも改善の余地がありそう!

時間やオンラインの制約があった中で、学生たちは本当によく頑張ったと思う。今年もプレゼンテーションの授業はしないという選択肢もあったけれど、結果的にやってみてよかった。

結局オンラインは延長が確定したので、できる方法を考えながら高2のクラスでもチャレンジしてみようかなと思っている。

この記事が参加している募集

読んでくださってありがとうございます!いただいたサポートは、ありがたく使わせていただきます。100円=約30バーツ。学校の食堂で昼ごはんが食べられます。ありがとうございます。コップクンカー。