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「伝わる」=「思い出せる」=「相手の心に残る」

コピーライター・阿部広太郎さんが主宰する連続講座『企画でメシを食っていく』(以下、『企画メシ』)。今年で9回目の開催だという。奇跡的なご縁が重なって、私は今年の『企画メシ』に参加している。

先日、第1回の講義を受けに行ってきた。尊敬する阿部さんとお会いできる喜び。やる気溢れる同期で賑わう、煌びやかな空間。これから待ち望んでいたことが始まる期待と不安。

様々な感情にのみ込まれそうになりながら、私は必死にメモをとった。講座からできる限りの学びを得ようと必死だったのだ。

第1回の講義で、私の心を離さなかった言葉がある。ジャーナルライティングとして、ここに書き留めておこう。


「伝わる」=「思い出せること」

この言葉を聞いた時、私は雷に打たれたような強い衝撃を受けた。シンプルではあるけれど、奥深い言葉。衝撃に打ちひしがれながら、私はふと子供の頃を思い出した。


よみがえる原体験

私は子供の頃からずっと、書くことが好き。口下手な私は、話すよりも書く方が思いを伝えやすかった。その原体験となったのが、小学生の頃に夢中で書いていた作文だ。

毎年夏休みになると、国語の宿題として作文を書いていた。読書感想文をはじめ、いくつかコンクールがあって、その中から自分で選んで書く。

当時の私はコンクールで賞を獲るんだ、という欲望を原動力に、作文を書き続けた。書くことを決めたら、あとは原稿用紙とひたすら向き合う時間。我ながら、かなり必死だったことは今でも覚えている。

しかし、私の作文が選ばれることは1つもなかった。コンクールはおろか、校内選考すら通ることがなかったのだ。

私はただ悔しかった。悲しかった。

校内選考を通った人と私の差は、一体何だったのか。自分の作品は、読み手にとって良くなかったのか。表には出さなかったけれど、心の中のショックはしばらく消えなかった。その時に抱いた痛みを、今も思い出せるくらいだ。


時を経て得た学び

しかし先日、阿部さんの言葉に私はハッと気づいた。私は「伝える」に必死すぎて、「伝わる」を意識していなかったことに。

審査員は疲れていると思った方がいい。その中で、どれだけ審査員の心に残るか。どれだけ強いインパクトを残せるか。審査員が思い出せた時、その文章は「伝わった」ということだ。

「伝わる」とは、「思い出せる」こと。私なりに噛み砕くと、「読み手の心に残る」こと。

大切なことを教えてもらい、私の心は腑に落ちた。子供の頃、私の作文が選ばれなかった理由を理解できたのだ。

もちろん子供の頃は書くことに必死で、「相手に伝わる」ところまで意識できていなかったけれど。15年ほどの時を経て、ようやく「学び」として消化できた気がする。『企画メシ』に参加できた喜びを、私は改めて噛み締めた。


「伝える」よりも、「伝わる」を意識する。私の文章に触れる相手の、心に残るエッセイを書きたい。私はそんな強い気持ちを改めて抱くようになった。

相手に思いを馳せ、相手のことを思いながら、丁寧に言葉を紡ぐ。ここを意識しながら、私はこれからも書き続ける。

不器用な私だけれど、試行錯誤しながらマイペースに頑張ろう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。いただいたサポートは、今後も私が書き続けるために必要なものの調達に使わせていただきます。