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(10)観光客のいない島

 宿でバイクをレンタルして、島を一周してみようと思った。フロントで手続きをして鍵を受け取り、レストランの傍に置いてあるスクーターのエンジンをかけた。HONDAズーマーの125ccモデルだ。走り出してすぐ左のブレーキが壊れているのに気がついて、思わず転びそうになった。


道中のほとんどはきれいな田園風景が続く

 とりあえず、壊れたブレーキはそのままで島の反対側にある小さなムアンセーンという村に向かった。途中で気がついたけど、コン島は観光客が全然居ない。ここまで一人も観光客らしき人を見ていない。シーパンドンエリアではメジャーな島のはずだけど、今はせいぜいデット島、コーン島くらいのもので、ここには寄らずにカンボジアへ抜けてしまうのだろう。


ムアンセーン

 ムアンセーンには船着場があって、人や車を載せてどこかに運んでいる。ボートもどこかへよく行き来している。ほとんど何も無いような場所だけど、少しだけ人が歩いたり働いたりしている。小さな商店がいくつかあって、靴ずれを起こしてしまうサンダルを50000キープ(350円くらい)で買い替えた。


昼間は暑くてみんな日陰にいる。

 そのまま島を一周してやれ、と走り出した。2、3ヶ所の小さな集落や寺があった他には、ほとんどが田んぼや林、小山があるだけで、50キロくらいは走ったと思うけど、やっぱり観光客には一人も会わなかった。


途中飲み物を飲んで休憩した子商店、良い笑顔のおじさん。

 この日もほんとうに暑くて、バイクで走っているのにすごい汗だった。夕方近くなって、一度宿に戻ってシャワーを浴びた。暑さでかなり体力を消耗している。さっぱりしたけどだるくなって落ち着いていると、陽がかなり傾いて、山に隠れてしまいそうだ。初めに行った船着場に行けば、夕日が見れるかも知れないと思って、もう一度スクーターのエンジンをかけた。

仕事を終えた人たち。


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